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海の環境問題

海洋酸性化とは?仕組み、原因、サメへの影響、対策をわかりやすく解説

2023年2月27日

海洋酸性化とは

海洋酸性化とは、二酸化炭素量が増えることで海水が酸性になっていくことです。
なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょうか。

海洋酸性化を英語でいうと?

海洋酸性化は英語で“ocean acidification”といいます。
oceanは「海洋」、acidificationは「酸性化」なので、そのままの意味ですね。
英語での読み方は、「オーシャン・アシディフィケイション(発音)」です。

海洋酸性化のメカニズム

海洋酸性化のメカニズム
引用:気象庁「海洋の炭素循環」各数値は炭素重量に換算したもので、黒の矢印及び数値は産業革命前の状態を、赤の矢印及び数値は産業活動に伴い変化した量を表しています。2000~2009年の平均値(億トン炭素)を1年あたりの値で表しています。

産業革命以降(1750年~)、多くの二酸化炭素が大気中へ排出されるようになりました。
化石燃料の燃焼などにより排出される二酸化炭素と、農地拡大等による土地利用変化(森林破壊)により排出される二酸化炭素をあわせて、人為起源二酸化炭素と呼んでいます。

人為起源二酸化炭素の量

人間の活動によって排出される人為起源二酸化炭素の量は2000年代以降、1年あたりの平均がおよそ90億トンです。
産業革命以降の積算では5550億トン炭素に上ります。

二酸化炭素の吸収先は森林と海水のふたつ

大気中に排出された人為起源二酸化炭素は、森林が吸収したり、海水に溶けていきますが、残りは大気中にとどまります。

にゃぶり
にゃぶり
森林と海水が二酸化炭素を吸収するんだね!

海には大気中の約50倍の量の二酸化炭素(CO2)が溶け込んでいます。
大気中の二酸化炭素が増えすぎると、海水に溶ける二酸化炭素の量も増加してしまいます。
それによって、pH(水素イオン濃度指数)が少しずつ低下(酸性化)してしまいます。

にゃぶり
にゃぶり
海水中のpHは一般的に弱アルカリ性にゃんだよね!

そうなのです。
表面海水中でのpHは約8.1。
深くなるにつれてpHは下がり、北西太平洋亜熱帯域では水深1000m付近で約7.4と最も低くなります。

ところが、二酸化炭素が多く溶け込むとpHが下がり、海水のアルカリ性が弱まります。
このように海水が酸性化していくことを海洋酸性化と呼んでいます。

pH(水素イオン濃度指数)とは?

pH(水素イオン濃度指数)とは、水溶液の酸性、アルカリ性の度合いを表す指標。
pHが7のときに中性、7を超えるとアルカリ性、7未満では酸性。

また、大気中に蓄積された二酸化炭素は温室効果を増大させ、地球温暖化を引き起こします。
このように人為起源二酸化炭素は海を酸性化させるだけではなく、わたしたちが暮らす陸上の地球温暖化を引き起こす原因にもなっているのです。

海洋酸性化の原因となる人間活動は2つ

海洋酸性化の原因となる人間活動は主に2つです。

  • 化石燃料の燃焼
  • 森林伐採

化石燃料の燃焼

化石燃料とは石炭、石油、ガスのことです。
どれも身近なものですね。

にゃぶり
にゃぶり
にゃぶ、石炭や石油は使ってにゃい!

いえいえ、そんなことはありません。

日本の石炭の用途(2015年)

日本の石油の用途(2015年度)

引用:東京ガスネットワーク「おどろき!なるほど!ガスワールド / 現在を見る / 生活に必要なエネルギー / 日本のエネルギーの使われ方を調べよう」

石炭についてはピンとこないかもしれませんが、左側の図を見るとわかるように電気業で半分ほど使用されています。
石油については右側の図を見ましょう。
自動車や飛行機や船などの乗り物、科学用原料としてプラスティックや衣料品や洗剤などを作るのに使用されています。
2020年以降、わたしたちの生活に欠かせないものとなったマスクの原料も石油です。

にゃぶり
にゃぶり
石炭、石油、ガスはどれも身近なんだね!

産業革命以降、わたしたちの生活に化石燃料は欠かせないものとなりました。
そのため化石燃料の消費量とともに二酸化炭素が増えて、海洋酸性化をはじめとする多くの気候変動に関連する問題を生み出しているのです。

森林伐採

農地拡大や開発のための森林伐採は化石燃料の燃焼と同じように大気中に大量の二酸化炭素を増やす原因となってしまいます。

にゃぶり
にゃぶり
森林って何の役に立つの?

