ホホジロザメは日本のどこに生息しているの?
ホホジロザメ 日本周辺によると、ホホジロザメの日本周辺の分布域は沖縄周辺から北海道周辺海域に及び、水温の季節的な変化に従って列島周辺海域を南北回遊していると考えられています。
つまり日本の周辺海域にはホホジロザメがいるということになります。
日本の海でホホジロザメと遭遇する確率
国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストによると、ホホジロザメは危急種(vulnerable、VU)に指定されている絶滅危惧種に近いサメです。
ガーディアンによると、野生に残っているホホジロザメはわずか3,500匹を下回ると推定されています。
この数は絶滅が危惧されるトラとほぼ同じ数です。
このようにホホジロザメの生息数が少なすぎるため、日本で日常的にホホジロザメに遭遇することはまずないでしょう。
日本で起きたホホジロザメによるサメ事故の年間件数
1990年〜2021年日本でおきたサメによる事故は12件で、ホホジロザメによる死亡事故の件数は2件です。
ただし、犯人不明のサメ事故も4件あるので実際にはもう少し多い可能性はありますが、それでもみなさんが想像しているよりも少ないのではないでしょうか?
日本では近年、クマによる死亡事故がほぼ毎年起きています。
環境省作成『クマ類による人身被害について』によると、2008年〜2021年の間にほぼ毎年クマによる死亡事故が起きています。
クマによる死亡事故が起きていないのは2015年と2018年だけです。
こうして比較してみると、サメはイメージほど人間を襲っていないということがわかりますよね。
もちろん、海と山という差はありますが、マリンスポーツを楽しむ人が多いのにも関わらず、サメによる重大事故はめったに起きません。
そうはいっても、ホホジロザメは危険で人食いザメという一面を持っているのもまた事実ではあるので、万が一、遭遇するような機会があったら気を付けましょう。
日本の海でのホホジロザメ出現情報
日本の海でのホホジロザメ出現情報をまとめました。
新しい目撃・捕獲情報から順番に紹介します。
日本のホホジロザメ:2022年5月22日山口・周防大島
2022年5月22日山口県の漁業者が全長3.5mのホホジロザメを捕獲しました。
漁業者が午前1時ごろ、サワラ漁の刺し網を巻き上げていたところ、ホホジロザメが網に絡まっていたそうです。
まだ生きていたため、ホホジロザメを網ごと船に縛り帰港しましたが死亡していました。
日本のホホジロザメ:2018年沖縄本島南部
2018年沖縄本島南部のダイビングスポットに全長5m近くの巨大なホホジロザメが出現しました。
沖縄本島南部、船で40~50分走った場所にある「トライアングル2」という超大物ポイントで、全長5m近くはあるのではという巨大なホホジロザメが目撃されました。
この場所は漁礁が堆積していて、アカシュモクザメやカマストガリザメがよく見られるスポットとのこと。
参考記事:【速報】沖縄本島のダイビングポイントに、巨大ホホジロザメが出現しました! 写真と動画で激写に成功!
日本のホホジロザメ:2018年小田原
小田原漁協の定置網でホホジロザメが捕獲されました。
号外(株)小田原魚市場: ホホジロザメによると、
巨大鮫と船上にて格闘の末、数人がかりで馘首に成功したそうです。
商業漁業の混獲や海洋汚染などが原因でホホジロザメの数は減少しています。
また、ホホジロザメは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおける 危急種(ききゅうしゅ、Vulnerable species)に指定され、絶滅の危険性が高いサメの一種と考えられています。
漁船とホホジロザメが遭遇しないことを願うばかりです。
https://twitter.com/odawarauokuni/status/1053400395324641280?ref_src=twsrc%5Etfw
https://twitter.com/odawarauokuni/status/1053597702775164928?ref_src=twsrc%5Etfw
https://twitter.com/odawarauokuni/status/1064387186575855616?ref_src=twsrc%5Etfw
日本のホホジロザメ:2018年千葉県館山市波佐間
2018年、千葉県館山市波佐間の定置網でホホジロザメが捕獲されました。
参照:2018 年に相模湾から得られた ホホジロザメ(ネズミザメ目ネズミザメ科)と 同湾および周辺海域における出現状況
日本のホホジロザメ:2017年石川県七尾市沖
2017年11月、石川県七尾市沖に全長4m・体重600kgのホホジロザメが捕獲されました。
日本海でホジロザメが見つかるのはめずらしく、30年ぶりの発見とのこと。
ホホジロザメは確かに危険な人食いザメという一面もありますが、世界中で3500匹しかいないとも考えられているサメです。
※個体数に関しては調査方法などにより諸説ありますが、生物の個体数は体の大きさによりピラミッド状になっているため、頂点捕食者の個体数はそもそも少ない。
日本のホホジロザメ:2016年沖縄読谷村
読谷村漁協定置網により捕獲された全長約3.5mのオスのホホジロザメ。
このホホジロザメは、2016年1月5日(火)より沖縄美ら海水族館の「危険ザメの海」水槽にて展示されましたが、同年1月8日に死亡。
日本のホホジロザメ:2014年8月末沖縄のはえ縄
2014年8月末に沖縄県本部町近海のはえ縄に全長3.2mのホホジロザメのオスがかかって死んでいました。
このホホジロザメは2016年7月8日(金) から開催された『海のハンター展』にて、日本初公開のホホジロザメ成魚の全身液浸標本として公開されました。
これまで研究用に作製されたホホジロザメ成魚の全身液浸標本はありませんでした。
そのため、このホホジロザメの全身液浸標本は今後サメの形態比較や生態を含む研究の進展に寄与するものと期待されました。
日本のホホジロザメ:2014年2月沖縄の定置網
沖縄の定置網による混獲で死亡した状態の全長5mのホホジロザメのメス(Ref.6 pp.130-139)。
このメスのホホジロザメは妊娠中の個体で子宮の中にミルクが発見されました。
ホホジロザメの子宮ミルクは世界でも初めての発見となり、2016年に論文“RESEARCH ARTICLE| 15 SEPTEMBER 2016 How great white sharks nourish their embryos to a large size: evidence of lipid histotrophy in lamnoid shark reproduction”として公表されています。
ホホジロザメの子宮ミルク発見については、書籍『寝てもサメても 深層サメ学』の中で10ページほど説明されていますので気になる方はどうぞ!
