世界でいちばん大きな魚は、なんでしょうか。
答えはジンベエザメです。現存する魚類のなかで最大の種で、全長は一般的に10m〜12mになります。それだけ大きな体で食べているのは、プランクトンなどの小さな生きものです。人を襲うこともありません。
この記事では、見た目もかわいいジンベエザメの生態、大きさ、寿命、危険度、そして「吸い込まれたらどうなるのか」まで解説します。

2010年当時『横浜・八景島シーパラダイス』はジンベエザメの飼育は日本国内では5館目となり、東日本唯一の展示施設でした。
写真は自分で撮影した八景島シーパラダイスのジンベエザメです(2011年に撮影)。
ジンベエザメ(Rhincodon typus)とは

東日本では初の水槽展示となった『横浜・八景島シーパラダイス』のジンベエザメ。2010年8月に千葉県館山市沖の定置網に迷い込んだもので、全長は約4.5m。国内では5番目。
ジンベエザメは世界中の海洋環境で見られますが、主に熱帯の海で見られます。
「ジンベエザメ」は動きが遅く、その大きさにもかかわらず穏やかな性格をしているため、海外では"gentle giants(穏やかな巨人)"と呼ばれます。
まず、ジンベエザメの基本情報を紹介します。
ジンベエザメの基本情報
- 名前
- ジンベエザメ(甚兵衛鮫、甚平鮫)
- 別名
- ジンベエザメ、いびすさが(茨城県)、じんべ(茨城県)、えびすざめ(千葉県、神奈川県、静岡県)、じんべえ(千葉県)、じんべい(福井県)、さめ(高知県)、くじらぶか(鹿児島県)、みずさば(沖縄県)
- 学名
- Rhincodon typus
- 英語名
- Whale Shark
- 保全状況
- 【EN】絶滅危惧種
- 国際的な取引規制
- (2026年7月追記)ワシントン条約(CITES)附属書I。2026年3月5日発効。日本は留保しているため、国内では附属書IIの扱いとなります。
詳しくはジンベエザメとワシントン条約(CITES)で解説しています。
- 分類
- テンジクザメ目ジンベエザメ科
- 分布域
- 熱帯周辺および亜熱帯。日本では、沖縄、高知、能登近海、千葉、神奈川県城ヶ島、相模湾など日本各地。
- 生息域
- 概して外洋性だが季節によっては特定の水域の沿岸表層域に待機してやってくることがある。かなり深い水域でも生息できるが、表層水域を特に好んでいる。
- 大きさ
- 一般的に10m〜12m
- 最大全長
- 18.8m
- 体重
- 19,000kg
- 生息域の深度の幅
- 10〜1928m
- 平均深度
- 10〜100m
- 最大深度
- 1928m
(2026年7月追記)Tyminski et al.(2015)が記録した値です。ただし水深2,000mを超える潜水は電子標識の耐圧上限を超えるため記録されない場合があり、実際にはより深く潜っている可能性があります(水産庁・水産研究・教育機構 2026)。
- 平均寿命
- 100歳以上まで生き、25〜30歳前後で成熟。
※サメの年齢を推定するのは難しく、多くのサメが過小評価されている可能性があるので今後さらに長くなる可能性もあります。
(2026年7月追記)年齢の推定方法と、実際に確認された最高齢についてはジンベエザメは何歳まで生きるの?で解説しています。
- 繁殖方法
- 卵胎生
- 妊娠期間
- 調査中
- 産仔数
- 〜300匹
- 幼魚の大きさ
- 55cm
- 繁殖サイクル
- 現在不明
- 成熟年齢
- 25〜30歳
- 成熟サイズ
- 調査中
- 歯の形状
- 小さな先のとがった歯が300本以上。
- 泳ぐ速度
- 平均2.52km/h(時間帯により0.36〜6.48km/h)
(2026年7月追記)オーストラリアのニンガルー・リーフで行われた電子標識調査による値です(Gunn et al. 1999)。太平洋を横断した個体では、平均移動速度が3.9km/hと推定されています(Eckert and Stewart 2001)。
- 性格
- おとなしい
- サメの生態
- 調査中
