ニタリはオナガザメの仲間です。
水族館で飼育されることはほとんどないためなかなか出会う機会はありません。
このブログでは、ニタリの特徴などを解説します。
ニタリとは学名 Alopias pelagicus 1935年

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分類Scientific Classification
ニタリ(学名:Alopias pelagicus 英語名:Pelagic thresher)は、ネズミザメ目 Lamniformes > オナガザメ科 Alopiidae > オナガザメ属 Alopiasに属するサメです。
- 界 Kingdom
- 動物界 Animalia
- 門 Phylum
- 脊索動物門 Chordata
- 綱 Class
- 軟骨魚綱 Chondrichthyes
- 亜綱 Subclass
- 板鰓亜綱(ばんさいあこう) Elasmobranchii
- 亜区 Subcohort
- サメ亜区 Selachii
- 上目 Superorder
- ネズミザメ上目 Galeomorphi
- 目 Order
- ネズミザメ目 Lamniformes
- 科 Family
- オナガザメ科 Alopiidae
- 属 Genus
- オナガザメ属 Alopias
- 種 Species
- ニタリ A. pelagicus
基本情報
まず、ニタリの基本情報を紹介します。
- 標準和名
- ニタリ
- 別名
- ねずみぶか(山口県瀬戸内海側、宮崎県)※参照
- 英語名
- Pelagic thresher
- 学名
- Alopias pelagicus
- 分類
- ネズミザメ目 Lamniformes > オナガザメ科 Alopiidae > オナガザメ属 Alopias
- 命名された年
- 1935年
- 保全状況
- 絶滅危惧種:危機(EN / Endangered)(IUCNレッドリスト2019年公表・Rigby et al. 2019)
- ワシントン条約(CITES)
- 附属書Ⅱ
- 最大全長
- 428cm
- シャークアタックの回数
- 0件のサメ事故(1580-2023年)
- サメの攻撃が原因の死亡事故
- 0件のサメによる死亡事故(1580-2023年)
- 危険度
- 水族館で会える可能性
- ペットとして飼育できる可能性
ニタリと人間との関わり
ニタリと人間との関わりを食用、保全状況、ワシントン条約(CITES)、危険性の4つの面から解説します。
食用などの活用方法
ニタリは遠洋および沿岸漁業のはえ縄、巻き網、刺網漁業で対象種または混獲で漁獲されているサメです。
肉は生鮮食品や燻製、塩干物として、ヒレ、肝油、サメ皮として活用されています(Compagno 2001、Jabado et al. 2015)。
また、ニタリを含むオナガザメの3種はすべて国際ゲームフィッシュ協会(IGFA)によってゲームフィッシュとみなされています。ニタリは捕獲後すぐにリリースしても死んでしまうことが多いとみられているので、ゲームフィッシュの対象でなくなるのを願うばかりです。
近縁のマオナガでは、尾にはりが掛かった個体の78%が放流後に死んだ一方、口に掛かった個体はすべて生き残ったという報告があります(Sepulveda et al. 2015)。また、はえ縄で漁獲されたハチワレでは、船に揚げた時点で49〜68%がすでに死んでいたという報告もあります(Coelho et al. 2011)。
保全状況
ニタリは絶滅危惧種?