森林は光合成により大気中の二酸化炭素を吸収するとともに、酸素を発生させながら炭素を蓄えて成長します。
地球上の二酸化炭素循環において、森林は「二酸化炭素の吸収源」として大きな役割を果たしているのです。

そのため、森林伐採によって「二酸化炭素の吸収源」が減ってしまうと、その分海水に溶ける二酸化炭素の量が増えてしまい、海洋酸性化の問題が起きてしまうのです。

にゃぶり
にゃぶり
陸の問題が海にも影響してるんだね!

そうなのです。
車の運転やエネルギー消費、森林破壊などによって、大気中の二酸化炭素が増えると海洋中に吸収される二酸化炭素も増え「海洋酸性化」が起こってしまいます。
陸地で起きている問題が海に持ち込まれてしまうということですね。

海洋酸性化の影響

大気中の二酸化炭素濃度が上昇し、海洋酸性化(=水素イオン濃度指数(pH)の低下)が世界規模で進行しています。
この海洋酸性化が進むことで、サメの歯が脆くなったり、カニの幼生の殻や感覚器として重要なヒゲに損傷が見つかったり、サンゴや貝類などの海洋生物が炭酸カルシウムの骨格や殻を作ることを阻害されるなど、海洋の生態系に大きな影響を与えることが懸念されています。

海洋酸性化が影響する生物は?

海洋酸性化は、すでに多くの海洋生物に影響を与えています。
特にカキなどの貝類やサンゴなど、海水中のカルシウムと炭酸塩を結合させて硬い殻や骨格を作る生きものは海洋酸性化の影響を受けています。
また、海洋酸性化が進むことで食物連鎖の下位に属する植物プランクトンや小さな動物プランクトンが生息、繁殖しにくい環境になると、上位に属する生物にも影響が及ぶ可能性があります。

海洋酸性化は人間にも影響

海洋酸性化は、海の生きものだけではなく、水産業に携わる人々やサンゴ礁等の海洋観光資源に依存する観光業などへの影響も懸念されます。
また、世界人口の約20パーセントは動物性タンパク質摂取量の少なくとも5分の1を魚から得ています。
海洋の食物連鎖の変化は人間への食物供給が変化する可能性もあるということです。

海洋酸性化が影響するのは海の生きものたちだけではなく、地上で暮らすわたしたち人間も含まれているのです。

海洋酸性化の魚への影響の影響は?

世界の海に生息する50万種の生きものうち25%程度がサンゴ礁域かその周辺に生息していると考えられています。
そのため、海洋酸性化によりサンゴが減ってしまうと、魚たちは住みかや産卵場所、稚魚たちが育つ場所を失ってしまうのです。

海洋酸性化のサメへの影響は?

サメの特徴といえば、ザラザラとしたサメ肌としっかりとした鋭い歯ですね。
ここまで読んだ方なら、海洋酸性化のサメへの影響はなんとなく予想ができるのではないでしょうか。

サメの歯とウロコの構造は同じ

サメの歯は象牙質の核がエナメル質でおおわれた構造をしています。
サメのウロコは楯鱗(じゅんりん)または皮歯(ひし)と呼ばれています。
楯鱗は象牙質の核がエナメル質でおおわれています。

にゃぶり
にゃぶり
歯とウロコの構造は同じなんだね!

そうなのです。
サメの楯鱗(ウロコ)は歯と同じ作りをしているんです。

にゃぶり
にゃぶり
楯鱗(ウロコ)は小さな歯みたいなものだね!

サメの歯と楯鱗(ウロコ)は海洋酸性化でどうなる?

Natureよると、研究者たちはサメの歯と楯鱗(ウロコ)は海洋酸性化でどのような影響を受けるのかということをネコザメで実験しました。
この実験の内容は36時間、66匹のサメをpH7.3で飼育するというものです。

pH8(現在の海の酸性度)pH7.3(将来予測される酸性度)
問題なし歯が腐食。サメの摂食能力に影響する可能性。
ウロコ問題なしウロコが腐食。サメの泳ぐ速度を低下させる可能性。

pHのおさらい

pHは、水溶液の酸性、アルカリ性の度合いを表す指標。
pHが7のときに中性、7を超えるとアルカリ性、7未満では酸性。

この研究により、海洋中の二酸化炭素濃度が上昇し、海洋酸性化が進むことで、サメの歯やウロコが腐食することによって泳ぎや、餌をとる能力が損なわれる可能性があるということが明らかになりました。

サメが影響を受けるのはいつ?