ジョーズで有名なホホジロザメは日本のどこに生息しているの?海での目撃談や捕獲情報まとめ
日本のホホジロザメ:2011年岩手県宮古市
2011年1月27日、岩手県宮古市の定置網に入った全長6.4メートル、重さ640kgの巨大なホホジロザメが水揚げされました。
宮古市の魚市場でこの時期に大物のサメが入るのは珍しいそうです。
このホホジロザメは加工に手間がかかることが理由でわずか1万円で宮城県の業者に引き取られて、かまぼこの材料になったそうです。
定置網に入った時点で死んでいたのなら食用にするより仕方ないと思いますが「相当暴れたと思う」というコメントから推察されるのは、このホホジロザメが弱っていたわけでもなく、生きていたということなんですよね。
野生のホホジロザメの数は激減していますし、ホホジロザメががこれだけの大きさに育つまでは長い時間がかかります。
わずか1万円程度で取引されるのなら、逃して欲しかったなと思いました。
日本のホホジロザメ:2010年青森県
2010年青森県にホホジロザメ。
ホホジロザメ 日本周辺によると、2010年青森県にホホジロザメが出現しました。
日本のホホジロザメ:2005年神奈川県川崎市千鳥運河
参考:神奈川県川崎市川崎区の運河で見つかったホホジロザメの死がい。[神奈川県警提供](2005年10月26日) 【時事通信社】、千鳥運河で発見された全長4.8メートルのホホジロザメ(神奈川・川崎市川崎区)(2005年10月26日) 【時事通信社】
2005年10月26日午前7時ごろ、東京湾とつながる神奈川県川崎市千鳥運河では、オスとしては世界最大級の全長約4・8メートルのホホジロザメが浮いているのが発見されました。
このホホジロザメに大きな外傷もなく、その死因や漂着経路などは不明です。
四国新聞社の記事によると、東京湾を含む相模灘でホホジロザメが見つかった例は文献上、1903年までさかのぼるとのことです。
このホホジロザメの漂着は東京湾近海での分布の証拠として学術的に貴重なものとなりました。
漂着したホホジロザメはその後、かわジローと名付けられ、川崎マリエン交流棟1Fコミュニティホールに剥製として展示されています。
参考記事:ホホジロザメの剥製〜「かわジロー」は、平成17年10月26日、川崎港の千鳥運河に漂着したホホジロザメ。全長4.85mはオスとしては世界最大級です。
日本のホホジロザメ:1999年山口県光市の室積海岸
1999年7月9日午前8時ごろ、光井港の戸仲漁港に全長約5.3mのメスのホホジロザメが現れました。
その後、ホホジロザメは港外に出て、戸仲漁港先にある西日本屈指の海水浴場として知られるビーチ山口県光市室積海岸沖を遊泳(Ref.5)。
このサメは沖合をしばらく泳ぎ回ったあと、ふたたび港に迷い込んだところを光漁業協同組合が捕獲しました。
参考:【宇部市】海洋プラスチックごみ問題のパネル展示 | 海と日本PROJECT in やまぐち 、光市室積 光ふるさと郷土館 ホホジロザメの口蓋骨展示展2016-5-14
光市光井港 ホジロザメの捕獲解体の紹介1999年7月9日 、光市室積 光ふるさと郷土館 ホホジロザメの口蓋骨展示展2016-5-14
光市光井港 ホジロザメの捕獲解体の紹介1999年7月9日
Wikipediaには、その後も光市内では2002年8月にも虹ヶ浜付近にホホジロザメらしきサメが出現という記載がありますが、ソース不明です。
調べてみた結果、検索結果だけ残っている地元の方のウェブサイトがソースかと予想されます。
地域的にはホホジロザメがいても不思議ではないので、ソース不明で確証はないもののホホジロザメが現れた可能性はあります。
日本のホホジロザメ:1995年4月9日愛知県伊良湖沖における事故
1995年4月9日午前10時頃、愛知県伊良湖沖の海岸からわずか100m余りの地点でミル貝の潜水漁業者がホホジロザメに襲われて死亡する被害が発生しました。