ニタリは絶滅危惧種:危機(EN / Endangered)と評価されています。
| 絶滅 | 絶滅危惧種 | 絶滅リスクは低い | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1.絶滅(EX) | 2.野生絶滅(EW) | 3.深刻な危機(CR) | 4.危機(EN) | 5.危急(VU) | 6.準絶滅危惧(NT) | 7.低懸念(LC) |
| どこにもいない |
ほぼ絶滅 |
かなりやばい |
やばい |
やばそう |
そろそろやばい |
今は心配なし |
| メガロドン | - | ヨゴレ、シロワニ、アカシュモクザメ | アオザメ、ニタリ、レモンザメ | オオメジロザメ、ホホジロザメ、クロヘリメジロザメ | イタチザメ、ヨシキリザメ | ネコザメ |
| - | - | イリオモテヤマネコ、ラッコ | トキ、トラ | パンダ | トド | - |
| - | - | - | ニホンウナギ | クロマグロ | - | ブリ |
※この他に、データ不足で正しく評価できない情報不足種 (DD / Data Deficient)、まだ評価がされていない未評価種 (NE / Not Evaluated)というふたつのカテゴリーがあります。
※IUCNレッドリストでは、未評価種 (NE)、情報不足種 (DD)、低懸念(LC)、.準絶滅危惧(NT)、絶滅危惧種(危急、危機、深刻な危機)、野生絶滅(EW)、絶滅(EX)の9つのカテゴリに分類しています。
※レッドリストについては『【2025年12月版】絶滅危惧種のサメの種類とは?IUCNレッドリストのまとめ』で解説しています。
Rigby et al.(2019)は、ニタリの個体数が太平洋とインド洋の両方で減少していると報告しています。
インド洋から太平洋にかけての分布全体では、過去3世代(55.5年)で50-79%減少したと推定されました。この推定にもとづいて、IUCNレッドリストの絶滅危惧種の中で2番目に絶滅の危機にさらされている危機種(EN / Endangered)と評価されています。
ニタリは2009年の評価では危急種(VU / Vulnerable)でした。2018年11月の再評価で危機種(EN)へ引き上げられ、2019年に公表されています(Rigby et al. 2019)。減少の推定に使われたのは、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)のオブザーバーデータ(1996〜2014年)と、インド洋のソ連の調査船データ(1967〜1987年)です。
【2025年12月版】絶滅危惧種のサメの種類とは?IUCNレッドリストのまとめ
ワシントン条約(CITES)
- ワシントン条約(CITES)
- 附属書Ⅱ
ニタリは2016年ヨハネスブルグ会議にてワシントン条約(CITES)の附属書Ⅱに掲載されました。
(2026年7月追記)掲載が決まったのは2016年の第17回締約国会議(CoP17)です。附属書Ⅱへの記載は2017年1月2日付で、締約国が体制を整えるための猶予期間を1年おいたため、実際の規制が始まったのは2017年10月4日からでした(CITES事務局)。なお、ニタリを含むオナガザメ3種は、2014年に移動性野生動物の種の保存に関する条約(ボン条約/CMS)の附属書Ⅱにも掲載されています。インド洋まぐろ類委員会(IOTC)は、これより早い2009年に、オナガザメ3種の保持、積替え、水揚げ、保管、販売を禁止しました(Rigby et al. 2019)。
ボン条約(CMS)とは?サメを守る移動性野生動物の種の保存に関する条約を解説
ワシントン条約(CITES / サイテス)のリストに掲載されたサメ類と日本の対応について
危険性
- 危険度
- シャークアタックの回数
- 0件のサメ事故(1580-2023年)
- サメの攻撃が原因の死亡事故
- 0件のサメによる死亡事故(1580-2023年)
ニタリは最大全長が428cmになりますが、1580-2023年までシャークアタックに関与したことはありません。
ダイバーや泳ぐ人を見かけても避けます。FishBaseも、ニタリを人に危害を加えないサメ(Harmless)として分類しています。
ニタリの形態

引用:FAO“ SHARKS OF THE WORLD”, 2002を元にMUSEA BLOGが編集
見た目の特徴(形態)
- 尾びれの上半分がとにかく長い
- 胸びれも長め
- 鼻先が短い小顔で丸顔
- くりっとした丸い目
- 長い尾びれを上下に振って獲物を攻撃する
大きさ
- 平均的な大きさ
- 260〜292cm
- 最大全長
- 428cm
- 体重
- 69.5kg
(2026年7月追記)最大全長428cmは、世界の軟骨魚類を一覧にしたWeigmann(2016)の記録にもとづく数字です。一方、IUCNレッドリストの評価書(Rigby et al. 2019)は、Ebert et al.(2013)を引いて最大全長を365cmとしています。同じ種でも、どの資料を根拠にするかで最大サイズの数字は変わります。FishBaseでは、メスの最大記録を383cm、よく見られる大きさを約276cmとしています。
マオナガとニタリの違い
ニタリとマオナガとハチワレの違いを表にしました。
ニタリはマオナガと見た目がそっくりということから「ニタリ」になりました。
ぱっと見の見た目はほぼ同じですが、ニタリの方がかわいらしいお顔です。
ハチワレは後頭部の膨らみが特徴的なのでわかりやすいでしょう。
もしも海の中でニタリとマオナガとハチワレの遭遇した場合はその場での見分けは難しいかもしれません。
