台湾東部の沖合にて、4日間で希少種「メガマウスザメ(Megachasma pelagios)」が6匹も捕獲されました。
メガマウスザメは今日の世界において最も希少なサメのうちのひとつです。
保護活動家は台湾に非常に珍しいメガマウスザメの漁獲を禁止するよう呼びかけています。
台湾東部の沖合で6匹のメガマウスザメを捕獲
中華民国(台湾)で発行されている日刊紙「聯合報(れんごうほう、英語名:United Daily News)」によると、2020年6月15日から6月18日の間に、流し網を使用している漁師が花蓮(Hualien)の沖合で6匹のメガマウスザメを捕まえたそうです(Taiwan News 2020)。
巨大な口をもつ珍しいサメの体重は1,000キログラムにもなり、体長は約4メートルでした。
6匹のメガマウスザメ(Megachasma pelagios)は台湾東部の沖合で漁獲され、保護活動家からメガマウスザメの漁獲を禁止するよう呼びかけられました。
保護団体はメガマウスザメを絶滅から保護するために漁獲禁止を求めている
保護団体は、希少種「メガマウスザメ」を絶滅から保護するために、その捕獲を禁止するよう求めています。
花蓮の漁師は、希少種「メガマウスザメ(Megachasma pelagios)」の価格は特に高くはなく、漁のさいにメガマウスザメを標的にしていることはなく、網に引っかかったあとにメガマウスザメが死んでいることが判明しただけであり、ルールに従って漁をしていると述べています。
2013年3月、台湾の行政院農業委員会漁業署(当時)は「大白鯊象鮫及巨口鯊漁獲管制措置」を公告しました。漁船がメガマウスザメを漁獲した場合、帰港後1日以内に漁獲情報を通報し、魚体全体を24時間留め置いて、学術機関による科学的サンプリングと生物学的データの収集を受けることが求められました。ただしこの時点では、漁獲そのものは禁止されていません(漁業署 2013)。
2013年から2020年6月までに、136件にものぼる希少種「メガマウスザメ」の漁獲が報告されています。
同じ漁船がメガマウスザメを捕獲
宜蘭県沖で漁獲された2尾を除いて、残りはすべて花蓮(Hualien)沖の流し網漁船によって漁獲されました。
2020年はこれまでに8匹のメガマウスザメが捕獲され、そのうち7匹のメガマウスザメが同じ漁船に捕獲されました。
台湾動物社会研究会(臺灣動物社會研究會/Environment & Animal Society, Taiwan)は6月18日、「メガマウスザメを絶滅させないでください(別讓巨口鯊滅絕)」と呼ばれるサメを保護するキャンペーンを開始しました。
このグループは、政府は4隻の漁船が希少種「メガマウスザメ」を乱獲することを許可していると主張しています。
また、台湾の海洋委員会と水産庁にこの問題に取り組み、漁船がサメを無差別に捕まえることをやめるよう求めました。
彼らが主張しているのは混獲ではなく、漁師が意図的に希少種「メガマウスザメ」を標的にしているのではないかということです。
メガマウスザメの64%が台湾沖で捕獲
1976年以来、希少種「メガマウスザメ」の目撃は、2020年6月時点で世界中で約226回しかなく、そのほとんどは漁師による捕獲の事例でした。
目撃情報の大部分は黒潮に沿って発生しています。
希少種「メガマウスザメ」のうち145匹が台湾沖で捕獲されており、世界で報告されている総漁獲量の64%を占めています。
※この割合は2020年6月時点のものです。その後、世界で確認された記録は273件・16か国に増えました(Yu et al. 2021)。台湾・日本・フィリピンに記録が集中している点は変わりませんが、総数が増えたぶん、台湾の占める割合は下がっています。
その後:2020年11月、台湾は禁漁を決定しました
台湾動物社会研究会がキャンペーンを始めてから、およそ1か月後の2020年7月16日、漁業署は「大白鯊象鮫及巨口鯊漁獲管制措置」の改正案を予告しました。そして2020年11月10日、改正された措置が公告され、その日から施行されました(漁業署 2020)。
これにより、ホホジロザメ、ウバザメ、メガマウスザメの3種は漁獲が禁止されました。誤って網にかかった場合は、生きていても死んでいても、その場ですぐに海へ戻さなければなりません。持ち帰ることはできません。帰港したときには、漁獲情報を通報する義務があります。
