フカヒレを目的としたサメの密漁
このブログでは、フカヒレを目的としたサメの密漁についてまとめました。
シャークフィニングについては「サメのヒレだけ取る残酷なシャークフィニングと持続可能なサメ漁 SDGs14」をどうぞ。
なぜフカヒレは価値があるのか
フカヒレは中国文化の中で特別なご馳走であり、ステータスの象徴であるフカヒレスープの材料として使用されます。
その結果、フカヒレは金銭的価値が高いものとなり、漁師にとって魅力的なターゲットとなります。
また、サメの種類、大きさなどによって、フカヒレはとても高価なものとなります。
ウバザメやジンベエザメのような巨大ザメのフカヒレは特に高級品として扱われているそうです。
フカヒレ漁の禁止
一部の国ではフカヒレ漁を禁止しており、ヒレを取り除く前にサメ全体を港に戻すことを義務付けています。
サメは頂点捕食者であり、海洋生態系を維持する上で重要な役割を果たします。
フカヒレ漁によるサメの乱獲は海洋生態系は資源・生態系の持続性に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒレを切られたサメはどうなる
生きたままサメのヒレを切り取り、海に投棄することをシャークフィニングといいます。
サメは切り取られたヒレを元どおりに再生させることはできません。
ヒレを切り取られた後に海に投げ戻されたサメが少しの間生きていることがよくあるそうです。
当然ながら、サメはヒレがないためうまく泳ぐことができず海底に沈んで窒息死したり、失血、または簡単に捕食されてしまい死んでいます。
体の一部が切り取られてもすぐに死ぬこともなく、苦しみながら死んでいくのです。
資源・生態系の持続性の問題だけではなく、サメに対する倫理的配慮という面から見てもシャークフィニングは許しがたい行為です。
フカヒレを目的としたサメの密漁の一覧表
2021年までに起きたフカヒレを目的としたサメの密漁について一覧表にまとめました。
随時更新しますが、更新しないで済むことを祈るばかりです。
日付 | 国 | 場所 | サメ密漁の概要 | ソース |
---|---|---|---|---|
2016年 5月31日 | 中国系企業 | インドネシア マルク州西セラム県 カスンバ島 | インドネシアではジンベエザメを含む9種のサメの捕獲や輸出が規制されているが、フカヒレなどの密輸が横行。 中国への輸出目的で全長4mのジンベエザメ2匹をいけすでを飼育していた企業を摘発。 飼育したジンベエザメは中国に生きたまま輸出する計画。 保護した2匹は海にかえすという。 | じゃかるた新聞『ジンベエザメ密漁摘発 マルク州で海洋水産省 中国輸出用に飼育か』 |
2017年 8月16日 | 中国漁船 | 南米エクアドル ガラパゴス諸島沖 | ガラパゴス諸島で拿捕された大型の中国船から数千匹のサメを発見。 一切の漁業が禁じられている海洋保護区で世界で最もサメが多い海域。 絶滅危惧種のシュモクザメなどサメを密猟した疑い。 赤ちゃんを含む若いサメが含まれていた。 | BBC『ガラパゴス諸島でサメ密猟か エクアドル当局が中国漁船を拿捕』 |
2018年 11月6日 | 日本のマグロ漁船 | 南太平洋 | 約1年間のマグロ漁の間に日本のマグロ漁船が、南太平洋などで高級食材フカヒレを手に入れるためサメ約300匹を密漁していた疑い。 インドネシア国籍の漁師の一人は、「生きたサメからヒレを切って、体を投げ捨てた。船長から指示された」と供述。 日本側はこちらが知らない間に、インドネシア人の船員がサメの解体を行っていたと主張。 | 東スポ『日本のマグロ漁船サメ密猟の疑い インドネシア人漁師供述の真相は?』 |
2020年 2月4日 | - | 南アメリカ | マイアミ港で635kgのフカヒレを押収。 アジアに出荷するためのものとみられている。 このフカヒレの価値は日本円で7,000万円から1億円の間であると推定されている。 | 1,400 pounds of shark fins seized at PortMiami |
2021年 8月18日 | 中国 | - | 英環境NGOのEnvironmental Justice Foundation(EJF)がインタビューしたインドネシア人乗組員のほぼ全員が、サメのヒレを切り落とし、残りの部分を廃棄するフィニングが、中国船で大規模に行われていたと報告。 | 英語版の共同通信“Japan likely imports fish from Chinese ships flagged for illegal acts”、Shark finning rampant across Chinese tuna firm’s fleet |
2021年 9月24日 | コロンビア | 中南米近海 | コロンビア市内の国際空港で香港へのフカヒレ3493枚の密輸を水際で阻止。 コロンビア国家漁業養殖局は今年4月からサメの商業利用を一切禁じているが、 中国漁船団による近海でのイカ乱獲や、 中国市場向けのサメ密漁が各地で問題となっている。 フカヒレを取るために全長1~5mのサメ 900~1000匹が殺されたとみられている。 | コロンビアで大量のフカヒレ押収 香港行き、魚の浮袋も |
2020年フカヒレの大規模な密漁が発覚
1,400 pounds of shark fins seized at PortMiami https://t.co/9cLXy1kofO pic.twitter.com/7IvhSm0OJ0
— South Florida Sun Sentinel (@SunSentinel) February 4, 2020
2020年2月のSouth Florida Sun Sentineによると、野生動物の保護管理を専門に行うアメリカ合衆国魚類野生生物局(United States Fish and Wildlife Service、略称:FWS)はマイアミ港で635kgのフカヒレを押収しました。
FWSによるとフカヒレは全部で18箱、南アメリカから届いたもので、おそらくアジアに出荷するためのものとのことです。
