ホホジロザメの速度は時速何km?

ホホジロザメは泳ぎが得意なネズミザメ科のサメです。
スミソニアン協会のOcean Portal(2010年公開)によると、ハワイからカリフォルニアへ、そして南アフリカからオーストラリアへと長距離を移動することができます。
ホホジロザメは普段はかなりのんびり泳いでいると考えられています。
その理由は、エネルギーを節約するためです。
国立極地研究所の渡辺佑基准教授らの研究グループ(2019年)によると、ホホジロザメはオーストラリアのネプチューン諸島周辺を時速2.9km〜4.9km程度で泳いでいました。
ホホジロザメの最高速度は時速何km?
ホホジロザメの最高速度は、時速50kmほどとみられています。
この時速50kmという数値は、スミソニアン協会のOcean Portal(2010年公開)に示されているものです。
2019年に発表されたバイオロギング研究では、ホホジロザメがオットセイを襲う場面での最高遊泳速度は、時速24km程度と推定されました(渡辺ほか 2019)。
では、ホホジロザメはどのくらいの時間、この最高速度を維持できるのでしょうか。
テレビのドキュメンタリー番組などでは、ホホジロザメが水深20mから水面までわずか7〜16秒で泳ぎ上がると紹介されることがあります。
実際、国立極地研究所の渡辺佑基准教授らの研究グループ(2019年)も、ホホジロザメは獲物を狙うときこそ素早く加速するものの、その高速を長く維持することはできず、普段はゆっくり泳いでエネルギーを節約していることを明らかにしています。
つまり、ホホジロザメが最高速度を出せるのは、獲物を追う短い時間だけということになります。
ホホジロザメの状況別の時速一覧
ホホジロザメの遊泳速度はホホジロザメが海中でどういう過ごし方をしているかによって異なります。
ホホジロザメの状況別の遊泳速度を時速一覧としてまとめました。
- 海中を遊泳しているときの速度
- 時速2.9~4.9km(※国立極地研究所 2019)
- 島から島へと移動するときの速度
- 時速7.2km(※国立極地研究所 2019)
- 獲物を狩るときの速度(実測)
- 時速24km(※国立極地研究所 2019)
- 最高速度(推定)
- 時速50km(※スミソニアン協会 2010)
- ホホジロザメの平均速度
- 時速8km(※国立極地研究所 広報誌『ぷれ極』創刊号)
参考サイト:国立極地研究所『ホホジロザメは待ち伏せ型のハンター』、『Smithsonian Ocean『Great White Shark』』
参考書籍:渡辺佑基 『進化の法則は北極のサメが知っていた 』河出新書
ホホジロザメはなぜ速く泳げる?
ホホジロザメがなぜ速く泳げるかの鍵は熱交換システムです。
ホホジロザメは冷たい血液が流れる血管と筋肉で温められた血液が流れる血管がぴたりと隣り合っているため、熱交換できるようになっており、体温をある程度高く維持することができます。
この熱交換システムはマグロももっています。
マグロやホホジロザメなどのように、熱交換システムをもち、体温の高い魚は普通の魚に比べて、遊泳速度が2.7倍速くなると考えられています。
国立極地研究所の渡辺佑基助教らのグループの研究によると、マグロやホホジロザメなどのように、熱交換のシステムをもち、体温の高い魚は普通の魚に比べて、遊泳速度が2.7倍速く、回遊距離も2.5倍長く、ペンギンやクジラなどの恒温動物に近いとのこと。
回遊距離が長くなることで、エサの増減など環境の変化に対応することができるそうです。
ホホジロザメと人間の速度を比較
ホホジロザメが海中を遊泳しているときの速度が時速2.9~4.9km、一般的な大人の泳ぐ速度が時速3kmくらいです。
25mのタイムで比較してみると、どれくらい遊泳速度に差があるのかよくわかりますね。
| 時速 | 25mのタイム | |
|---|---|---|
| 一般的な大人 | 時速3km | 30秒 |
| ホホジロザメ | 時速4.9km | 18.5秒 |
| ホホジロザメ の平均速度 |
時速8km | 11秒 |
参考:25mのタイムと泳速(泳ぐスピード)の関係|人間の泳ぐ速さは何キロ?