- 1日の過ごし方
- 調査中
- 好きな食べ物
- プランクトン、エビ、藻類、その他の海洋植物材料、イワシ、カタクチイワシ、サバ、イカ、マグロ、ビンナガ、魚の卵
- 海の仲間のお友達
- 調査中
- 命名された年
- 1828年4月
- 生息年代
- 約6,000万年前(新生代古第三紀暁新世中期)
- 人間を襲う危険度
- サメが住んでいる水深
-
※水深200mの深海を星5と評価
- 巨大ザメ指数
-
※最大全長が5m以上のサメを星5と評価
- 水族館で会える可能性
- ペットとして飼育できる可能性
ジンベエザメの生態
ここではジンベエザメの生態について解説します。
ジンベエザメの特徴
ジンベエザメはジンベエザメ属(Rhincodon)に属する唯一の種であり、テンジクザメを含むテンジクザメ目(Orectolobiformes)に分類されます。
ジンベエザメは現存する魚類の中では世界最大種で、成長すると全長12m以上にもなるといわれています。
おとなしい性格であるため人を襲うことはありません。
ジンベエザメは噛んだりする代わりに水を飲み込み、オキアミなどのプランクトンのほか、魚の卵から甲殻類や魚の群れ、小魚などを食べる濾過摂食性のサメです。
濾過摂食性であるジンベエザメは、噛んだりすることはできません。
時折、イカやマグロのような大きな獲物まで、あらゆるものをろ過するといわれています。
餌を食べている最中のジンベエザメの口は1m〜1.5mもの幅になることもあるとか。
一般的に、ジンベエザメは群れて行動することはなく単独で世界中の海を回遊しています。
孤独を好むジンベエザメですが、餌場を他のジンベエザメと共有するそうです。
紅海はジンベエザメの幼魚たちが一緒にたむろして餌を食べる人気エリアになっています。(Ref.1)
ジンベエザメはプランクトンの餌が豊富な地域に集まることが多く、それらの地域は観光名所として人気のエリアになります。
また、ジンベエザメの分布は、プランクトンの存在と海全体の健康状態を示しているといわれています。
ジンベエザメの分布域はどこ?
出典:ジンベエザメの世界分布図
ジンベエザメは非常に広範囲に分布しており、地中海を除くすべての熱帯および温帯の海に生息しています。
ニューヨークからカリブ海、ブラジル中部、セネガルからギニア湾まで。
大西洋全体、紅海やアラビア湾を含む地域全体のインド洋。
太平洋では、日本からオーストラリア、ハワイ沖、カリフォルニアからチリにも生息しています。
【2026年7月追記】地中海でも記録されるようになりました
(2026年7月追記)
上の説明は、この記事を公開した当時の分布の理解にもとづいています。その後、状況が変わりました。
英国 海洋生物学協会のFreya Womersley氏らによるIUCNレッドリストの2025年評価によると、ジンベエザメは地中海でも記録されるようになりました。2021年にトルコ沿岸、2022年にスペイン沿岸で確認されています。スエズ運河を通って紅海から地中海へ入った、いわゆるレセップス移入の可能性も指摘されています(Womersley et al. 2025)。
水産庁と水産研究・教育機構も、従来は分布しないとされてきた地中海で分布が確認されていると記載しています(水産庁・水産研究・教育機構 2026)。
分布域が広がっている背景として、この評価は水温の影響を挙げています。ジンベエザメが季節的に温帯へ広がる範囲は、水温21〜22℃の等温線とおおむね重なります。この等温線が南北両半球で高緯度側へ移動しているため、季節的な分布域もゆるやかに広がっていると考えられています(Womersley et al. 2025)。
※本文の「地中海を除く」という記述は、記事を公開した当時の理解として残しています。
ジンベエザメが相模湾に出没/神奈川新聞(カナロコ)
平成 30 年度国際漁業資源の現況「ジンベエザメ 日本周辺 (Whale Shark, Rhincodon typus)」によると、ジンベエザメは、個体によっては昼の時間の60%を水深10mより浅い層で過ごすことが多いそうです。
