世界海洋デーとは
毎年6月8日の世界海洋デー(英語:World Oceans Day / ワールド オーシャンズ デー)は、海の重要性を認識し、海に感謝し、海とそのすべての生き物を保護することを目的とした国際的な行動を促す日です。
今年の世界海洋デーのテーマは「海:生命と生活」となっています。
国連の持続可能な開発のための海洋科学の10年
今年は、国連の持続可能な開発のための海洋科学の10年も始まります。
2017年に構想された海洋科学の10年は、2021年から2030年まで続きます。
国連海洋科学の10年に達成するべき7つの目標
国連海洋科学の10年には、これまで多くの先人が積み上げてきた海洋科学の成果をベースとする形で、達成するべき7つの目標が掲げられています。
国連海洋科学の10年に達成するべき7つの目標は次の通りです。
- きれいな海
- 健全で回復力のある海
- 予測できる海
- 生産的な海
- 安全な海
- 万人に開かれた海
- 夢のある魅力的な海
海洋が直面している多くの課題
海洋は人間の活動によって近年多くの課題に直面しています。
乱獲、汚染、海洋掘削、地球温暖化はすべて、真っ青な海に大混乱をもたらしています。
世界の海洋魚資源に対する乱獲という破壊的な漁業慣行は、捕獲された海洋生物にとって有害なだけではありません。
乱獲は海洋生態系全体に影響を及ぼし、海洋生物多様性に悪影響を及ぼす可能性があります。
魚の個体数が激減すると、自然の食物連鎖が崩壊し、サンゴ礁やウミガメなどの他の海洋生物が失われます。
しかし、海を破壊しているのは乱獲だけではありません。
世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみも大きな問題となっています。
環境省の調べによると、世界では毎年少なくとも800万トンものプラスチックごみが海に流出しているといいます。
これは、重さにして、ジャンボジェット機5万機相当に相当する重量です。
ゴミ、プラスチック、有毒廃棄物、未処理の下水による海洋汚染は、海洋生物を汚染し、水循環を混乱させ、海洋を二酸化炭素で飽和させ、地球温暖化を加速させています。
温暖化は、陸地だけでなく、海にも影響を及ぼしています。
海がより多くの熱を吸収するにつれて、海面と表面温度が上昇しています。
アメリカ海洋大気庁 (NOAA) によると、海の温度は過去1世紀にわたって10年ごとに約 0.13°C 上昇しています。
この気温の変化は海洋生物に影響を与えるだけでなく、強い熱帯性低気圧などの気候パターンの変化を引き起こします。
15億6千万枚のマスクが海洋へ流出
ショッキングなのが、新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックの中で15億6千万枚のマスクが海洋へ流出して、海洋プラスチックごみ問題に拍車をかけているということです。
15億6千万枚。香港を拠点とする海洋保護団体「オーシャンズアジア」は昨年末、こんな数字を発表した。新型コロナウイルスが世界中に広がった2020年の1年間に、適切に処理されず海に流れ出たマスクの推計枚数だという。
元になったのは、20年に世界で生産されたマスクが520億枚にのぼるという市場調査データと、廃棄されるプラスチックのうち約3%が海に流出しているという、国連などの推計だ。
マスク1枚あたり3~4グラムと仮定し、4680~6240トンの海洋ごみが増えたと訴えている。
適切に処理されないまま自然界に流出したマスクは野生生物の生存にも影を落とす。
ブラジルの海洋保護団体は昨年9月、サンパウロの浜に打ち上げられたペンギンの胃の中からマスクが見つかったと報告をまとめた。
英国王立動物虐待防止協会によると、イギリスでは昨年7月、マスクの耳ひもが足に絡まって動けなくなったカモメが救助されたという。
わたしたちの日常には欠かせないものとなった不織布マスクやウレタンマスクの多くはポリプロピレンやポリウレタンといったプラスチックでできています。
海に流れ出たマスクは1年間に15億枚との環境団体の試算があり、野生生物の命を脅かす例も報告されています。
人工的に作られた化学繊維は、自然界で分解されにくいため、長い期間、海の中を漂うこととなり、分解されるまでには450年ほどかかるとの指摘もあるそうです。
英国の海底に生息するサメからマイクロプラスチックを発見
イギリスのガーディアン紙によると、英国の海底に生息するサメからマイクロプラスチックを発見したとのことです。
2020年の7月、ペンザンスを拠点とするメルルーサ漁船によって混獲された46匹の英国沿岸の海底に生息するサメの胃と腸を科学者が調べたところ、サメの内臓から衣類に含まれるマイクロプラスチックと合成マイクロファイバーが初めて発見されました。
科学者たちが調査したのは、海底に生息するハナカケトラザメ(Scyliorhinus canicula)、スターリースムースハウンドシャーク(Mustelus asterias)、アブラツノザメ(Squalus suckleyi)、ブルハス(Scyliorhinus besnardi)の4種のサメです。
調査したサメの67%に、繊維によく見られるマイクロプラスチックやその他の人工繊維が含まれていたのです。