このフカヒレの価値は日本円で7,000万円から1億円の間であると推定されています。
フロリダ州は米国でのサメ貿易の中心地として悪評を博していますが、州議会議員は月曜日にフカヒレの所持を禁止する法案を提出しました。
アメリカではシャーク・フィニングは禁止されています。
連邦法では、ヒレを切る前のサメを港に運ぶことが義務付けられています。
このようにアメリカではすでにフカヒレ漁は違法ですが、フカヒレ加工を許可している国からの輸入品を含め、フカヒレの売買が続いています。
また、12の州で禁止令が出されていますが、一部の州ではフカヒレが輸出入され続けています。
現在、ほとんどの州でフカヒレの所持と販売については禁止していません。
そこでサメの保護を支持する人たちは、フカヒレの取引を禁止する国内法を制定するよう米国議会に働きかけています。
フロリダ州議会におけるフカヒレ漁に対する罰則の提案では、初犯には4,500ドルの罰金を課し、6か月間漁業を制限、また3回の違反で漁業免許の永久失効、さらに最大9,500ドルのペナルティという内容です。
これに対し、フロリダの漁師を含む漁業グループは、フカヒレ漁に対する罰則が不必要であり、漁師にとってデメリットであると反対しています。
2020年になっても終わることのないフカヒレ漁の問題。
毎年、何百万匹ものサメが密輸業者によるシャークフィニングで生きたままヒレを切断されて殺されています。
シャークフィニングは持続可能なサメ漁だけではなく、生命倫理という観点からも非難されています。
また、サメのヒレは高い値段で取引されることから生活のために密漁してしまうという貧困に起因する原因もあるようです。
サメの乱獲はサメの保全だけではなく、持続可能な漁業、貧困などともつながる問題です。
サメのヒレだけ取る残酷なシャークフィニング
サメによって命を奪われる人間は毎年平均4人ですが、フカヒレスープを作るために毎年1億匹以上のサメが殺されています。
つまり、1日に約24万7,000匹のサメが殺され、1時間ごとに11,000匹のサメが殺されているということになります。
驚異的な数のサメがフカヒレのために殺されているのです。
サメのヒレだけ取るシャークフィニングの問題については「サメのヒレだけ取る残酷なシャークフィニングと持続可能なサメ漁 SDGs14」をどうぞ。
有名人とサメの保護
有名人とサメの保護についてのトピックスを紹介します。
ニーナ・ドブレフのサメ保護キャンペーン
わたしも大好きな海外ドラマ『ヴァンパイア・ダイアリーズ』のエレナでおなじみのニーナ・ドブレフがサメ保護キャンペーンを行なっています。
オセアナのサイト内にあるニーナ・ドブレフはサメを救いたいという見出しのキャンペーンページの中で「オセアナと協力して、健全な海のための戦いを支援できることにワクワクしています。[・・・・・・]わたしは以前からサメに魅了されていました。はじめは怖かったのですが、サメがどんなに素晴らしい生き物であるかを知ってからは、サメの保護を求めるオセアナのキャンペーンをサポートする必要があると思いました。[・・・・・・]サメはとても優雅で、わたしに興味を示さないことにとても驚かされました。サメはユニークで魅力的な生き物であり、わたしたちが敬意を払うべきものです。アメリカが世界中でフカヒレの需要を減らするための良い手本になる絶好の機会です。」とニーナは述べています。
https://www.instagram.com/p/BW7rRlVHEPv/?utm_source=ig_web_copy_link
皆さんこんにちは、ニーナです。
今回は @Oceanaのインスタをお借りして、最近オセアナと行ったビミニでのとサメの旅の舞台裏をご紹介します。
ヴァンパイア・ダイアリーでのわたしの役柄をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、サメと海を守るためのわたしの情熱についてはご存知ないかもしれません。
サメと一緒に泳ぎ、共存できたことは素晴らしい時間でした。
サメのいいところをもっと紹介しますので、お楽しみに。
Everyone's voice matters. Use yours to demand a #FinBanNow with me and @oceana https://t.co/RTAkv65HyE pic.twitter.com/VXDH2N2xpL
— Nina Dobrev (@ninadobrev) July 26, 2017
吉川ひなのさん『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』
わたしも大好きな吉川ひなのさん。
2021年5月に発売した著書『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』の中でフカヒレ問題に言及していました。
フカヒレ加工の残酷さは有名で、それゆえ食べない人も多いと思う。世界三大珍味と言われるフォアグラは、ソーシャルメディアの発展からその残酷さが広まり反対運動が起きているけれど、果たして、鶏や豚や牛などわたしたちの食卓で毎日見かけるこの動物たちがお肉になるまでにどんなふうに扱われ、どれだけの苦しみの中で殺されていくのかは、どれだけの人が認識しているのだろう。
引用:吉川ひなの著『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』2021年
ジェシカ・アルバとホホジロザメ
環境問題への意識が高いジェシカ・アルバは2009年、オクラホマ州オクラホマシティのダウンタウンでサメを守る活動のポスターを街中に貼る運動に参加。
この活動は「この50年で個体数が70%も減っているホホジロザメのポスターをゲリラ的に街中に貼るもの。
かなり強力な接着剤を使ったらしく広告の差し替えの弁償や公共物破損で警察も乗り出す大問題になってしまったとか。
ジェシカ・アルバは後日謝罪したそうです。