サメ被害平成7年(1995年)4月9日、渥美郡渥美町(現田原市)西ノ浜沖合の三河湾で、操業中の潜水漁業者がホホジロザメに襲われて死亡する被害が発生した。潜水漁業が盛んな渥美地区や知多地区では、直ちに操業を自粛し、地元地区におけるさめ対策を協議・決定する組織として、4月12日には、それぞれ「渥美町さめ対策委員会」及び「知多さめ対策協議会」を立ち上げた。県では、4月14日に、A副知事を本部長とする「愛知県さめ対策本部」が設置され、さめ対策事業を推進した。さめ対策事業は、さめ捕獲補助事業、さめ被害緊急融資事業、さめ対策講習会の開催、さめ対策パンフレットの作成・配布、さめ監視と目撃情報の収集・伝達の5項目で、予備費で対応した。捕獲事業では、残念ながら大型サメの捕獲には失敗している。潜水漁業の再開は、知多地区が5月3日、渥美地区が6月1日であった。(Ref.4)
日本のホホジロザメ:1992年3月8日瀬戸内海サメ騒動(瀬戸内海サメ襲撃事件)
1992年3月8日に、愛媛県松山沖瀬戸内海で起きた瀬戸内海サメ襲撃事件とは次のようなサメ事故です。
1992年3月8日午後, 愛媛県松山市堀江沖2.3km, 水深22メートルの海底でヘルメット式潜水器具を用いてタイラギ貝漁をしていた潜水夫が行方不明になった.この潜水漁を支援していた船の船長によると, 作業中の潜水夫から突然「上げてくれ」という救助を求める声を聞き, 20分程度かけてやっと引き上げたが, ズタズタに裂けた潜水服とヘルメットだけを回収したという.潜水夫は行方不明で, その後の捜索にもかかわらず, 結局発見できなかった.[・・・・・・]肩当て部分のゴムの深い傷から長さ約5mm, 幅約2.5mmの歯の破片が発見され, これには2個の鋸歯が残されていた.また, 肩当てや潜水服に残された咬み跡を調査して顎の幅を検討したところ, 40cmはあったと推定された.これらの証拠から, この潜水夫を襲ったのは歯の縁辺部に鋸歯をもっかなり大形のサメであったことが明白となった.
これらの歯の破片の特徴, 潜水服などに残された傷跡, 顎の大きさなどに加え, 水温 (当時の付近の水温は水深20mで1L6℃) や四国近海での当時のサメ類の出現状況などを総合的に検討した結果, この潜水夫を襲ったのは全長5m前後のホホジロザメであると結論された.(Ref.3)
実は、瀬戸内海サメ騒動が起きる前にも次のようなサメによる襲撃が起きていました。
愛媛県沖の瀬戸内海では先月初めごろから大型のサメが地元の漁師に目撃されており、先月中旬にはきょうの現場に近い松山沖で同じタイラギ漁をしていた潜水夫がサメに襲われています。
この時にはヘルメットをかみつかれましたが、潜水夫にけがはありませんでした。(1992.03.08 NHKニュース)
このときのサメの種類については不明ですが、大型のサメということから、瀬戸内海サメ騒動のホホジロザメかもしれません。
日本のホホジロザメ:1992年鹿児島県の内之浦湾
鹿児島大学総合研究博物館によると、1992年に鹿児島県の内之浦湾にて大型個体が入網した記録があるそうです。
その当時、西日本新聞でも大々的に報道され、現在では顎部骨格のみが残されているとのこと。
このときのホホジロザメの顎部骨格の写真は、鹿児島大学総合研究博物館『内之浦湾漁港に水揚げされる魚たち』p.17で見ることができます。
ホホジロザメのことをさらに詳しく
ホホジロザメのことをさらに詳しく知りたい方はこちらのブログをどうぞ🦈
人食いサメなの?ホホジロザメの特徴、寿命、危険度とは?鮫と水族館が好きなわたしが画像付きで解説
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サメ事故は年間何件?日本に生息する人食いザメの種類・分布・危険性
参考文献
(2)谷内透『サメの自然史』東京大学出版会、1997年(初版)。
(3)仲谷 一宏『愛媛県松山市沖のホホジロザメによる死亡事故, および日本におけるサメ被害』1993年、2021年3月7日に閲覧。
(4)愛知県『愛知の水産関連年表(その15:平成6年から平成8年まで)』、2021年3月7日に閲覧。
(5)瀬戸内タイムス『ホホジロザメに危機一髪』、平成11年7月14日夕刊。
(6)佐藤 圭一 (著)、 冨田 武照 (著)『寝てもサメても 深層サメ学』、産業編集センター 、2021年(第一刷)。