シロワニ(学名:Carcharias taurus、英語名:Sand tiger shark)といえば、お母さんザメのお腹の中で兄弟を共食いして生まれてくるというエピソードが有名ですよね。見た目に反して動きはのろのろ、おとなしく人を襲う危険性も低いため、ダイバーにも人気のシロワニですが、水族館では・・・?
今回のブログでは、シロワニが日本と韓国の水族館で起こしたサメ事故について解説します。
シロワニが水族館で起こしたサメ事故
一般的には、シロワニに限らず水族館の水槽内でサメによる事故は起きません。それは、サメがイメージよりも少食で餌を十分に与えているからです。
それでも起きるときには、起きてしまうのが事故。サメ事故についても同様です。
大洗水族館でシロワニが同居ザメのネムリブカを・・・!
2014年4月28日午前11時頃、アクアワールド茨城県大洗水族館(茨城県東茨城郡)の「サメの海1」水槽でシロワニが同居ザメのネムリブカを飲み込もうとする事件が発生しました。
「サメの海1水槽でサメが血を流している」と来場者から連絡を受けた飼育員が駆け付けた時水槽に駆けつけたところ、シロワニがネムリブカにかみつき、まる飲みにしようとしていたそうです。すでに、シロワニの口の中からネムリブカの尾が見えているだけの状態だったとのこと。シロワニは40分にわたってネムリブカを飲み込もうとしましたが、結局あきらめたそうです。シロワニが吐き出したネムリブカを飼育員が急いで拾い上げましたが、その日のうちに死んでしまったそうです。「ダメージが大きく、残念ながら助かりませんでした」とのことでした。
シロワニの口
この水族館での事故のシロワニではありませんが、口を開けるとこんな感じです。
40分間もこの口の中にいたら生還はできませんよね。
シロワニがネムリブカを飲み込んだ事故の写真や詳細
この水槽は大型のサメたちが暮らす水槽なのですが、 その中でも一番大きなシロワニが小さなネムリブカをガブリ・・・
飼育員が駆け付けた時には口の中からサメの尾が見えているだけの状態でした。小さなネムリブカとはいえ全長は1.6m、噛み付いたシロワニは2.8m、 それにシロワニの歯は鋭いものの噛み切ることができず、丸呑みしかできません。
わたしたち飼育員もまさか丸呑みにしようとはしないと信じていました。 ましてや、このシロワニは最近食欲不振から立ち直ったばかりでしたから。
事件が起きてから、約40分間シロワニも何とか飲み込んでしまおうと、 四苦八苦していましたが、結局は諦めて吐き出してしまいました。
ここでまた、咥えさせてしまうとシロワニの方にもダメージを与えてしまう可能性があるため、ネムリブカを急いで拾い上げました。引用:アクアワールド茨城県大洗水族館スタッフブログ「お騒がせしました・・・」2014年4月28日
水族館でのサメ事故のその後は
水族館でのサメ事故のその後、シロワニの経過観察とケアが行われたそう。歯がかけてしまったり、大きなものを食べようとして失敗したショックでいつも与えているサイズの小さなエサを食べることができるのかなど、加害ザメとなってしまったシロワニのケアも大事なんですね。
また、このシロワニは最近になって食欲不振から立ち直ったばかり。
サメがイワシなどの小さな魚をぱくりと食べてしまう姿はわたしも見たことがありますが、まさかサメがサメを襲う事故が起きるなんておどろきしかありません。シロワニは生まれる前にお母さんザメのお腹の中で共食いしますが、まさか水族館でこんな事故が起きるとは。滅多にないことですが、生まれてくる前に共食いするシロワニが水族館でこのような事故を起こしたというのは興味深いですね。
ちなみに、今回の事故で被害ザメとなったネムリブカは2001年にインドネシアから輸入した個体で、シロワニと水槽で同居してからは10年が経過していたそうです。
シロワニとネムリブカの違い
ネムリブカを飲み込もうとしたシロワニは全長2.8メートルの大型のサメです。一方、飲み込まれてしまったネムリブカは全長1.6メートル。
シロワニはどっしりとした体が特徴の大きなサメです。
ネムリブカはほっそりとした体つきの小さなサメです。
※このサメたちはサメ事故の関係サメではありません。
この写真のシロワニとネムリブカは水族館でのサメ事故とは無関係ですが、写真で比較するだけでも体格差がよくわかりますね!
韓国のコエックス水族館でもシロワニによる事故
Shark eats another shark in ‘accident’ at a South Korean aquarium
韓国のソウルにあるCOEX(コエックス)アクアリウムは大型水族館です。183の展示水槽、90の飼育水槽、総水量3,500トン!展示している魚の種数は約650種40,000匹以上!沖縄美ら海水族館の魚の種数が約680種10,000匹なので、種数は同じくらいですが生きものの数がずいぶんと多いのですね。
シロワニのメスがドチザメのオスを丸呑み
そのCOEX(コエックス)アクアリウムで2016年に全長約2.2メートルのシロワニのメスが、来場者の目の前で同じ水槽にいた全長約1・2メートルのドチザメのオスを丸呑みしてしまいました。
韓国のコエックス水族館でシロワニによる共食い事故が起きたのは28日夕方だったそうですが、29日の時点で食べたサメを飲み込みきれず、口からドチザメの尾びれが出た状態だったそうです。水族館の飼育員によると事故の原因は縄張り争いか、繁殖期のために生じた攻撃性とみられているそうです。
繁殖期のシロワニのメスは攻撃的?
サメのドキュメント番組でシロワニに襲われて九死に一生を得た女性の話を見たことがあるのですが、そのとき女性を襲ったのは妊娠中のシロワニのメスだったそうです。もしかすると、繁殖期のメスは攻撃性が高くなってしまうのかもしれませんね。ちなみにその女性は腕を飲み込まれそうになったという話だったと記憶しています。細長いサメや人間の腕はシロワニを惹きつける何かがあるのでしょうか・・・気になるところです。
おわりに
水族館で起きたシロワニによるサメ事故を紹介しましたが、滅多に起きることではありません。目撃者になってしまうことはまずないので安心して水族館でシロワニを観察しましょう!シロワニがいる水族館については「シロワニがいる水族館は?どこにいる?」をお読みください。
気になる点としては、生まれてくる前に共食いするシロワニが水族館でサメがサメを襲うという事故に関与していることですね。他のサメでも同様の事例がどれくらいあるのか気になるところです。有名なところでは、昔、沖縄美ら海水族館でオオメジロザメが同居ザメのヨゴレを食べてしまったという話でしょうか。他にも色々事例がないが調べてみます。
シロワニの生態については「シロワニは共食いするサメ?特徴、大きさ、生態、寿命、生息域、日本での分布などを解説」をどうぞ!