運がいいとこのようにジンベエザメに遭遇することができるのかもしれません。
ジンベエザメはろ過摂食動物
ジンベエザメの鰓(エラ)は1時間に6,000リットル以上の水を処理することができます。
ジンベエザメは1m〜1.5mもの幅に広がるという口を広げて、プランクトンが豊富な海水の大きな塊を引き込むと、口を閉じて大きな鰓から水を排出します。
鰓(エラ)は濾し器や茶こしのようにフィルターとして機能するので、直径約2センチメートル未満の固形生物を口の中に残したまま水をろ過することができます。
ジンベエザメには指紋がある
ジンベエザメには指紋があります、といってもジンベエザメには指はありません。
これはどういうことかというと、ジンベエザメにはの模様には人間の指紋のように独特の斑点のパターンがあり、個々のサメを識別することができるんです。
このジンベエザメの「指紋」を利用することで研究者たちはジンベエザメの写真を撮り、目撃情報を記録することにより、ジンベエザメを識別し追跡することができます。
ジンベエザメのんびり長距離移動
ジンベエザメは地中海を除く世界中のすべての温帯および熱帯の海で見られ、何千kmも離れたさまざまな餌場に移動します。
(2026年7月追記)地中海での記録については、上の追記をご覧ください。
実は、ジンベエザメはサメとしては泳ぐ速度が遅いかもしれませんが、非常に長い距離を移動することができます。
時速4km以下という速度で移動するジンベエザメですが、わずか3年で12,874 km以上という距離を移動することができるんです。
人間にたとえるなら、ウォーキングやお散歩が好きな人のようですね。
ジンベエザメは何歳まで生きるの?
(2026年7月追記)
ジンベエザメの寿命は長いといわれてきましたが、実際に何歳まで生きるのかは長いあいだ確かめられていませんでした。
サメの年齢は、椎骨(背骨)にできる「成長輪」を数えて推定します。木の年輪と同じ考え方です。ただしジンベエザメの場合、この輪が1年に1本できるのか2本できるのかで、研究者の見解が分かれていました。
この点を確かめたのが、ラトガース大学のJoyce Ong氏、オーストラリア海洋科学研究所のMark Meekan氏、アイスランド大学のSteven Campana氏らの研究チームです(Ong et al. 2020)。
研究チームは、2005年に台湾で漁獲された個体と、2012年にパキスタンで座礁した個体の椎骨を調べました。目印に使ったのは、炭素14という放射性同位体です。1950年代から1960年代にかけて大気中の炭素14の濃度が変動した時期があり、その濃度の変化が生きものの組織にも記録されています。研究チームはこれを時間の目盛りとして使い、成長輪が1年に1本できることを確認しました(Ong et al. 2020)。
その結果、一方の個体は35歳、もう一方は50歳と推定されました。50歳は、この方法で確認されたジンベエザメの最高齢です(Ong et al. 2020)。
IUCNレッドリストの2025年評価によると、50歳と推定されたのは全長10mの雌で、これまでに年齢が査定されたジンベエザメのなかで最大の個体です。35歳と推定されたのは全長9.9mの雄でした(Womersley et al. 2025)。
つまり「50歳」は実際に確認された年齢、「100歳」はそこから推定された可能性、ということになります。
では、100歳という数字はどこから来たのでしょうか。
50歳と推定された個体の全長は約10mでした。ジンベエザメはその倍近くまで成長するため、より大きな個体はさらに高齢であると考えられます。Meekan氏は、これほど大きなサメであれば100歳くらいまで生きられる可能性があると述べています(Ong et al. 2020)。
この研究には、もう一つ大事な指摘があります。成長輪を年2本と仮定していたそれまでの解析では、ジンベエザメの成長速度が実際より速く見積もられていた、という点です(Ong et al. 2020)。
