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サメの耳はどこ?

2021年9月24日

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サメの耳はどこにあるのでしょうか。
サメの目や鼻孔、えら孔は外から見つけられます。しかし、人間や猫のような耳は見当たりません。

結論からいうと、サメの耳は頭蓋の中にあります。

サメには外耳と中耳がなく、左右一対の内耳があります。内耳は音を感じるだけでなく、泳いでいるときの体の傾きや加速度も感じています。
このブログでは、サメの耳がある場所、聞こえる音、側線との違いについて解説します。

サメの耳は頭蓋の中にある

サメの内耳は、頭蓋の後方寄りに左右一対あります。
外から見える耳たぶや外耳道はありません。そのため、サメを横から眺めても、耳がどこにあるのかはわかりません。

サメやエイなどの板鰓類には、三つの半規管と複数の感覚器からなる内耳があります。人間などの陸上脊椎動物と同じように、聴覚、加速度、体の向きを感じる役割を担っています(Greene et al. 2025)。

頭の上にある小さな穴は耳の穴?

サメの頭頂部をよく見ると、正中線の近くに小さな穴が左右一対で並んでいることがあります。
これは内リンパ孔と呼ばれる穴です。

内リンパ孔から伸びる内リンパ管は、頭蓋内の内耳へ続いています。内リンパ孔は、外から内耳の位置を知るための目印にはなりますが、人間の外耳道と同じ「耳の穴」ではありません。

内リンパ孔は非常に小さく、健康なサメでも外から簡単に見つけられるとは限りません(Greene et al. 2025)。

サメの内耳は何を感じる?

サメの内耳には、体の傾きや回転を感じる三つの半規管と、音や加速度を感じる感覚器があります。
半規管は、サメが向きを変えたり、体が傾いたりしたときの動きを感じます。ほかの感覚器は、加速度や水中の音を受け取ります。
ここでいう「音」は、空気中で人間が聞く音とまったく同じものではありません。
水中の音には、圧力が変化する成分と、水の粒子が前後に動く成分があります。サメには浮き袋がなく、音圧を振動へ変換する器官も確認されていません。そのため、サメは主に水の粒子運動を内耳で感じていると考えられています(Nieder et al. 2023)。

サメはどんな音を聞くことができる?

サメは、主に低い周波数の音や振動を感じます。

ただし、「サメは10~800Hzを聞く」と全種を一つの数字でまとめることはできません。調べられた種によって、反応が確認された周波数や、感度が高かった周波数が異なるためです。

2023年にニュージーランドのサメ3種を調べた実験では、次の結果が報告されました。

  • Cephaloscyllium isabellum:40~200Hzで反応し、40~80Hzで特に感度が高かった
  • Mustelus lenticulatus:40~800Hzで反応し、100~200Hzで特に感度が高かった
  • Galeorhinus galeus:40~800Hzで反応し、80~100Hzで特に感度が高かった

この結果からも、サメが低周波に敏感であることはわかります。しかし、聞こえる範囲や感度は種によって異なります(Nieder et al. 2023)。

過去の研究では、ネコザメの仲間とテンジクザメの仲間でも、低い周波数ほど小さな粒子運動を検出できることが確認されています(Casper and Mann 2007)。

水中では音が速く伝わる

音は海水中を約1,500m毎秒で進みます。空気中では約340m毎秒なので、海水中では約4.4倍の速さです。
ただし、音が速く伝わることと、サメが遠くの獲物を簡単に見つけられることは同じではありません。

サメが音を感じられる距離は、音の周波数や強さ、水深、海底の状態、周囲の騒音などによって変わります(Discovery of Sound in the Sea 2022)。

サメは音を使って餌を探す?

サメが餌を探すとき、聴覚が使われることはあります。
泳ぐ魚や、魚が水中でもがく動きは、周囲の水を揺らします。サメは、その低周波の粒子運動を内耳で感じることができます。

過去の野外実験では、一部のサメが低周波の断続的な音へ近づいたことが報告されています。サメの聴覚実験でも、泳ぐ魚が生む水の動きに近い刺激に対して、低周波ほど強い反応が確認されました(Casper and Mann 2007)。

そうはいっても、すべてのサメが弱った魚の音を好むとは限りません。

2019年に野生のサメ8種を調べた実験では、人工音やシャチの鳴き声を流したとき、餌を付けたカメラへ近づくサメの数や接触回数が減りました。ホホジロザメも、人工音が流れているときにはカメラ付近で過ごす時間が短くなりました(Chapuis et al. 2019)。

サメが音へ近づくか、避けるか、反応しないかは、サメの種類、音の強さや周波数、そのときの状況によって変わります。
「サメは聴覚だけで獲物を探す」「音が最初の情報になる」と全種へ当てはめることはできません。

聴覚はサメの最も鋭い感覚?

