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サメを学ぶ

実在する巨大サメ「ディープブルー」最大記録級のホホジロザメ女王の正体とは

2021年3月4日

ディープブルーという愛称を持つ巨大なサメをご存知ですか?
ディープブルーは、メキシコのグアダルーペ島周辺で撮影されたメスのホホジロザメです。
ディスカバリーチャンネルは、ディープブルーを全長約6.1m、体重2.5t以上と推定される、世界最大級のホホジロザメとして紹介しています。年齢も50歳以上と考えられていますが、捕獲して体を計測したり、脊椎骨から年齢を調べたりしたわけではありません。

このブログでは、実在する伝説の巨大サメ「ディープブルー」について紹介します。

ディープブルーはどんなサメ?

実在する伝説の巨大サメ「ディープブルー」は、どんなサメなのでしょうか。

ディープブルー
サメの種類ホホジロザメ
大きさ推定約6.1m
体重推定2.5t以上
年齢推定50歳以上
性別メス
ディープブルーの大きさ、体重、年齢は、捕獲して調べた実測値ではありません。映像や他の物体との比較などから伝えられている推定値です。

ディープブルーはどの種類のサメ?

実在する伝説の巨大サメ「ディープブルー」最大記録級のホホジロザメ女王の正体

※写真はイメージです。ディープブルーではありません。シャッターストックで購入できる普通のホホジロザメの画像です。

ディープブルーの種類は、ホホジロザメです。

ホホジロザメはメスの方がオスより大きくなる傾向があります。ディープブルーほどの大きさに達する個体は珍しいものの、メスであることは不思議ではありません。

ディープブルーが発見された場所は?

ディープブルーは、メキシコのグアダルーペ島周辺で確認されているホホジロザメです。

2013年に研究者のマウリシオ・オヨス・パディージャ(Mauricio Hoyos Padilla)氏が撮影した映像が公開され、世界最大級のホホジロザメとして広く知られるようになりました。

グアダルーペ島では、ホホジロザメの背ビレや体の模様を撮影し、個体を識別する調査が行われてきました。ホホジロザメの背ビレの輪郭や体の傷、色の境界などは個体ごとに異なるため、写真を照合することで同じ個体かどうかを調べることができます。

世界最大記録級のホホジロザメ「ディープブルー」

https://youtu.be/BMsyssBXRsQ

ホホジロザメと一緒に泳いでいる女性オーシャン・ラムジー(Ocean Ramsey)さんについてはこちら。

ディープブルーは、全長約6.1m、体重2.5t以上、年齢50歳以上と推定されているメスのホホジロザメです。

ただし、これらは実際にディープブルーを捕獲して計測した数値ではありません。ディープブルーが世界で最も大きなホホジロザメであると、公式な計測記録によって確定したわけでもありません。

それでも、ダイバーや撮影機材と並んだ映像を見ると、その体が並外れて大きいことは分かります。

ホホジロザメの寿命については、北西大西洋の個体を調べた研究で、オスが70年以上生きる可能性が報告されています。ディープブルーが50歳以上という推定も、ホホジロザメの寿命から見てあり得ない年齢ではありません。

巨大なホホジロザメがハワイに出現

2019年1月、ハワイ・オアフ島沖で、マッコウクジラの死骸を食べる複数のホホジロザメが撮影されました。

その中には、ディープブルーと同じくらい大きなメスもいました。

当初、この巨大な個体はディープブルーとして世界中のメディアで報じられました。ところが、研究者やホホジロザメの写真識別に詳しい人たちからは、「Haole Girl」と呼ばれる別の個体ではないかという指摘も出ています。

現地では複数の大型個体が確認されており、公開された映像や写真のすべてが同じホホジロザメを撮影したものではありません。

そのため、2019年にオーシャン・ラムジーさんと一緒に泳いでいた個体を、ディープブルー本人だと断定することはできません。

一方、この個体の腹部は大きく丸く膨らんでいました。

オーシャン・ラムジーさんは、その体つきから妊娠中の可能性を指摘しています。超音波検査などで妊娠を確認したわけではありませんが、成熟したメスであり、見た目から妊娠が強く疑われた個体でした。

北東太平洋の成熟したメス4個体を追跡した研究では、メスは長期間沖合で過ごした後、メキシコ沿岸の出産場所と推定される海域へ移動しました。ただし、ホホジロザメの交尾や出産は、現在も分からないことが多く残されています。

ディープブルー好きなら必見!?巨大サメにまつわる豆知識

巨大サメにまつわる豆知識を紹介します。

11mのホホジロザメはいるの?

