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ダルマザメは人間を襲う人食いサメ?特徴、画像、大きさ、生息地、日本の水族館にいるの?

2022年4月21日

© Reino / Sharkspedia. AI-generated reproductions or full translations must not substitute for the original article. Please cite and link to the original source.

ダルマザメは人間を襲う人食いサメ?特徴、画像、大きさ、生息地、日本の水族館にいるの?

ダルマザメってどんなサメ?

ひっそりと知名度は上がっているようですが、まだまだ謎多き深海サメのダルマザメ。
このブログでは、ダルマザメの特徴や人間との関わりなどを解説します。

ダルマザメとは

まず、ダルマザメの基本情報を紹介します。

ダルマザメの基本情報

標準和名
ダルマザメ
別名
クッキーカッターシャーク
英語名
Cookie-cutter shark, Cigar shark, Luminous shark
学名
Isistius brasiliensis
保全状況
低懸念(Least Concern / LC)(Kyne 2018)
分類
ツノザメ目(Squaliformes)ヨロイザメ科(Dalatiidae)ダルマザメ属(Isistius)
危険度
シャークアタックの回数
4件のサメ事故(1580-2020年)

※2026年8月追記:その後、フロリダ自然史博物館は、2019年に生きた人が噛まれた事故が3件記録されたと発表しています(Florida Museum of Natural History 2020)。

サメの攻撃が原因の死亡事故
0件のサメによる死亡事故(1580-2020年)
生息域
世界の温帯及び熱帯。沖合海域。深層から漸深層(海面下1000m付近から4000m付近の領域)
分布域
西大西洋:バハマとブラジル南部。東大西洋:カーボベルデ、ギニアからシエラレオネ、アンゴラ南部、南アフリカ(アセンション島を含む)。インド太平洋:モーリシャスからニューギニア、ロードハウ島、ニュージーランド。日本、ハワイ諸島。東太平洋:イースター島とガラパゴス諸島。
日本国内での分布域
駿河湾の深海(2023年12月には、高知県室戸市沖の定置網でも生きた個体が確認されました)
水深
85〜3500m
大きさ
平均的な全長は38〜44cm

※この38〜44cmという範囲は、IUCNレッドリスト評価書とFishBaseがメスの成熟サイズとして記載している値と一致します(Kyne 2018)。

最大全長
最大56cm。

※56cmはメスの記録です。オスは42cmまでとされており、メスのほうが大きくなります(Compagno 1984、FishBase 経由で参照)。

体重
- kg
平均寿命
- 歳。

※サメの年齢を推定するのは難しく、多くのサメが過小評価されている可能性があるので今後さらに長くなる可能性もあります。

最大寿命
- 歳
繁殖方法
卵胎生
妊娠期間
調査中
産仔数
6〜12匹

※IUCNレッドリスト評価書が挙げているのは、調べられた妊娠個体1頭に9匹の胎仔がいたという報告のみです(Kyne 2018)。

幼魚の大きさ
14〜15cm(出生時の全長。Kyne 2018)
繁殖サイクル
調査中
成熟年齢
- 歳
成熟サイズ
オス:36cm、メス:39cm

※IUCNレッドリスト評価書は、オス31〜37cm、メス38〜44cmと記載しています(Kyne 2018)。

歯の形状
上顎がトゲ状、下顎が鋸歯状
1日の過ごし方
日中は水深1000m以深の深海に生息、夜間は表層に移動して餌を探す。
好きな食べ物
イカ、小魚、イルカ、メカジキ、マグロなどの大型魚類
発見された年
1824年

※学名 Isistius brasiliensis (Quoy & Gaimard, 1824) が記載された年です。

サメが住んでいる水深

※水深200mの深海を星5と評価

巨大ザメ指数

※最大全長が5m以上のサメを星5と評価

水族館で会える可能性
ペットとして飼育できる可能性

ダルマザメは危険な人食いザメなの?

ダルマザメは体も小さく、沖合に住む深海ザメなので危険な人食いザメではありません。
ただし、船舶事故などの特殊な状況下では、人間を襲い怪我をさせる可能性がありますが、めったに起きることではないでしょう。

ダルマザメは人間を噛む?