成長が遅く寿命の長い生きものは、漁業などで個体が失われたときに数が戻りにくくなります。ジンベエザメの保全を考えるうえで、年齢を正しく知ることは出発点にあたる作業です。
ジンベエザメの繁殖地域
ジンベエザメの稚魚は台湾、フィリピン、インドの沿岸海域で見つかっているため、これらの場所がジンベエザメの繁殖地である可能性があります。
子沢山なジンベエザメ、だけど
一度の出産で300匹もの赤ちゃんザメを生むジンベエザメですが、残念ながらすべての赤ちゃんジンベエザメが成体まで生き残るわけではありません。
ジンベエザメの母ザメは出産後に子供たちと一緒にいることはありません。
赤ちゃんジンベエザメたちは自分の力で生き延びていく必要があるのです。
その結果、成魚まで生き残る赤ちゃんジンベエザメの数は10%未満がと考えられています。
一説によると、生き残るジンベエザメは150匹まで生きる可能性があるともいわれています。
ジンベエザメとワシントン条約(CITES)
(2026年7月追記)
ジンベエザメは、2026年3月5日からワシントン条約の附属書Iに掲載されています。ワシントン条約は、野生動植物の国際取引によって種が絶滅しないよう、輸出入を規制する条約です。附属書Iは三つの附属書のなかで最も規制が強く、商業目的の国際取引は原則としてできません。
ここに至るまでには、25年以上の経緯があります。順に見ていきます。
2000年:最初の提案は否決された
2000年のCITES第11回締約国会議で、アメリカがジンベエザメの附属書IIへの掲載を提案しましたが、否決されました(水産庁・水産研究・教育機構 2026)。
2002年:一度否決されたあと、本会議でくつがえる
2002年の第12回締約国会議では、インド、フィリピン、マダガスカルが共同で附属書II掲載を提案しました。
CITES事務局の記録によると、この提案は第1委員会でいったん否決されています。ところが最終本会議で議論が再開され、ウバザメの提案とあわせて、最終的に採択されました(CITES事務局)。
ジンベエザメとウバザメは、こうして附属書IIに掲載された最初のサメになりました(CITES事務局)。掲載の発効日は2003年2月13日です。
2025年:附属書IIから附属書Iへ
2025年11月24日から12月5日にかけて、ウズベキスタンのサマルカンドでCITES第20回締約国会議(CoP20)が開かれました。この会議で、モルディブなど17か国が、ジンベエザメを附属書IIから附属書Iへ移す提案を出し、採択されました(水産庁・水産研究・教育機構 2026)。
附属書Iへの掲載は2026年3月5日から発効し、貿易は科学目的に限定されました。魚体や鰭を含むすべての派生物を貿易するには、輸出国の輸出許可書と、輸入国の輸入許可書の両方が必要になります。公海で捕獲して自国へ持ち帰る場合も、証明書の事前発給が義務づけられました(水産庁・水産研究・教育機構 2026)。
ジンベエザメとCITES:2003年2月13日に附属書II掲載が発効/2026年3月5日に附属書Iへ移行、貿易は科学目的に限定
日本は附属書I掲載に留保を付けている
日本は、この附属書I掲載についても留保を付けています。
水産庁と水産研究・教育機構は、留保の理由として二つを挙げています。一つは、国連食糧農業機関(FAO)の専門家助言パネルが、ジンベエザメは附属書Iの掲載基準を満たさないと評価していること。もう一つは、漁業管理は地域漁業管理機関(RFMO)または沿岸国・地域が担うべきだという日本の立場です(水産庁・水産研究・教育機構 2026)。
留保を付けているため、日本国内では、ジンベエザメは引き続き附属書II掲載の扱いとなります(水産庁・水産研究・教育機構 2026)。
なお日本は、2003年の附属書II掲載のときにも留保を付けており、ウバザメ、ホホジロザメ、ヨゴレ、シュモクザメ類、ニシネズミザメなどについても同様に留保しています(水産庁 2023)。
留保を付けると取引は自由になるの?