最新の推計によると、海のpHがこの研究と同じレベルのpH 7.3レベルを下回るのは2300年ごろだと考えられています。
また、この実験のサンプル数は少なすぎるため、サメの歯やウロコの腐食については今後さらに研究を進めることが求められます。

しかしながら、海洋酸性化が進みpH 7.3までいってしまうと影響を受けるのはサメだけでは済みません。
歯やウロコへのダメージよりも、生息地のさらなる環境悪化、餌となる生きものの減少などの方がより深刻な影響をサメに与えることになってしまうことが予測されます。

サメの未来

現在でもサメは乱獲や違法漁業などにより、およそ30%ほどの種が絶滅の危機に瀕しています。
サメの個体数はたったの60年間ほどで大きく減少してしまいました。
海洋酸性化が進み2300年ごろにpH 7.3になる前に深刻な事態に陥ってしまう可能性もあります。

海洋酸性化への対策は?

海洋酸性化への対策について、わたしたちにできることとブルーカーボンへの取り組みを紹介します。

わたしたちにできる海洋酸性化への対策

わたしたちにできる海洋酸性化への対策は次のようなものがあります。

  • 冷房の設定温度をいつもより1℃高く上げ、暖房の設定温度をいつもより1℃低く設定する
  • 無駄な電力を削減する
  • 自家用車の使用を控え、公共機関の乗り物を利用する

陸上での化石燃料の燃焼は大気中の二酸化炭素を増加させるため海洋酸性化の原因となっています。
わたしたちが今すぐに取り組める海洋酸性化への対策は、電力の無駄使いを減らすことによって二酸化炭素の排出量を削減することでしょう。
たとえば、省エネ家電やLED電球などエネルギー消費量の少ない製品を選ぶことや公共交通機関を利用することなどが挙げられます。

海洋酸性化の深刻化を防ぐ対策は地球温暖化への対策にもなります。
身近なことから行動し、二酸化炭素を減らす努力をすることは海洋酸性化のみならず地球温暖化への対策にもつながっていくのです。

ブルーカーボン

植物などが光合成によって大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、炭素を貯留することをグリーンカーボン(Green Carbon)といいます。
陸上の植物などと同じように、海草や海藻、植物プランクトンなどもCO2を吸収して成長します。

ブルーカーボン(Blue Carbon)とは、藻場・浅場等の海洋生態系に吸収・貯留されている炭素のことです。
2009年10月、国連環境計画(UNEP)の報告書「BLUE CARBON」によって命名され、吸収源対策の新しい選択肢として提示されました。
ブルーカーボンを隔離・貯留する海洋生態系として、海草藻場、海藻藻場、湿地・干潟、マングローブ林が挙げられ、これらは「ブルーカーボン生態系」と呼ばれています。

  • 海草(うみくさ)藻場:アマモ、スガモ等、主に温帯~熱帯の静穏な砂浜、干潟の沖合の潮下帯に分布。
  • 海藻(うみも)藻場:コンブ、ワカメ、主に寒帯~沿岸域の潮間帯から水深数十mの岩礁海岸に分布。
  • 湿地・干潟:海岸部に砂や泥が堆積し勾配がゆるやかな潮間帯の地形、水没~干出を繰り返す。
  • マングローブ林:熱帯、亜熱帯の河川水と海水が混じりあう汽水域で砂~泥質の環境に分布、国内では鹿児島県以南の海岸に分布。

アマモ養殖によって、日本全体の沿岸に根付かせることができれば年間100万トン以上の二酸化炭素の吸収量を増やせるそうです。
また、マングローブには40倍の面積の熱帯雨林に相当する二酸化炭素の吸収量があるといわれているため、海外や沖縄県にマングローブの植林をすることもブルーカーボンの取り組みとして有効でしょう。
このように、海洋生態系を活用して二酸化炭素の吸収・貯留を増やすブルーカーボンを推進していくことは海洋酸性化の対策として重要な役割を果たすのではないでしょうか。

参考文献・資料

漁業の問題に関心がある人におすすめの本

魚が食べられなくなる日 / 勝川俊雄

東京海洋大学准教授の勝川俊雄さんの本。
漁業の問題が平易な表現で解説されているので知識がない人でもサクサク読める本です。
乱獲の問題に関心がある人におすすめ。

日本の漁業が崩壊する本当の理由 / 片野歩

水産会社社員の片野歩さんの本。
Q & A形式でわかりやすく漁業の問題を解説。
現役漁師親子を交えた座談会は読み応えあり。

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シャーク・アクティビストReinoとにゃぶり

シャーク・アクティビストReino

シャーク・アクティビストのReinoです。 サメ専門ブロガー&YouTuberとしてサメの生態や保全についてお伝えしています。 佐賀県唐津市生まれ、東京育ち。 慶應義塾大学文学部卒業。 保有資格は環境社会検定試験(eco検定)、日本さかな検定(ととけん)3級🐟 関心があるのは、哲学、サメの保全、環境倫理学、水産学、SDGs14。 好きなものは、7 MEN 侍、SixTONES、永瀬廉(King & Prince)。ブログの執筆と監修を行っています。

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