全長11mのホホジロザメが存在するという話がありますが、科学的に確認された記録はありません。

ニュージーランドのスチュアート島周辺には、地元の漁師が目撃したとされる巨大なホホジロザメの話があります。この伝説をもとに、ディスカバリーチャンネルでは巨大なホホジロザメを探す番組が制作されました。

番組では深い海までカメラを下ろして調査しましたが、11mのホホジロザメを発見することはできませんでした。

11mというと、古代の海に生息していた巨大ザメメガロドンに近い大きさです。

もしも本当に全長11mのホホジロザメが存在していたら、と想像するとわくわくします。

ただし、水中にいる大きな動物の全長を目視だけで正確に判断することは困難です。距離や角度、水の透明度によっては、実際よりも大きく見えることがあります。

全長6m前後の大型個体が、さらに大きく見積もられた可能性もあるでしょう。サメに限らず、大型の野生動物には、大きな数字を使った目撃談が残りやすい傾向があります。

にゃぶり
にゃぶり
もー!夢がないね!

わたし
わたし
全長11mのホホジロザメがいたらいいなとは思うよ

ホホジロザメの最大記録は?

ホホジロザメの最大サイズについては、研究者の間でも見解が分かれています。

1973年にJ. E. Randallが発表した論文では、信頼できる最大記録として、全長6.4mと報告されたキューバの個体が紹介されました。

一方、現在のフロリダ自然史博物館の解説では、ホホジロザメの推定最大サイズを約6mとしています。7mを超える報告もありますが、計測方法や記録の正確性を確認できないものが含まれています。

ディープブルーの推定全長約6.1mが正しければ、科学的に知られているホホジロザメの最大サイズに近い個体です。

ただし、海にいる野生のホホジロザメを端から端まで測ることは簡単ではありません。尾ビレの位置や泳いでいる角度によっても数値は変わります。

そのため、「世界最大の個体」を一匹だけ決めるよりも、ディープブルーを世界最大記録級のホホジロザメの一匹と考える方が正確でしょう。

乱獲によって大型のサメが減っている

巨大なサメの記録を考えるとき、漁業の影響も無視できません。

漁業では、大きく成長した個体が先に漁獲されることがあります。その状態が長く続けば、海や漁獲物の中で大型個体が占める割合は低下します。

メキシコ湾の外洋性サメを調べたBaum and Myers(2004)は、ヨゴレの平均体重が1950年代の約86kgから、1990年代には約56kgへ低下したと報告しました。

クロトガリザメでも、メキシコ湾や東部太平洋の漁業データから、漁獲された個体の平均体重や平均体長が低下した例が報告されています。

これは、世界中のヨゴレやクロトガリザメが一斉に小さな体へ進化したという意味ではありません。

漁業の影響を強く受けた海域で大型個体が減り、漁獲物の中に小さな個体や未成熟個体が多くなったということです。

ホホジロザメは、IUCNレッドリストで危急種(VU:Vulnerable)に評価されています。ワシントン条約(CITES)でも、国際取引を管理する附属書IIに掲載されています。

現状では、いつか7m級の巨大なホホジロザメが発見されることよりも、大きく成長できる個体そのものが減っていくことの方が心配です。

巨大ホホジロザメを飲み込んだ「怪物」とは?

CNNではかつて「巨大ホホジロザメをのみ込んだ『怪物』の正体判明か」というニュースが報じられました。

この話の始まりは、オーストラリアで調査用のタグを取り付けられた全長約2.7mのホホジロザメです。

タグの記録によると、このサメは急激に水深約580mまで潜り、その後、タグの周囲の温度が大きく上昇しました。タグは数か月後に海岸へ流れ着きました。

この温度変化から、タグを付けたホホジロザメが、体温の高い別の動物に食べられた可能性が考えられました。

番組では、さらに大きなホホジロザメが捕食した可能性が有力な説として紹介されています。

ただし、捕食の瞬間が撮影されたわけではありません。犯人となった動物を捕獲して、胃の内容物を確認したわけでもありません。

タグの水深と温度の記録から、何が起きたのかを推定した話です。

大型のホホジロザメが小さなホホジロザメを捕食することはあり得ますが、この事件の犯人がどの個体だったのかは分かっていません。

ディープブルーの推定体重は2.5t以上です。海のどこかには、ディープブルーと同じくらい大きなホホジロザメが、ほかにも生息しているのかもしれません。

にゃぶり
にゃぶり
ディープブルーみたいに大きいホホジロザメが他にもいるかもしれないんだね!

わたし
わたし
これぞ海のロマン、深海の神秘……実は深海に11m以上のホホジロザメがいたりして

にゃぶり
にゃぶり
ゴクリ……(期待)

さすがに、ディープブルーの大きさがホホジロザメの最大記録の限界に近いのだろうと思います。

それでも、未知の世界に夢を見る気持ちは持ち続けていきたいですね。

ディープブルー以外の有名なホホジロザメ

ディープブルーだけではありません。

世界には、研究者から名前を付けられ、移動を追跡されているホホジロザメがいます。

アイアンバウンド(Ironbound)