フロリダ自然史博物館の国際サメ襲撃事件目録(International Shark Attack File/ISAF)によると、ダルマザメが人間を噛んだ事故は4件記録されており、それらはすべてハワイで起きています(フロリダ自然史博物館「Cookiecutter shark」)。

Oceanaによると、ハワイで起きたダルマザメの攻撃はかなり特殊な状況で起きています。
ダルマザメに噛まれた人は遠泳選手で、夜にライトをつけたボートに囲まれてハワイの島々を結ぶ超長距離を泳いでいたそうです。
その遠泳選手はダルマザメにふくらはぎを噛まれて、ひどい傷跡が残ったそうですが、それ以外は後遺症が残るようなことはなかったとのことです。

日本でもダルマザメに噛まれた人がいる?

日本でもダルマザメが人間を噛んだ事故が記録されています。

漁船「春日丸」の転覆事故(2012年3月23日、鹿児島県奄美市名瀬港西北西方沖約140km)について、運輸安全委員会が公表した『船舶事故調査報告書』(MA2013-8、2013年8月30日公表)には、漂流中の乗組員が「ダルマザメに肌の露出部をかまれて体力を消耗していたものと考えられる。」という記録があります。

ダルマザメが人を噛んだ記録のその後

フロリダ自然史博物館は、2019年に生きた人が噛まれた事故が3件記録されたと発表しました。噛まれたのはいずれも、ハワイのカイヴィ海峡を夜に泳いでいた遠泳選手です。それまで記録されていた生存者の被害は2009年と2017年の2件だけだったため、1年に3件というのは初めてのことでした(Florida Museum of Natural History 2020)。2009年の1件は、ハワイ島とマウイ島を結ぶアレヌイハハ海峡を泳いでいた男性が2度噛まれたもので、開いた傷は皮膚移植で治療され、9か月かけて治りました(Honebrink et al. 2011)。

2017年の1件は、オーストラリアの北クイーンズランドでシュノーケリングをしていた7歳の子どもが、ふくらはぎを噛まれたものです(Florida Museum of Natural History 2020)。上の「すべてハワイで起きています」という集計とは食い違いますが、これは資料によって数え方が違うためで、どちらかが誤りというわけではありません。

Minaglia & Liegl(2024)は、ハワイで1961年から2023年までに単独で海峡を泳ぎ切った129件と、ダルマザメ属による負傷5件を比べました。月も太陽も沈んでいた暗い時間帯に泳いだ人では12%が噛まれたのに対し、月または太陽が空にあった時間帯では1%でした。この研究では、世界で確認された生存者の被害は7件で、そのうち6件がハワイとされています。

ここまでの記録を見ると、ダルマザメが生きた人を噛んだ例は、真っ暗な夜の外洋を長時間泳ぎ続ける状況に集中しています。

ダルマザメの生態や特徴

ダルマザメは小さな葉巻型の深海ザメです。
吸盤型の口、鋭い歯、大きな緑色の目、体の後部に小さなヒレが特徴です。

上面が暗褐色、下面が明色で、首の周りに暗色の帯があります。
ダルマザメは腹側が緑色に光ります。
発光性のサメです。

その大きさと深海ザメであるという点から、人間には無害と考えられています。
ダルマザメは大型生物を殺さずに捕食するという性質から、寄生性のサメとみなされています。

ところが、捕食対象の大きさによってはそうはいってられないこともあります。

ダルマザメの胃の内容物

しな水の深海生物展~海の底からこんにちは~開催期間:2022年3月5日~5月9日(しながわ水族館)

こちらは、ダルマザメの胃の内容物のイカのくちばしです。
このダルマザメの胃の内容物の標本ではイカは丸呑みしているのがわかります。
つまり、獲物の大きさ、噛みついた位置によっては、ダルマザメは相手の命を奪ってしまうのですね。

ダルマザメのサイズ

ダルマザメのサイズは平均的な全長が38〜44cm。
だいたいのサイズは50cmくらいなのでサメとしては小柄な種です。

ダルマザメの歯

Isistius brasiliensis jaws

D Ross Robertson, Public domain, via Wikimedia Commons

Oceanaによると、ダルマザメは他の種とは異なり、抜けた歯を意図的に飲み込むそうです。
歯の形成に重要なカルシウムなどを再利用しているのかもしれないとか。
深海ザメであるダルマザメならではの生存戦略ですね。

ダルマザメの一口

Isistius brasiliensis front view

NOAA Photo Library, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

ダルマザメは獲物に噛みつき、顎を閉じると、体をくるっと回転させて、鋸歯状の下の歯で肉塊を切り取ります。
噛まれた獲物にはクッキーを型抜きしたような直径約5cm、深さ約7cm程度のクレーター状にくぼんだ噛み跡が残ります(北村 2005、運輸安全委員会 2013 経由で参照)。

ダルマザメにかじられたイルカ

Cookie cutter shark bites

Wayne Hoggard NOAA/NMFS/SEFSC, Public domain, via Wikimedia Commons

ダルマザメにかじられたイルカです。命を奪われることはありませんが、丸くかじり取られた傷口が痛々しいですね。

ダルマザメの胃の内容物

ダルマザメは人間を襲う人食いサメ?特徴、画像、大きさ、生息地、日本の水族館にいるの?

