ホホジロザメは、世界で最も有名なサメです。平均全長4〜5mに達し、70年以上生きる可能性がある大型のサメです。日本近海でも確認されています。 映画『ジョーズ』の影響から「人食いザメ」「最も危険なサメ」 ... 続きを見る
ホホジロザメの口の中には、約300本の歯があります。上あごに23〜28本、下あごに20〜26本が並び、その後ろに交換用の歯が控えています。折れたりすり減ったりしても、後ろの歯が前へ送り出されるため、ホホジロザメは生涯に何度も歯が生え変わります。歯の形はノコギリのようなギザギザのある三角形で、長さは3.81〜6.35cmほどです。
さらに2016年、沖縄美ら島財団の研究によって、お母さんザメのお腹の中にいる赤ちゃんザメにも、すでに歯が生えていることが確認されました。しかもその歯は、大人のギザギザした歯とはまったく違う、トゲのような形をしています。
では、300本の歯はどう並んでいるのでしょうか。赤ちゃんザメの歯は、なぜトゲの形をしているのでしょうか。今回のブログでは、ホホジロザメの歯の秘密について研究結果を交えて解説します!
ホホジロザメの生態、特徴、大きさ、寿命、危険度とは?人食いサメなの?
ホホジロザメの歯の秘密

| ホホジロザメの歯の形状 | 鋸歯状の三角形 |
|---|---|
| ホホジロザメの歯の本数 | 300本 |
| ホホジロザメの歯の長さ | 3.81~6.35cm |
| ホホジロザメの歯の列数 | 5列 ※前後に重なって控えている交換用の列の数です。顎に横並びになっている歯の位置の数(後述の上顎12列・下顎10列)とは、数え方が異なります。 |
| 一生の間に生えてくる歯の本数 | 2〜3万本 |
ホホジロザメの歯は、鋸歯状の三角形というのはのこぎりのようなギザギザのある三角形ということです。上あごには23~28本、下あごには20~26本の歯が並んでいます。
ホホジロザメの歯の大きさがわかる画像

右がホホジロザメの歯です。三角形の歯の周りにノコギリのようなギザギザがついています。ホホジロザメの歯の比較対象がメガロドンの歯なので小さく見えるかもしれませんが、ホホジロザメの歯は人間の歯の4〜6倍くらいの大きさです。
ホホジロザメの歯の数は何本?
Auckland War Memorial Museum Tāmaki Paenga Hira, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
ホホジロザメの口の中には、約300本もの歯があります。一番前の2列の歯は、獲物を捕まえたり、肉を切ったりするのに使われます。奥のほうの歯は、前の歯が折れたりすり減ったりしたときに、新しい歯として生えてくる予備のようなものです。
ホホジロザメの歯は何度も生え変わる
D Ross Robertson, Public domain, via Wikimedia Commons
ホホジロザメの三角形でギザギザの歯は、まるでベルトコンベアのように次々と生え変わります。人間は一生に一度しか歯が生え変わりませんが、ホホジロザメは生涯を通して何度も新しい歯に生まれ変わることができるんです。
ホホジロザメの赤ちゃんの歯の秘密
2016年、沖縄美ら島財団の研究によって、ホホジロザメの赤ちゃんはお腹の中にいる時からすでに歯が生えていることが明らかになりました。しかも、大人の歯とは全く違う形をしているのです。
哺乳類をはじめとする胎生動物(お腹の中で赤ちゃんを育てる動物)のほとんどは、生まれてから歯が生えます。しかし、ホホジロザメのようなサメの仲間の中には、お母さんのお腹にいる間にすでに歯が生えているものがいます。ホホジロザメもそのネズミザメ目の仲間で、同じ目の他の種では、胚のうちに歯が生えることが以前から確認されていました。(Shimada 2002)ただし、ホホジロザメの胚そのもので歯が確認されたのは、この2016年の研究が初めてです。(Tomita et al. 2017)
生まれる前の赤ちゃんには乳歯が生えている
ホホジロザメの初期胚(体長45cm)の歯列を調査した結果、上顎歯列に12列、下顎歯列に10列の歯列があり、成体と類似していることがわかった。
歯の形態を詳細に観察した結果、胚の歯は形態学的にとげ状であり(画像1)、鋸歯状の刃先を持つナイフ状の成体の歯とは形態学的に異なることが明らかになった。子宮内には胚や多くの未受精卵莢が見つかっており、とげ状の歯は卵莢に穴を開けるのに役立っていると考えられる。
研究の結果、ホホジロザメの赤ちゃんの歯は、大人の歯のようにギザギザではなく、トゲのような形をしていることが分かりました。これは、卵の殻を割って、中の栄養を食べるためだと考えられています。
赤ちゃんの乳歯は生まれるまでに成長する
琉球大学医学部のX線マイクロCTスキャナーを用いて、妊娠中期標本(体長80cm)の胚歯を観察し、胚歯から成歯への成長過程を観察した。 その顎の中の歯が胚歯から成歯に成長する過程を観察した(画像2)。 以上のことから、ホホジロザメの胚では、妊娠中期に胎生歯から成体歯に変化することがわかった。
また、赤ちゃんが成長するにつれて、歯の形も大人の歯のように変わっていくこともわかりました。
今回の研究で、ホホジロザメの赤ちゃんが、お腹の中にいるときから歯を使って成長していることが明らかになりました。この発見は、ホホジロザメの不思議な生態を解き明かす上で、とても重要な一歩です。
歯がないホホジロザメ