放流しなかった場合は、漁業法により3年以下の懲役もしくは拘留、または15万台湾ドル以下の罰金が科されます。通報しなかった場合は、3万台湾ドルから15万台湾ドルの罰金です。国内の教育や科学研究のために必要な場合は、許可を得たうえで例外的に捕獲できます(環境資訊中心 2020)。
ただし、この禁漁は漁業法にもとづく措置であり、メガマウスザメが「海洋保育類野生動物」に指定されたわけではありません。
海洋委員会海洋保育署は2020年の時点で、メガマウスザメとホホジロザメについては保育類に指定するだけの科学的データがまだ足りないとし、監視を続けるとしています。同時に議論されたウバザメは、資源量の減少に歯止めがかからないとして、優先的な保育対象とされました(環境資訊中心 2020)。
守る仕組みには段階があります。「獲ってはいけない」と「保護すべき種として指定する」は、同じではありません。台湾はまず前者を選びました。
後者へ進むために必要なのはデータです。ところが、そのデータの多くは、これまで水揚げされた個体から得られてきました。獲ることをやめた以上、これからは別の方法で集めるしかありません。台湾のメガマウスザメ研究チームも、禁漁によって標本が得られにくくなり、繁殖や成長に関する調査は今後さらに難しくなると指摘しています(Yu et al. 2021)。
守ることと、知ること。この二つは、いつも同じ方向を向いてくれるわけではないようです。
参考文献一覧
- Taiwan News (2020) 6 megamouth sharks caught off coast of Taiwan in 4 days. https://www.taiwannews.com.tw/en/news/3951559 (accessed 2026-07-19).
- 臺灣動物社會研究會 (2020) 別讓巨口鯊滅絕!抗議政府放任四艘漁船濫捕珍稀巨口鯊. https://www.east.org.tw/action/8431 (accessed 2026-07-19).
- 行政院農業委員會漁業署「大白鯊、象鮫及巨口鯊漁獲管制措施」. https://www.fa.gov.tw/view.php?theme=Important_measures_and_results&id=14 (accessed 2026-07-19).
- 農傳媒 (2020) 巨口鯊有救了!漁業署預告禁捕大白鯊、象鮫、巨口鯊. https://agriharvest.tw/archives/41873 (accessed 2026-07-19).
- 環境資訊中心 (2020) 巨口鯊、大白鯊、象鮫正式禁捕 象鮫族群趨勢止跌無力 列優先保育. https://e-info.org.tw/node/227546 (accessed 2026-07-19).
- 農業部水產試驗所「特別報導:巨口鯊(Megachasma pelagios)」. https://www.tfrin.gov.tw/theme_data.php?theme=epaper_data&sub_theme=E&id=305 (accessed 2026-07-19).
- 國家地理雜誌中文網 (2020) 巨口鯊該不該禁捕?動社指向花蓮外海特定漁船 海保署坦言:禁捕有困境. https://www.natgeomedia.com/environment/article/content-11501.html (accessed 2026-07-19).
- Yu, C.-J., Joung, S.-J., Hsu, H.-H., Lin, C.-Y., Hsieh, T.-C., Liu, K.-M. & Yamaguchi, A. (2021) Spatial–temporal distribution of megamouth shark, Megachasma pelagios, inferred from over 250 individuals recorded in the three oceans. Animals, 11(10), 2947. https://doi.org/10.3390/ani11102947