ここは誤解されやすい部分です。
笹川平和財団 海洋政策研究所によると、附属書の改正後90日以内であれば、締約国は留保を付すことが認められています。留保を付した種について、その国は非締約国として扱われます。ただし、留保を付していない他の締約国との取引では、輸出許可書の発給と実質的に同等の規制が必要になります(海洋政策研究所 2023)。
つまり、留保を付けても、取引の相手国が留保していなければ規制はかかります。
ボン条約(CMS)にも掲載されています
ジンベエザメを守る国際的な枠組みは、ワシントン条約だけではありません。
IUCNレッドリストの2025年評価によると、ジンベエザメは1999年にボン条約(CMS)の附属書IIへ、2017年に附属書Iへ掲載されました。CMSの締約国は、附属書I掲載種について、捕獲を原則として禁止すること、生息地を保全し必要に応じて回復すること、移動を妨げる要因を取り除くことなどに努めるものとされています(Womersley et al. 2025)。
ジンベエザメは、CMSのサメ類に関する覚書(サメ類MOU)の附属書Iにも掲載されています。この覚書は法的拘束力を持たない枠組みで、2025年時点の署名国は49か国です(Womersley et al. 2025)。
ワシントン条約以外の漁業規制
ジンベエザメについては、マグロ類の地域漁業管理機関でも管理措置が定められています。
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、インド洋まぐろ類委員会(IOTC)、全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の四つは、ジンベエザメを視認した際に、その付近でまき網漁を行うことを禁止しています(水産庁・水産研究・教育機構 2026)。
WCPFCは2015年12月の年次会合で、まき網に囲まれたジンベエザメを安全に放流するためのガイドラインも採択しています(水産庁・水産研究・教育機構 2026)。
ジンベエザメ?ジンベイザメ?

東日本では初の水槽展示となった『横浜・八景島シーパラダイス』のジンベエザメ。2010年8月に千葉県館山市沖の定置網に迷い込んだもので、全長は約4.5m。国内では5番目。
水族館やサメ図鑑の表記は、標準和名の「ジンベエザメ」です。
漢字表記で、甚平鮫(ジンベエザメ)はありますし、甚平(ジンベイ)柄なので、ジンベエザメでもジンベイザメでも正解にみえますが、一般的に使われている表記は標準和名の「ジンベエザメ」になります。
ジンベエザメは人食いザメなの?人間への危険性は?
ジンベエザメはウバザメやオニイトマキエイといった大型海洋動物種と同様にプランクトンを濾過します。
沿岸の浮遊甲殻類を3000本以上の小さな歯のある巨大な口腔内に吸い込み捕食します。
ただし、ジンベエザメの場合は活発な狩人という側面もあり、イワシの密集した群れを丸呑みしたり、かなりの大きさのマグロを飲み込むこともあります。
人間に対しては無害なので、ジンベエザメは獰猛な人食いザメではありません。
しかしながら、挑発されたジンベエザメがスポーツフィッシングボートに体当たりするケースが数件発生しています。
また、ジンベエザメは大型のサメなので、水面で日光浴をしたり餌を食べているときに誤って船にぶつかることがあります。
ジンベエザメに飲み込まれたら
イワシの密集した群れを捕食していたニタリクジラにダイバーが飲み込まれそうになった事件がありました。
この方は数秒後に脱出できましたが、ニタリクジラの口の圧がすごかったとか。
そのまま水中に潜ったら危なかったですね。
ジンベエザメに吸い込まれたらどうなる!?食べられた人の話
ジンベエザメに吸い込まれたらどうなるのか・・・サメ好きなら一度は想像したことがあるのではないでしょうか。
冒険好きで知られる英バージン・グループのリチャード・ブランソン会長(61)が 先月初め、メキシコの海で巨大なジンベエザメに“食べられていた”ことが分かった。
7月31日、英紙デーリー・テレグラフが伝えた。
ブランソン会長はメキシコ南東部カンクン沖でジンベエザメと一緒に泳いでいる際、 突然目の前が真っ暗になり、口の中に入ってしまったことに気づいたという。
しかし、温厚なジンベエザメはブランソン会長を優しくはき出し、事なきを得たようだ。
引用:産経新聞(SANKEI EXPRESS)「英バージン・ブランソン会長、ジンベイザメに“食べられた”」2011年8月2日(元記事は公開終了。インターネット・アーカイブ保存版で確認、2026年7月19日閲覧)
ジンベエザメに吸い込まれた(食べられた?)人がいましたが、こちらも無事だったようです!
