カグラザメは大型の深海ザメです。
深海調査のドキュメント番組をよく見る方には、沈んだクジラを目当てにぬっと現れる大型のサメとして記憶にあるかもしれません。
まだ多くの謎に包まれているカグラザメですが、2022年11月12日現在、蒲郡市竹島水族館(愛知県)で展示しています。
このブログでは、カグラザメの特徴などを解説します。
カグラザメとは
この写真は、2022年10月20日に蒲郡市竹島水族館(愛知県)で撮影したカグラザメの子ザメの写真です。
まず、カグラザメの基本情報を紹介します。
カグラザメの基本情報
- 標準和名
- カグラザメ(神楽鮫)
- 英語名
- Bluntnose sixgill shark
- 学名
- Hexanchus griseus
- 保全状況
- 準絶滅危惧(Near Threatened / NT)
- 分類
- カグラザメ目カグラザメ科カグラザメ属
- 危険度
- シャークアタックの回数
- 0件のサメ事故(1580-2022年)人への挑発攻撃は1件だけ記録あり
- サメの攻撃が原因の死亡事故
- 0件のサメによる死亡事故(1580-2022年)
- 生息域
- 大陸棚および大陸棚斜面
- 分布域
- 世界中の温帯から熱帯の海
- 日本国内での分布域
- 鹿島灘、千葉県外海域、相模湾、駿河湾、土佐湾、宮古島近海
- 水深
- 0m~2000m
- 大きさ
- 平均的な全長はオス:3.1~3.3m 、メス:3.5~4.2m
- 最大全長
- 482cm
- 体重
- 590kg
- 最大寿命
- 80歳
- 繁殖方法
- 胎生(卵黄依存型)
- 妊娠期間
- 長いと考えられている
- 産仔数
- 22〜108匹
- 幼魚の大きさ
- 60〜75cm
- 繁殖サイクル
- 調査中
- 成熟年齢
- オス:11〜14歳、メス:18〜35歳
- 成熟サイズ
- オス:3m、メス:4m
- 歯の形状
- ノコギリ状の歯
- 1日の過ごし方
- 日中は深海、夜間は海面近く
- 好きな食べ物
- イカ、タラ、サケ、イワシ、ヤツメウナギ、エイなどの大型の硬骨魚や軟骨魚類
- 生息年代
- -
- 発見された年
- 1788年
- サメが住んでいる水深
※水深200mの深海を星5と評価
- 巨大ザメ指数
※最大全長が5m以上のサメを星5と評価
- 水族館で会える可能性
- ペットとして飼育できる可能性
カグラザメは危険で凶暴な人食いザメなの?
カグラザメは生身の人間と出会うことのない深海で暮らしている深海ザメです。
まず出会うことがないため、カグラザメは危険で凶暴な人食いザメということはありません。
挑発されて人間を襲ったという記録が1500年代〜2022年で1件のみあるようです。
カグラザメと人との関わり
カグラザメはIUCNレッドリストで、準絶滅危惧(Near Threatened / NT)と評価されています。
深海魚と対象とした漁で混獲されて、肉や肝油が利用されています。
カグラザメの特徴とは
カグラザメの名前の由来
カグラザメは英語でBluntnose sixgill sharkといいます。
Bluntnoseは団子鼻、尖ってない鼻を意味し、sixgillは6対のエラ孔を意味します。
カグラザメの特徴は丸みを帯びた鼻先、6対のエラ孔があるので、特徴がそのまま由来しています。
カグラザメの目
一般的に深海魚は目が大きいか退化して小さいかのいずれかですが、カグラザメの目は大きいのが特徴です。
深海は光が届きにくいため、少しの光をとらえるために目が大きくなるようです。
新江ノ島水族館のブログ「深海生物の眼は何が見えるの??」によると、深海魚のバラビクニンの目は一般的な魚の1000倍以上の感度があるとか。
カグラザメの大きな目もやはり感度が高いのでしょうか。
気になるところです。
カグラザメの目の色は蛍光グリーンです。
カグラザメの大きさは最大でどれくらい?
カグラザメの大きさは最大でどれくらいなのでしょうか。
平均的なカグラザメの大きさは、平均的な全長はオスが3.1~3.3m 、メスが3.5~4.2mです。
他のサメと同じく、メスの方が平均全長が大きいのですね。
これまでに報告された最大の大きさは、全長482cmのオスの個体です。
水産海洋研究所「珍しい魚(平成26年2月13日)カグラザメ」によると、2014年2月13日に新潟県の佐渡両津湾(白瀬)の水深70mで定置網によって捕獲されたカグラザメは全長4mだったそうです。
カグラザメの寿命
カグラザメの寿命は80歳と考えられています。
しかしながら、カグラザメは謎が多いサメなので、80歳よりも寿命が長い可能性もありますし、短い可能性もあります。
6対のエラ孔
通常サメのエラ孔は5対ですが、カグラザメは6対です。
エラ孔が多いというのは原始ザメの特徴です。
背びれは1基だけ
一般的なサメ背びれの数は2基ですが、カグラザメの背びれは体の後ろのほうに1基となっています。
一般的なサメと比較
カグラザメと一般的なサメの違いを一覧にしました。
カグラザメは一度に100匹以上の子どもを産む多産なサメという特徴もあります。
カグラザメ | 一般的なサメ | |
---|---|---|
エラ孔の数 | 6対 | 5対 |
背びれの数 | 1 | 2 |
胎仔の数 | 108匹 | シロワニ:2匹 ホホジロザメ:2〜14匹 イタチザメ:10〜80匹 |
カグラザメの歯
サメの歯といえば、ホホジロザメの三角形の歯やアオザメやシロワニの突き刺すような歯を思い浮かべる人が多いかもしれません。
カグラザメの歯は長方形に近く、上にギザギザがついています。
たとえるなら、ノコギリのような歯ですね。
カグラザメの捕食シーン
カグラザメは深海調査のドキュメント番組で深海に沈んだクジラに群がる姿がよく撮影されています。
この動画では深海探査艇に体当たりする姿も撮影されています。
カグラザメは臆病ではなく、好奇心が強いサメなのかもしれませんね。
カグラザメを水族館で見たい
カグラザメは飼育が難しいサメの一種です。
これまで日本での展示は以下の4例となっています。
2022年11月12日現在、蒲郡市竹島水族館(愛知県)ではカグラザメの展示を継続しています。
飼育期間 | 水族館名 | 大きさ | メモ |
---|---|---|---|
2013年1月10日〜19日 | 沼津港深海水族館(静岡県) | 全長約2.2m | 水深350mで捕獲 |
2015年1月11日〜1月30日 | 青森県営浅虫水族館(青森県) | 全長約2mのメス | 8日、むつ市大畑町沖の津軽海峡で水深27mの定置網で捕獲。生きたまま捕獲されたのは青森県内で初めて。 |
2015年1月23日〜2月9日 | アクアワールド茨城県大洗水族館(茨城県) | 全長約1m | 1月21日茨城県水産試験場の漁業調査船「いばらき丸」で行われた底魚資源調査中に水深250mで捕獲 |
2022年10月14日〜11月16日 | 蒲郡市竹島水族館(愛知県) | 全長約70cm | 3匹搬入され、2匹展示。カグラザメの複数飼育は国内初。 |
2022年11月12日現在、蒲郡市竹島水族館(愛知県)ではカグラザメを展示していますが、明日終わってしまう可能性もあります。
カグラザメに会いたい!という方はお早めに!