アイアンバウンドは、OCEARCHが2019年10月にカナダのノバスコシア州沖で調査したオスのホホジロザメです。

調査時の全長は約3.7m、体重は約453kgでした。

「アイアンバウンド」という名前は、発見されたノバスコシア州ルーネンバーグ近くのウェスト・アイアンバウンド島に由来します。

OCEARCHが取り付けた発信器から信号を受信すると、アイアンバウンドの位置が公開されます。

ただし、発信器はサメが海面近くまで浮上したときに信号を送る仕組みです。地図上で長期間位置が変わらなくても、その間ずっと同じ場所にいたとは限りません。

アイアンバウンドは、カナダ沖とアメリカ東海岸の間を広く移動してきました。

大型のホホジロザメが人気の海水浴場に近づいたとしてニュースになることもありますが、位置情報が確認されたことと、人を襲おうとしていることは別の話です。

OCEARCHのホホジロザメ追跡情報

ヌクミ(Nukumi)

ヌクミ(Nukumi)は、OCEARCHが2020年10月にカナダのノバスコシア州ルーネンバーグ沖で調査したメスのホホジロザメです。

調査時の全長は約5.2m、体重は約1,606kgでした。

ヌクミは、OCEARCHが北西大西洋で調査したホホジロザメの中で最大の個体です。

OCEARCHはヌクミを50歳前後と推定しています。

ヌクミという名前は、先住民族ミクマクの言葉で「おばあちゃん」を意味します。長い年月を海で生きてきた成熟したメスであることから、この名前が付けられました。

ヌクミはタグを付けられた後、アメリカ東海岸を南下し、さらに沖合へ移動しました。2021年には大西洋中央海嶺を越え、北東大西洋へ入ったことが確認されています。

ホホジロザメが北大西洋の東西を横断する移動を記録した貴重な例です。

発信器から長期間信号が届かないことはありますが、それだけで死亡したとは判断できません。発信器が海面に出なかった場合や、機器が外れたり故障したりした場合にも信号は届かなくなります。

また、どこかの海で再会できたらいいですね。

ホホジロザメの調査をするOCEARCHを追うドキュメント番組

サメのニュースにたびたび登場するOCEARCHは、ホホジロザメなどの大型海洋動物を捕獲し、体を計測して試料を採取した後、発信器を取り付けて海へ戻す調査を行っている団体です。

OCEARCHが公開する追跡情報は、ホホジロザメがどこを移動し、どの海域を繰り返し利用しているのかを調べるために使われています。

タイトルが微妙なのですが、シャーク・ハンター ~命知らずな奴ら~は、OCEARCHによるホホジロザメの調査を追ったドキュメント番組です。

参考文献一覧

  1. Discovery Channel (2019) Shark Week 2019 Schedule: Legend of Deep Blue. Discovery Channel (accessed 2026-07-13).
  2. Florida Museum of Natural History (2025) White Shark: Carcharodon carcharias. Florida Museum (accessed 2026-07-13).
  3. Randall, J. E. (1973) Size of the Great White Shark (Carcharodon). Science, 181(4095), 169–170. DOI
  4. Hamady, L. L. et al. (2014) Vertebral Bomb Radiocarbon Suggests Extreme Longevity in White Sharks. PLoS ONE, 9(1), e84006. DOI
  5. Domeier, M. L. and Nasby-Lucas, N. (2013) Two-year migration of adult female white sharks reveals widely separated nursery areas and conservation concerns. Animal Biotelemetry, 1, 2. DOI
  6. May, C. et al. (2019) Eyes on the size: accuracy of visual length estimates of white sharks, Carcharodon carcharias. Royal Society Open Science, 6, 190456. DOI
  7. Baum, J. K. and Myers, R. A. (2004) Shifting baselines and the decline of pelagic sharks in the Gulf of Mexico. Ecology Letters, 7(2), 135–145. DOI
  8. Dapp, D. et al. (2013) Impact of Costa Rican longline fishery on its bycatch of sharks, stingrays, bony fish and olive ridley turtles. Journal of Experimental Marine Biology and Ecology, 448, 228–239. DOI
  9. IUCN (2022) Carcharodon carcharias: White Shark. The IUCN Red List of Threatened Species (accessed 2026-07-13).
  10. ABC News Australia (2019) Researchers slam marine conservationist for touching huge great white shark off Hawaii. ABC News (accessed 2026-07-13).
  11. OCEARCH (2021) Queen of the Ocean, White Shark Nukumi, Crosses Mid-Atlantic Ridge and Enters Northeast Atlantic Waters. OCEARCH (accessed 2026-07-13).
  12. OCEARCH (2026) She Rules the Ocean. OCEARCH (accessed 2026-07-13).

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シャーク・アクティビストReinoとにゃぶり

シャーク・アクティビストReino

シャーク・アクティビストのReinoです。 サメ専門ブロガー&YouTuberとしてサメの生態や保全についてお伝えしています。 佐賀県唐津市生まれ、東京育ち。 慶應義塾大学文学部卒業。 保有資格は環境社会検定試験(eco検定)、日本さかな検定(ととけん)3級🐟 関心があるのは、哲学、サメの保全、環境倫理学、水産学、SDGs14。 海やサメ以外で好きなのは、橋本涼さん(B&ZAI)。海属性の人が好き。

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