ジンベエザメの口は大きいですが、食道が小さく、プランクトンが通っていく喉はコインほどの大きさしかありません。
おそらく、ジンベエザメは人間を吸い込んでしまっても違和感を感じて、すぐに吐き出すのではないでしょうか。
よっぽどの不運がいくつも重ならない限りは、ジンベエザメによるサメ事故は起こらないと予想されます。
【2026年7月追記】この出来事は、どう語られたのか
(2026年7月追記)
上の記事を読むと、ブランソン氏がたまたま泳いでいてジンベエザメに食べられた、という話に見えます。ところが調べてみると、少し違う輪郭が出てきました。
ブランソン氏がカンクンにいた理由
環境保護団体WildAidによると、ブランソン氏は同団体とともにカンクン沖で300頭のジンベエザメと泳ぎました。目的は、サメを鰭のために殺して得られる利益よりも、生きたサメを見に来る観光のほうが経済的な価値が大きいことを示すことでした。WildAidは、ジンベエザメ観光の価値を世界全体で年間4,700万米ドル以上と見積もっています(WildAid)。
ブランソン氏はこのとき、サメは食物連鎖の頂点にあって海の生態系のバランスを保っており、保全観光の数字を見れば、沿岸地域にとってサメは死んでいるより生きているほうが役に立つ、と述べています(WildAid)。
ブランソン氏一家がメキシコにいたのは、ヴァージン・アトランティック航空のロンドン・ガトウィック=カンクン直行便の就航を記念するためで、その滞在中にこの遠征へ立ち寄ったという経緯です(WildAid)。
ハフポストによると、ブランソン氏は自身のブログで、ジンベエザメの鰭を切り落として残りを海へ捨てる人が中国と日本にいまだにいると書いています(HuffPost 2011)。
その後、2011年9月には上海で、WildAidアンバサダーの姚明(ヤオ・ミン)氏とともにフカヒレスープの禁止を呼びかけています(WildAid)。
本人の言葉と、見出しの主語
ハフポストがデーリー・テレグラフの取材内容として伝えているところによると、ブランソン氏はこう語っています。カンクン沖でジンベエザメの周りを泳いでいたら、気づいたときには自分がその内側に入り込んでいた、と(HuffPost 2011)。
つまり本人の説明では、動いたのはブランソン氏のほうです。一方、日本語で流通した見出しは「ジンベイザメに“食べられた”」でした。サメが食べた、という形になっています。
本人の言葉:自分がジンベエザメの内側に入り込んでいた/日本語の見出し:ジンベイザメに“食べられた”
確認できなかったこと
なお、ブランソン氏のこの発言は、ハフポストがデーリー・テレグラフの取材内容として伝えたものです。今回、テレグラフの原記事そのものには到達できませんでした。そのため、「食べられた」という枠づけが英語報道の段階からあったのか、日本語になる過程で強まったのかは特定できていません。ここは分かっていないこととして残しておきます。
ただし、ハフポストの記事では、この出来事は「少し近づきすぎた一件」という調子で紹介されており、サメが人を食べたという書き方はされていません。
※当時のジンベエザメの保全状況は、IUCNレッドリストの危急種(VU)でした(HuffPost 2011)。絶滅危惧種(EN)になるのは、2016年の再評価以降です。
なおジンベエザメの口の幅は最大1.5mほどです。
わたしの身長はちょうどそれくらいなので大型のジンベエザメならわたしを吸い込むことができるかもしれませんね 笑
『横浜・八景島シーパラダイス』のジンベエザメ

東日本では初の水槽展示となった『横浜・八景島シーパラダイス』のジンベエザメ。2010年8月に千葉県館山市沖の定置網に迷い込んだもので、全長は約4.5m。国内では5番目。
「ジンベエザメ」の飼育について
『横浜・八景島シーパラダイス』では、2010年10月から2016年10月までの期間、「ジンベエザメ」のオスのジンベエザメ「八兵衛」とメスのジンベエザメ「七海」の2頭の飼育経験があります。
2018年に3頭目になるジンベエザメを飼育展示しましたが、2019年2月18日(月)16時25分に死亡しました。
貴重な生きものたちが集まる東京湾
東京湾には、夏になると南にすむ魚たちがたくさん訪れます。その中で最も大きな魚が「ジンベエザメ」です。「ジンベエザメ」は、夏場の海水の温度が上がる時期に、黒潮の暖流にのって、わたしたちの身近にある東京湾にも回遊してきます。今年は台風が多く、例年より海流が沿岸に近づいたことから、漁師さんの定置網に迷入したと考えられます。