ホホジロザメの時速をいろいろな生き物と比較
ホホジロザメ速度をいろいろな生き物と比較してみました。
- 平均速度のホホジロザメ
- 時速8km
- 最大時速のホホジロザメ
- 時速50km
- 一般的な大人の歩く速度
- 時速4km
- 一般的な大人の泳ぐ速度
- 時速3km
- 競泳選手「水の怪物」マイケル・フェルプス選手
- 時速7.2km
- 一般的な大人の自転車の速度時速
- 時速16km
- イルカ
- 時速40km
- 「世界最速の男」ウサイン・ボルト選手
- 時速44km
- シャチ
- 時速55.5km
- カマスサワラ(スズキ目サバ科カマスサワラ属に分類される硬骨魚)
- 時速77.1km
- 「世界最速のサメ」アオザメ
- 67〜96.5km
- バショウカジキ
- 時速125km
アオザメの「67〜96.5km」は、ネット上で広まってきた推定値です。近年のバイオロガー(サメに取り付けて泳ぐ速さを直接測る装置)による実測では、数字はもっと控えめになります。Waller et al.(2023)がアオザメを直接計測したところ、巡航速度は時速3.24km、瞬間的なバースト速度は時速18kmでした。この時速18kmは、これまでにサメ・マグロ・カジキ類で計測された中でもっとも速い記録です。同じ実測ベースで比べると、ホホジロザメの巡航速度は時速3.5kmと報告されており(Save Our Seas Foundation 2025)、アオザメのほうがやや速い、という関係になります。
バショウカジキの時速125kmという数値は、Chepurnovほか(1967)が雑誌『自然』で紹介した古いデータにもとづくものです。その後、Svendsen et al.(2016)は、バショウカジキの最高速度を筋肉の収縮時間から推定し、およそ8.3 m/s(時速30kmほど)という値を示しました。この研究は、時速100kmを超えるような従来の数値が過大評価である可能性が高いとしています。
参考サイト:国立国会図書館 リサーチ・ナビ『魚の泳ぐ速度(遊泳速度)』
ホホジロザメ VS 人間のレース結果は?
2017年、ディスカバリーチャンネルの特別番組『Phelps vs. Shark: Great Gold vs. Great White』で、近代五輪が誇る史上最高のアメリカの元競泳選手「水の怪物」マイケル・フェルプス選手とホホジロザメの100m対決が放送されました。
ただし、実際に並んで泳いだわけではありません。研究チームが計測したサメの速度データからコンピューターでシミュレーションをつくり、フェルプス選手のタイムと比べる形でした。
フェルプス選手はウェットスーツとモノフィン(一枚びれ)を身につけて100mを38秒で泳ぎ、シミュレーションのサメに2秒差で敗れました。
つまり、ホホジロザメの泳ぐ速度は、五輪で23個の金メダルを含む合計28個のメダルを手にしたマイケル・フェルプス選手よりも速いということになります。
ホホジロザメについてさらに詳しく知りたい方は『ホホジロザメの生態、特徴、大きさ、寿命、危険度とは?人食いサメなの?』もどうぞ!
参考文献一覧
- Svendsen, M. B. S., Domenici, P., Marras, S., Krause, J., Boswell, K. M., Rodriguez-Pinto, I., Wilson, A. D. M., Kurvers, R. H. J. M., Viblanc, P. E., Finger, J. S. and Steffensen, J. F. (2016) Maximum swimming speeds of sailfish and three other large marine predatory fish species based on muscle contraction time and stride length: a myth revisited. Biology Open, 5(10), 1415-1419. https://doi.org/10.1242/bio.019919
- Watanabe, Y. Y., Payne, N. L., Semmens, J. M., Fox, A. and Huveneers, C. (2019) Swimming strategies and energetics of endothermic white sharks during foraging. Journal of Experimental Biology, 222(4), jeb185603. https://doi.org/10.1242/jeb.185603
- Watanabe, Y. Y., Payne, N. L., Semmens, J. M., Fox, A. and Huveneers, C. (2019) Hunting behaviour of white sharks recorded by animal-borne accelerometers and cameras. Marine Ecology Progress Series, 621, 221-227. https://doi.org/10.3354/meps12981
- Chepurnov, A. V. ほか (1967) 海産動物の遊泳速度. 自然, 22(8), 62-65. 【Z14-211】
- 国立極地研究所 広報誌『ぷれ極』創刊号, p.8. 【Z32-B819】 https://nipr.repo.nii.ac.jp/records/12737 (accessed 2026-07-21).
- 国立極地研究所 (2019) ホホジロザメは待ち伏せ型のハンター. https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20190307.html (accessed 2026-07-21).
- 国立極地研究所 (2019) ホホジロザメが海中でオットセイを襲う様子をバイオロギングで撮影、記録. https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20190808.html (accessed 2026-07-21).
- 国立極地研究所 (2015) マグロやホホジロザメの泳ぐ速さや回遊の規模は海生哺乳類のそれに匹敵する(Watanabe et al. 2015, Proc. Natl. Acad. Sci. USA の紹介). https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20150421.html (accessed 2026-07-21).
- Smithsonian Ocean (2010) Built for Speed. https://ocean.si.edu/ocean-life/sharks-rays/built-speed (accessed 2026-07-21).
- Smithsonian Ocean (2010) Great White Shark. https://ocean.si.edu/ocean-life/sharks-rays/great-white-shark (accessed 2026-07-21).
- The Hollywood Reporter (2017) Michael Phelps vs. a Great White Shark: Here's What Happened. https://www.hollywoodreporter.com/tv/tv-news/michael-phelps-a-great-white-shark-heres-what-happened-1023751/ (accessed 2026-07-21).
- 国立国会図書館 リサーチ・ナビ 魚の泳ぐ速度(遊泳速度). https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/stm/post_400314 (accessed 2026-07-21).
- 渡辺佑基 (2019) 進化の法則は北極のサメが知っていた. 河出書房新社(河出新書).