この比較表を作るにあたって、マオナガとニタリの写真を何枚か比較しましたが、少し困り顔でかわいい方がニタリでだいたい合っているような気がします 笑
| ニタリ | マオナガ | ハチワレ | |
|---|---|---|---|
| 学名 | Alopias pelagicus | Alopias vulpinus | Alopias superciliosus |
| 英語名 | Pelagic thresher | Common thresher | Bigeye thresher |
| 大きさ | 最大428cm | 最大573cm | 最大488cm |
| 水深 | 0〜300m(通常150mまで) | 0〜650m(通常200mまで) | 0〜730m(通常100mまで) |
| 目の大きさ | 大きくてかわいらしい | 普通 | 上下に長く大きい |
| 特徴 | 胸びれの付け根の付近が白くない | 胸びれの付け根の付近が白い | 後頭部が八の字に膨らんでいる |
| 分布 | インド洋と太平洋 | 地中海を含む世界の温帯・熱帯海域 | 世界の温帯・熱帯海域 |
ニタリの分布と生息域
- 分布域
- インド洋と太平洋の熱帯・亜熱帯海域(大西洋と地中海には分布しない)
- 日本国内での分布域
- 房総半島より南の太平洋側、山口県の日本海側(※)
- 生息域
- 主に外洋
- 水深
- 水深0〜300m(通常150mまで)
分布域
ニタリは外洋性のサメで、インド洋と太平洋の熱帯・亜熱帯の沖合に生息しています(Rigby et al. 2019)。台湾北東部の沖合では、はえ縄漁で多く漁獲されています(Liu et al. 1999、Tsai et al. 2010)。
地中海や大西洋にはニタリの分布記録がありません。オナガザメ属のうち地中海に分布するのはマオナガ(Alopias vulpinus)です。IUCNレッドリストの生息国リストにも、地中海沿岸の国はニタリの分布国として挙げられていません(Rigby et al. 2019)。
生息域
主に外洋の表層〜水深150mまでの海域に生息しています。
ニタリの生態
長い尾びれで狩りをする動画
ニタリが魚の群れの中に猛スピードで突っ込み尾びれで狩りをして魚を食べる動画です。
ライフスタイル
- 泳ぐ速度
- - キロ
- 性格
- -
- 1日の過ごし方
- -
- 好きな食べ物
- ニシン、トビウオ、アオリイカ
繁殖
- 繁殖方法
- 卵胎生(Ovoviviparity)
- 妊娠期間
- - ヶ月
- 一度に産む数
- 2匹
- 子ザメの大きさ
- 約130〜160cm
- 繁殖サイクル
- 調査中
- 成熟年齢
- 8〜9歳
- 成熟サイズ
- オス:全長267〜276cm、メス:全長282-292cm
ニタリは一度に産む子ザメの数が2匹と少ないので、個体数の増加率がとても低く乱獲に弱いサメです。
(2026年7月追記)ニタリの繁殖方法は、現在は「無胎盤性の胎生」と説明されます。おなかの中の赤ちゃんザメは、まず卵黄を使い、それを吸収したあとは母ザメが産む未受精卵を食べて育ちます(卵食/oophagy)。繁殖サイクルについて、Liu et al.(1999)は年に1回である可能性が高いとしています。子ザメの大きさは、IUCNの評価書では158〜190cmとされています(Rigby et al. 2019)。成熟年齢についても、同じ評価書はメスで9〜13.2歳という幅を示しています。
寿命
- 平均寿命
- - 歳
- 最大寿命
- 24~28歳
(2026年7月追記)24〜28歳という幅は、台湾とインドネシアで別々に行われた年齢査定の結果です(Liu et al. 1999、Drew et al. 2015)。IUCNは、この2地域の値を平均して、ニタリの世代長を18.5年としています。
ニタリを水族館で見たい
ニタリは飼育が難しいサメです。
そのため水族館で見かけることはほとんどありません。
2023年2月時点、ニタリを飼育している水族館はありません。
飼育したことがある水族館一覧
引用:葛西臨海水族園のニタリ
| 水族館名 | 飼育期間 | 大きさ | 性別 | 採集場所・方法 |
|---|---|---|---|---|
| 海遊館(大阪府) | 2008年6月 | 不明 | 不明 | 高知県で捕獲。2008年6月8日から7月6日にかけて、定置網に13個体のニタリの入網があり、3個体を以布利港内の生簀へ収容。生簀におけるニタリの飼育を11日〜26日間行い、餌付けに成功※。展示には至っていない。 |
| 葛西臨海水族園(東京都) | 2015年4月20日〜? | 不明 | 不明 | 傷負いのニタリを展示。 |
| 沖縄美ら海水族館(沖縄県) | 2016年ごろ? | 不明 | 不明 | 定置網漁でツマジロ、オグロメジロザメ、ニタリ入網有だが、飼育・展示には至っていない?※ |
| 沖縄美ら海水族館(沖縄県) | 2016年12月30日 | 不明 | 不明 | 読谷村、飼育・展示には至っていない?※ |
参考文献一覧
(2)スティーブ・パーカー (著)、仲谷一宏 (監修)、 櫻井英里子 (翻訳)『世界サメ図鑑』ネコパブリッシング、2020年(第5刷)。
(3)仲谷一宏『サメ-海の王者たち-改訂版』ブックマン社、2016年(初版第1刷)。 (4)田中彰(監修)『美しき捕食者 サメ図鑑』実業之日本社、2021年(初版第3刷)。
(5)谷内透『サメの自然史』東京大学出版会、1997年(初版)。