特定された汚染物質の圧倒的多数 (95%) が、釣り糸や網からのマイクロファイバー、またはビスコース(レーヨン素材の一種)、レーヨン、使い捨てマスクの製造に使用される合成セルロースでした。
マイクロプラスチックは、沿岸の浅い海域から水深11,000m のマリアナ海溝まで、海のいたるところに存在します。
多くの小さな甲殻類や甲殻類、骨の多い魚、ジンベエザメやマンタなどの巨大なろ過摂食動物でマイクロプラスチックの存在が確認されています。
摂取したプラスチックや繊維が物理的または化学的にサメに何らかの損傷を与えたかどうかはまだわかりませんが心配な話ですよね。
房総半島沖の深海底に大量のプラスティックゴミの集積地
千葉県の房総半島沖の水深6千メートル近い深海底で、大量の使い捨てプラスチックごみが海洋研究開発機構の調査で見つかった。1平方キロあたり平均4561個に上り、レジ袋や1984年製のハンバーグの袋があった。
海に流れ出たプラごみの集積地の一つと考えられている。[・・・・・・]過去に深海底のプラごみを調べた国内外の研究では、平均100個に満たないといい、海洋機構の中嶋亮太・副主任研究員は、「房総半島沖の黒潮が渦を巻く場所の深海底は、プラごみの集積地になっていることがわかった」としている。
海洋機構がコンピューターで計算したところ、海洋プラごみは1週間くらいで沈んでいくと推定される。いったん深海底に沈むと、紫外線や波などプラスチックを微細にする劣化が起きにくく、蓄積されていくと考えられるという。
1984年製のハンバーグの袋がいまだに深海に蓄積しているというのはおどろくばかりです。
深海底に沈むと、紫外線や波などプラスチックを微細にする劣化が起きにくく、蓄積されていくのなら世界中のに多様な条件を備えた深海底で同じような事態が起きているのかもしれません。
日本の太平洋側で黒潮が渦を巻く場所は、ほかにも四国沖があり、海洋機構は今年の夏に四国沖の深海底でも調べる予定とのこと。
海を助ける方法
プラスチックの使用を減らして、プラスチック汚染を減らす
毎年少なくとも800万トンのプラスチックゴミが海に流れ込んでいます。
海洋生物はプラスチック廃棄物を摂取したり、巻き込まれたりします。
プラスチックの破片は、毎年10万匹以上の海洋哺乳類と100万羽の海鳥を殺している、と国連教育科学文化機関は報告しています。
日本ではプラスチックゴミの70%を企業が、残りの30%が家庭から出ているといいます。
海に流れ込むプラスチックの量を減らすのに役立つ簡単な方法はプラスチックをなくすことです。
たとえば、使い捨てのプラスチックをできるだけ減らし、代わりに再利用可能なプラスチックまたはプラスチックを含まない製品を選びます。
また、プラスティックを処分する際にしっかりと分別することも大切です。
このときに重要なのは、汚れたプラスティックを資源ごみとして出さないことです。
汚れたプラスティックはリサイクルすることができず、ゴミ集積所で燃えるゴミに分類されているのをご存知ですか?
せっかく地球のため、海を助けるためを分別したのにそんな事態に陥ってしまうのは残念ですよね。
汚れたプラスティックはきれいに洗浄することで資源ごみとして出すことは可能ですが、ここで考えたいのが、台所洗剤を含んだ汚水などによる海洋汚染です。
これはわたしの考えですが、プラスティックゴミを減らすために汚水を増やすというのはナンセンスではないでしょうか。
また、日本のプラスティックゴミのリサイクル率は86%というずば抜けた数値ですが実はそのうちの58%はサーマルリサイクルです。
サーマリサイクルとは、焼却して熱エネルギーとして再利用するということです。
つまり、資源ごみとして分別したプラスティックを燃やしているということなんですね。
さらに、86%のうち8%のプラスティックゴミは単純焼却されているため、66%のプラスティックゴミが焼却されているということになります。
つまり、洗剤で洗う必要があるくらいに汚れたプラスティックは素直に燃えるゴミで出した方が地球に優しいということになります。
海に対する意識を高める
海の問題に対する意識を高め、記事、事実、ドキュメンタリーなどに触れてみましょう。
また、それを友人や家族と共有したり、話し合ってみたりするのもよいでしょう。
水族館に足を運び、海にはこんなに多様な生き物が存在しているのだという共生の意識を持つことも有効です。
地球は人間だけのものではなく、多様な生き物が有機的につながって成り立っているのです。
おわりに
地球の表面の70%以上が海の水で覆われています。
また、海洋は地球の酸素の少なくとも50%を生成し、信じられないほどの数の海洋生物の多様性を支えています。
その広大な深海には無数の種が生息しており、米国国立海洋局(National Weather Service / NWS)によると、その約91%はまだ解明されていません。
そんな命の森でもある海ですが、このままだと、2050年には海にいる魚よりもプラスチックが多くなるといわれています。
小さなことでもかまいません。
いつもよりも海のことを意識してみませんか。
大きなことはできなくてもいいんです。
簡単なことから始めてみませんか。
一人ひとりの小さな力でもそれが世界中に広がることで、やがて大きな力となり、海を助けることへとつながっていくのです。
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