とある日の京急油壺マリンパークのチョウザメ水槽の前にて。
男性:このサメは人を襲わないサメなんだよ。
女性:そうなんだ〜。
実はチョウザメをサメの仲間だと誤解している人は意外と多いんですよね。
今回のブログではサメの仲間だと勘違いされがちなチョウザメについて紹介します。
チョウザメはなんの仲間?
まず、はじめに結論からいうと、チョウザメはサメの仲間ではありません。
チョウザメは硬骨魚類、サメは軟骨魚類です。
チョウザメ目とは
チョウザメとは、チョウザメ目の魚の総称、または学名“Acipenser medirostris Ayres”の標準和名を指します。
一口にチョウザメといってもさまざまな種類のチョウザメがいます。
チョウザメ目の基本情報
次に、チョウザメ目の基本情報を紹介します。
- 標準和名
- チョウザメ目
- 学名
- Acipenseriformes
- 種類
- 27種
- 保全状況
- 2種は野生絶滅、ほとんどの種が絶滅寸前の危機的状況
- 危険度
- 分布
- 北米とユーラシア大陸の亜熱帯から亜寒帯の海域。北アメリカ、ロシアの沿岸や河川・湖沼。赤道以南に自然発生する種は知られていない。
- 日本国内での分布域
- 環境省のレッドリストで絶滅。かつては、北海道や東北の沿岸、石狩川、天塩(てしお)川、釧路川、十勝川などの河川で見られた。
- 生息域
- 部分的に溯河性で、淡水で産卵し、河口の栄養分の多い汽水域で餌を食べるか、海岸線に沿って大きな移動。
- 大きさ
- 平均的な全長は1〜4m
- 最大全長
- 5.5m
- 体重
- 〜200kg
- 平均寿命
- 平均寿命は50〜60歳
- 最大寿命
- 記録上最古のミズウミチョウザメは152歳
- 生息年代
- 白亜紀
- 発見された年
- 1831年
- 水族館で会える可能性
- ペットとして飼育できる可能性
チョウザメ科の特徴はひげ
チョウザメ科の特徴は4本のヒゲが生えていることです。
油壺マリンパークでは49年間飼育されていたことからわかるようにチョウザメは長寿な魚です。
※余談ですが、油壺マリンパーク閉館後、チョウザメたちは日本で一番標高の高いところにある箱根園水族館(海抜723m)へお引越ししました。
チョウザメの名前の由来
気になるのがチョウザメの名前の由来です。
チョウザメはウロコの形が蝶々に似ており、体の形状がサメに似ていることから「チョウザメ」になりました。
チョウザメも絶滅の危機
高級食材キャビアでよく知られているチョウザメですが、そのキャビアのためにICUNでは準絶滅危惧種に、環境省のレッドリストでは絶滅と評価されています。
そうなってしまった原因は、チョウザメを捕まえたらすぐに殺してキャビアをとっていたためです(Ref.1 p.207)。
今はチョウザメの保全のため、チョウザメに麻酔をかけ、お腹を切開し、キャビアを取り出したのちに放流しているそうですが、倫理的に考えて正しいことなのでしょうか。
高級食材として人間が「消費」しているフカヒレやキャビアのためにサメやチョウザメたちが犠牲となっているのです。
サメのフカヒレのように殺すわけではありませんが、あまり好ましい方法には思えません。
人間の食文化によって絶滅の危機にあるという意味では、サメとチョウザメは同じような位置にいるのかもしれません。
(1)田中彰『深海ザメを追え』宝島社、2014年(第1刷)。