しな水の深海生物展~海の底からこんにちは~開催期間:2022年3月5日~5月9日(しながわ水族館)

ダルマザメの胃の内容物

しな水の深海生物展~海の底からこんにちは~開催期間:2022年3月5日~5月9日(しながわ水族館)

こちらの写真はダルマザメの胃の内容物です。
クッキー状に切り取られた肉片を確認することができます。

ダルマザメの咬合力

ダルマザメが咬む力そのものを測った研究は確認できませんでした。ただし、潜水艦のソナードームを覆うネオプレン(合成ゴム)や、ゴムで覆われた電気ケーブルに咬み傷をつけた例が報告されています(Johnson 1978)。

ダルマザメと潜水艦

ダルマザメは、原子力潜水艦のソナードームにクレーターの跡を残したという報告もあります。
原子力潜水艦はダルマザメ対策として、電気ケーブルやゴム製のソナードームにグラスファイバーのカバーを付けることとなりました(Johnson 1978)。

ダルマザメの分布域

Isistius brasiliensis distmap

Chris_huh, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons

ダルマザメは、世界中の暖かい海域に広く分布しています。

大西洋での生息域

  • 西部大西洋: バハマ諸島以南からブラジル南部沿岸
  • 東部大西洋: カーボベルデ、ギニアからシエラレオネ、アンゴラ南部、アセンション島を含む南アフリカ

インド太平洋での生息域

  • インド洋: モーリシャスからニューギニア
  • 太平洋: ロード・ハウ島、ニュージーランド、日本(駿河湾の深海など)、ハワイ諸島、イースター島沖、ガラパゴス沖
  • オーストラリア: クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、タスマニア州、西オーストラリア州

ダルマザメの生息域

ダルマザメは海中を垂直に移動するサメです。

日中は水深3,281フィート(1,000m)以深の深海に生息し、夜になると餌を探すために海面近くまで移動します(フロリダ自然史博物館、Kyne 2018)。

ダルマザメの個体数

ダルマザメは商業的に漁獲されていません。外洋のトロール漁や延縄漁で混獲されることはありますが、体が小さいことと、生息する深さや行動から、捕獲される機会は限られています(Kyne 2018)。
IUCNは、ダルマザメの分布域が非常に広いことと、混獲が限られていることから、低懸念(LC)と評価しています(Kyne 2018)。個体数が増えているのか減っているのかは、まだ分かっていません。
ダルマザメを対象とした保全措置は、現在のところ取られていません(Kyne 2018)。

ダルマザメを水族館で見たい

ダルマザメは人間を襲う人食いサメ?特徴、画像、大きさ、生息地、日本の水族館にいるの?

しな水の深海生物展~海の底からこんにちは~開催期間:2022年3月5日~5月9日(しながわ水族館)

ダルマザメは深海ザメですし、あまり見つからないサメなので水族館で見る機会はほぼないでしょう。
運がよければ、標本を見ることができるかもしれません。
もしも、水族館でダルマザメの標本を見つけたらじっくりと観察してみましょう。

ブログで使用しているダルマザメの写真について

ダルマザメは人間を襲う人食いサメ?特徴、画像、大きさ、生息地、日本の水族館にいるの?

しな水の深海生物展~海の底からこんにちは~開催期間:2022年3月5日~5月9日(しながわ水族館)

ダルマザメは人間を襲う人食いサメ?特徴、画像、大きさ、生息地、日本の水族館にいるの?