サメの感覚を一列に並べて、「最も鋭いのは聴覚」と決めることはできません。

サメは、視覚、嗅覚、聴覚、側線、電気感覚などを組み合わせて周囲を調べます。
遠くにいる対象を探すとき、獲物へ接近したとき、海底に隠れた獲物を探すときでは、使われる感覚も変わります。感覚器の大きさや感度にも、種ごとの違いがあります。

側線は耳ではない

サメの体の側面には、側線(そくせん)と呼ばれる感覚器があります。

側線は、周囲の水の動きや振動を感じます。獲物やほかの動物が動いたときに生じる水流、自分が泳いだときに体の周囲で変化する水流などを受け取ります(Maruska 2001)。
内耳と側線はどちらも水の動きに反応しますが、同じ器官ではありません。

また、側線が電場を感じるわけではありません。
サメが生物の筋肉や神経から生じる弱い電場を感じるときに使うのは、頭部に分布するロレンチーニ器官です。

アカシュモクザメとメジロザメ類を使った実験では、サメが獲物の生体電場を再現した微弱な電場を感知し、電極へ向きを変えることが確認されています(Kajiura and Holland 2002)。

まとめ

サメの耳は、頭蓋の中にある左右一対の内耳です。
外耳や中耳はありません。頭頂部に見えることがある小さな穴は内リンパ孔で、内リンパ管を通じて内耳へ続いています。
サメは内耳で、体の傾きや加速度のほか、水中音の粒子運動を感じます。低周波に敏感ですが、聞こえる範囲は種によって異なります。
側線が感じるのは水の動きです。電場を感じるのはロレンチーニ器官です。

参考文献一覧

  1. Greene WG et al. (2025) Case report: Endolymphatic system disease in elasmobranchs: clinical presentation, diagnosis, and treatment strategies. Frontiers in Veterinary Science, 11, 1463428. https://doi.org/10.3389/fvets.2024.1463428
  2. Nieder C, Gibbs BJ, Rapson J, McLay J, Montgomery JC and Radford CA (2023) Comparison of acoustic particle acceleration detection capabilities in three shark species. Journal of Experimental Biology, 226(18), jeb245995. https://doi.org/10.1242/jeb.245995
  3. Casper BM and Mann DA (2007) Dipole hearing measurements in elasmobranch fishes. Journal of Experimental Biology, 210(1), 75–81. https://doi.org/10.1242/jeb.02617
  4. Chapuis L et al. (2019) The effect of underwater sounds on shark behaviour. Scientific Reports, 9, 6924. https://doi.org/10.1038/s41598-019-43078-w
  5. Maruska KP (2001) Morphology of the mechanosensory lateral line system in elasmobranch fishes: ecological and behavioral considerations. Environmental Biology of Fishes, 60, 47–75. https://doi.org/10.1023/A:1007647924559
  6. Kajiura SM and Holland KN (2002) Electroreception in juvenile scalloped hammerhead and sandbar sharks. Journal of Experimental Biology, 205(23), 3609–3621. https://doi.org/10.1242/jeb.205.23.3609
  7. Discovery of Sound in the Sea (2022) Tutorial: Speed of Sound. https://dosits.org/tutorials/science/tutorial-speed/ (accessed 2026-07-13).

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シャーク・アクティビストReinoとにゃぶり

シャーク・アクティビストReino

シャーク・アクティビストのReinoです。 サメ専門ブロガー&YouTuberとしてサメの生態や保全についてお伝えしています。 佐賀県唐津市生まれ、東京育ち。 慶應義塾大学文学部卒業。 保有資格は環境社会検定試験(eco検定)、日本さかな検定(ととけん)3級🐟 関心があるのは、哲学、サメの保全、環境倫理学、水産学、SDGs14。 海やサメ以外で好きなのは、橋本涼さん(B&ZAI)。海属性の人が好き。

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