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「いい歯医者を誰かご存知ですか?」とユーモア混じりに投稿されて「歯がほとんどないサメ」として話題になった一枚です。
しかし、その原因は深刻なものです。
サメ用のおりや、人が作った機械か何かにぶつかるなどして、全部の歯を失ったホホジロザメが報告された珍しいケースも複数ある。だが、そうした場合でも、新しい歯がすぐに生えてくるので、海洋食物連鎖の上位の座を明け渡すことはない、と研究者は言う。
つまり、人間が海に進出したことの影響で、歯を失ったホホジロザメが報告されるようになったのですね。幸い、ホホジロザメは歯が生え変われるとはいえ、このような事故は避けたいものです。
そもそもホホジロザメの歯は、人間のように顎の骨へ埋まっているわけではありません。歯の根もとは、歯槽ではなく「歯根膜」と呼ばれる線維性の組織につながっていて、その組織が顎の軟骨の上を前へ動いていきます。つまり歯は、骨に打ち込まれた杭ではなく、動くベルトの上に載っている状態です。抜けやすいのは、この構造のためです。
実際、抜けるときは驚くほど一瞬です。RitterとDellios(2018)は、メキシコのグアダルーペ島で、体長4mのオスのホホジロザメ「ハーマン」が下あごの前歯を失う瞬間を撮影しました。何かに噛みついたわけでもないのに、歯は0.3秒で外れていました。この記録は、査読の質に議論のある出版社の雑誌に掲載されたものです。映像にもとづく事例報告として紹介しています。
では、抜けたあとはどうなるのでしょうか。同論文によれば、サメの歯が1本抜けてから次の歯に置き換わるまでは、平均しておよそ1〜4週間とされています。ただしこの期間は、その歯をどれだけ使ったか、サメの年齢や代謝、季節ごとの水温によって変わります。
おわりに
今回のブログでは、ホホジロザメの歯についてご紹介しました。口の中には約300本の歯があり、折れても後ろから新しい歯が送り出されます。そして2016年には、お腹の中の赤ちゃんザメにも、卵の殻を破るためのトゲのような歯が生えていることが確認されました。
ホホジロザメの歯の秘密について、あなたはどれだけ知っていましたか?
一方で、分かっていないことも残っています。沖縄美ら島財団は、ホホジロザメの妊娠期間、お母さんザメから赤ちゃんへどのように酸素が届けられるのか、栄養がどう吸収されるのかは、まだ解明されていないとしています。歯という一点からでも、ホホジロザメの繁殖にはこれだけ空白があることが見えてきます。
このブログを読んで、ホホジロザメへの興味が深まったなら嬉しいです。
参考文献一覧
- Tomita, T., Miyamoto, K., Kawaguchi, A., Toda, M., Oka, S., Nozu, R. & Sato, K. (2017) Dental ontogeny of a white shark embryo. Journal of Morphology, 278(2), 215–227. https://doi.org/10.1002/jmor.20630(電子版は2016年11月27日公開)
- Shimada, K. (2002) Teeth of embryos in lamniform sharks (Chondrichthyes: Elasmobranchii). Environmental Biology of Fishes, 63, 309–319.
- Compagno, L. J. V. (2001) Sharks of the World. Volume 2: Bullhead, mackerel and carpet sharks. FAO Species Catalogue for Fishery Purposes No. 1, Vol. 2. FAO, Rome.
- 沖縄美ら島財団 (2016) ホホジロザメには胎生歯があった!X線CT画像がホホジロザメ胚の成長過程を解明. https://churashima.okinawa/sp/en/ocrc/marine_organisms/report/1526899836/ (accessed 2026-07-19).
- Florida Museum of Natural History. White Shark. https://www.floridamuseum.ufl.edu/discover-fish/species-profiles/white-shark/ (accessed 2026-07-19).
- ナショナル ジオグラフィック日本版. ホホジロザメ. https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/429067/ (accessed 2026-07-19).
- Ritter, E. K. & Dellios, A. (2018) On the separation mechanism between a shark's tooth and its jaw base, with special emphasis on an observation made from a white shark, Carcharodon carcharias. Open Journal of Animal Sciences, 8, 329–334. https://doi.org/10.4236/ojas.2018.83024