しな水の深海生物展~海の底からこんにちは~開催期間:2022年3月5日~5月9日(しながわ水族館)

ブログで使用しているダルマザメの写真は、2022年3月5日~5月9日にしながわ水族館で開催された「しな水の深海生物展~海の底からこんにちは~」で展示されていたダルマザメの標本です。
この標本について、ダルマザメではなく、ツラナガコビトザメだというご指摘をいただきましたが、

  1. ダルマザメは背ビレの位置が体の後方に位置。
  2. ヨロイザメ科に属するヨロイザメ属、ツラナガコビトザメ属とは背ビレの位置が体のほぼ中心に位置。

この標本の背ビレの位置は体の後方に位置しています。
ここにはアップできませんが、ダルマザメ標本の背ビレ位置が分かる画像も見せていただき、上記の特徴通りであることを確認しました。
上記の特徴および、文献を参照して、ダルマザメの標本だと判断したとのことです。

わたしの判断では、魚を専門としている施設の方の同定の判断に従い、この写真をダルマザメの標本として使用しています。

ダルマザメの標本は、他の施設から借用させていただいたものとのことなので、現在、しながわ水族館にはこのダルマザメ標本はないため、これ以上の回答はいただけないと思います。

わたしはサメの研究者ではなく、手元にこのダルマザメの標本はないため、同定についての質問についてはお答えすることができません。
専門家によるダルマザメ標本であるという判断を優先します。

参考文献一覧

  1. Compagno, L.J.V. (1984) FAO Species Catalogue. Vol. 4. Sharks of the World. Part 1 - Hexanchiformes to Lamniformes. FAO Fisheries Synopsis, No. 125, Vol. 4, Part 1: 1-249. FAO, Rome(FishBase 経由で参照).
  2. Florida Museum of Natural History. Cookiecutter shark. Discover Fishes. https://www.floridamuseum.ufl.edu/discover-fish/species-profiles/cookiecutter-shark (accessed 2026-08-02).
  3. Florida Museum of Natural History (2020) Shark attacks remained low in 2019 – but bites from the elusive cookiecutter were up. https://www.floridamuseum.ufl.edu/science/2019-shark-attacks-low-cookiecutter-bites-up/ (accessed 2026-08-02).
  4. Froese, R. & Pauly, D. (eds.) FishBase: Isistius brasiliensis (Quoy & Gaimard, 1824), Cookie cutter shark. https://fishbase.org/summary/696 (accessed 2026-08-02).
  5. Honebrink, R., Buch, R., Galpin, P. & Burgess, G.H. (2011) First Documented Attack on a Live Human by a Cookiecutter Shark (Squaliformes, Dalatiidae: Isistius sp.). Pacific Science, 65(3): 365-374. https://doi.org/10.2984/65.3.365
  6. Johnson, C.S. (1978) Sea Creatures and the Problem of Equipment Damage. U.S. Naval Institute Proceedings, 104(8): 106-107. https://www.usni.org/magazines/proceedings/1978/august/professional-notes (accessed 2026-08-02).
  7. Kyne, P.M. (2018) Isistius brasiliensis. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T41830A2956761. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T41830A2956761.en (accessed 2026-08-02).
  8. Minaglia, S. & Liegl, M. (2024) Moonless night sky increases Isistius species (cookiecutter shark) and live human contact. PLOS ONE, 19(2): e0291852. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0291852
  9. Oceana. Cookiecutter shark. https://oceana.org/marine-life/cookiecutter-shark/ (accessed 2026-08-02).
  10. 尼岡邦夫 (2009)『深海魚―暗黒街のモンスターたち』ブックマン社(運輸安全委員会 2013 経由で参照).
  11. 北村雄一 (2005)『深海生物ファイル―あなたの知らない暗黒世界の住人たち』ネコ・パブリッシング(運輸安全委員会 2013 経由で参照).
  12. 高知新聞 (2023) 公式X @Kochi_news 2023年12月21日投稿. https://twitter.com/Kochi_news/status/1737798774083535037 (accessed 2026-08-02).
  13. むろと廃校水族館 公式X @murosui_kochi. https://x.com/murosui_kochi/status/1738008381519274445 (accessed 2026-08-02).
  14. 運輸安全委員会 (2013)『船舶事故調査報告書』MA2013-8(漁船 春日丸 転覆、2013年8月30日公表). https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2013/MA2013-8-1_2012tk0016.pdf (accessed 2026-08-02).

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シャーク・アクティビストReinoとにゃぶり

シャーク・アクティビストReino

シャーク・アクティビストのReinoです。 サメ専門ブロガー&YouTuberとしてサメの生態や保全についてお伝えしています。 佐賀県唐津市生まれ、東京育ち。 慶應義塾大学文学部卒業。 保有資格は環境社会検定試験(eco検定)、日本さかな検定(ととけん)3級🐟 関心があるのは、哲学、サメの保全、環境倫理学、水産学、SDGs14。 海やサメ以外で好きなのは、橋本涼さん(B&ZAI)。海属性の人が好き。

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