(6) David A. Ebert (著), Marc Dando (著), Sarah Fowler (著), Rima Jabado (はしがき, 寄稿) “Sharks of the World” Princeton University Press,2021年
(7)Rigby, C.L., Barreto, R., Carlson, J., Fernando, D., Fordham, S., Francis, M.P., Herman, K., Jabado, R.W., Liu, K.M., Marshall, A., Pacoureau, N., Romanov, E., Sherley, R.B. & Winker, H. (2019) Alopias pelagicus. The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T161597A68607857. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T161597A68607857.en (accessed 2026-07-28).
(8)Florida Museum “DISCOVER FISHES Alopias pelagicus” (accessed 2026-07-28).
(9)Fishbase “Alopias pelagicus Nakamura, 1935 Pelagic thresher” (accessed 2026-07-28).
(10)Weigmann, S. (2016) Annotated checklist of the living sharks, batoids and chimaeras (Chondrichthyes) of the world, with a focus on biogeographical diversity. Journal of Fish Biology, 88(3), 837–1037. https://doi.org/10.1111/jfb.12874
(11)Liu, K.M., Chen, C.-T., Liao, T.-H. and Joung, S.-J. (1999) Age, growth, and reproduction of the pelagic thresher shark, Alopias pelagicus in the Northwestern Pacific. Copeia, 1999(1), 68–74.
(12)Tsai, W.P., Liu, K.M. and Joung, S.J. (2010) Demographic analysis of the pelagic thresher shark, Alopias pelagicus, in the north-western Pacific using a stochastic stage-based model. Marine and Freshwater Research, 61, 1056–1066.
(13)Drew, M., White, W.T., Dharmadi, Harry, A.V. and Huveneers, C. (2015) Age, growth and maturity of the pelagic thresher Alopias pelagicus and the scalloped hammerhead Sphyrna lewini. Journal of Fish Biology, 86(1), 333–354.
(14)Sepulveda, C.A., Heberer, C., Aalbers, S.A., Spear, N., Kinney, M., Bernal, D. and Kohin, S. (2015) Post-release survivorship studies on common thresher sharks (Alopias vulpinus) captured in the southern California recreational fishery. Fisheries Research, 161, 102–108.
(15)Coelho, R., Lino, P.G. and Santos, M.N. (2011) At-haulback mortality of elasmobranchs caught on the Portuguese longline swordfish fishery in the Indian Ocean. Indian Ocean Tuna Commission, Technical Report.
(16)Compagno, L.J.V. (2001) Sharks of the world. An annotated and illustrated catalogue of shark species known to date. Volume 2. FAO, Rome.
(17)Jabado, R.W., Ghais, S.M.A., Hamza, W., Henderson, A.C., Spaet, J.L.Y., Shivji, M.S. and Hanner, R.H. (2015) The trade in sharks and their products in the United Arab Emirates. Biological Conservation, 181, 190–198.
(18)CITES “Which sharks and rays were listed at CoP17?” (accessed 2026-07-28).