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000258.000011571.html
ジンベエザメを水族館で見たい

東日本では初の水槽展示となった『横浜・八景島シーパラダイス』のジンベエザメ。2010年8月に千葉県館山市沖の定置網に迷い込んだもので、全長は約4.5m。国内では5番目。
ジンベエザメは、日本、中国、ジョージア水族館(アメリカ)などの水族館で飼育されています。
「ジンベエザメ」は、日本国内では沖縄の「沖縄美ら海水族館」、大阪の「海遊館」、鹿児島の「いおワールドかごしま水族館」、石川の「のとじま水族館」で飼育されています。
「横浜・八景島シーパラダイス」が日本国内では5館目で東日本唯一の展示施設でしたが、2019年2月18日(月)16時25分に死亡しました。
ジンベエザメがいる水族館一覧
2026年7月時点、ジンベエザメを飼育している水族館の一覧はこちら。
- 大阪海遊館
- かごしま水族館
- 沖縄美ら海水族館
※最新の飼育情報については各水族館が発信している最新情報や日本動物園水族館協会の公式サイト内の飼育動物検索でジンベエザメを検索してみてください。
また生きものの状態によっては展示してない場合があるので注意しましょう。
2021年2月現在、東日本でジンベエザメに会える水族館はありませんが、アクアワールド大洗(茨城県)に2022年度末オープン予定の新展示水槽がジンベエザメ専用の飼育施設になるとのこと。
アクアワールド大洗の新展示水槽は日本最大となる水量8,000トン。
これは、海遊館の「太平洋水槽」約5,400トン、美ら海水族館の「黒潮大水槽」約7,500トンを大きく上回ります。
アクアワールド大洗でジンベエザメに会えるのが楽しみです(※中止になりました)。
追記:
残念ながら、アクアワールド大洗の「ジンベエザメ展示」は雲行きが怪しくなってしまったようです。
サメの飼育種類数が全国最多のアクアワールド茨城県大洗水族館(同県大洗町)。茨城県が一層の集客を目指して掲げる「ジンベエザメ展示」が波紋を広げている。県議会から「唐突だ」などと慎重論が上がり、2020年度予算で関連費が当初案から87%減額された。20年度の目玉施策の一つだが、当初予定していた22年度末の展示開始に向けたハードルは高くなった。
「個人的には非常に不可解で、いったい何が起きているのかという印象を持っている」。大井川和彦知事はジンベエザメ騒動を振り返る。県は20年度予算案でジンベエザメ展示の関連費として3億4700万円を計上した。だが、県議会最大会派のいばらき自民党などが反対。県議会予算特別委員会で4500万円に大幅減額する修正案が全会一致で可決された。
引用:日本経済新聞、茨城のアクアワールド大洗 ジンベエザメ展示に「待った」2020年3月27日
日本経済新聞によると、なんと2020年度予算で関連費が当初案から87%減額とのこと。
参考文献一覧
参考サイト:
https://www.floridamuseum.ufl.edu/discover-fish/species-profiles/rhincodon-typus/
参考文献一覧(2026年7月追記分)
- Eckert, S.A. and Stewart, B.S. (2001) Telemetry and satellite tracking of whale sharks, Rhincodon typus, in the Sea of Cortez, Mexico, and the North Pacific Ocean. Environmental Biology of Fishes, 60, 299-308.
- Gunn, J.S., Stevens, J.D., Davis, T.L.O. and Norman, B.M. (1999) Observations on the short-term movements and behaviour of whale sharks (Rhincodon typus) at Ningaloo Reef, Western Australia. Marine Biology, 135, 553-559.
- HuffPost (2011) Richard Branson swims with whale sharks. https://www.huffpost.com/entry/richard-branson-whale-sharks_n_921921 (accessed 2026-07-19).
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