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お魚や海の生きもの

深海の大トロ!?アブラボウズはどんな魚?駅弁あぶらぼうず伝説で人気の深海魚を解説

2023年1月28日

アブラボウズ(Erilepis zonifer)は小田原近辺では昔から食べられていた深海魚で深海の大トロとも呼ばれています。
ところが、脂肪分が40%もあり、食べすぎるとお腹を壊すことがあるせいなのか未利用魚となっているようです。
わたしは旅のオトモとしてアブラボウズの駅弁「あぶらぼうず伝説」買うことが多いのですが、どんな魚なんだろう?といつも気になっていました。
※このアブラボウズの駅弁「あぶらぼうず伝説」はお弁当・お惣菜大賞2020で優秀賞を獲得。
アブラボウズは水族館で飼育されることもあまりないためなかなか出会う機会はありません。
このブログでは、アブラボウズの特徴などを解説します。

アブラボウズとは

はじめにアブラボウズの基本情報について紹介します。

基本情報

アブラボウズ(学名:Erilepis zonifer 英語名:)は、棘鰭上目(Acanthopterygii)カサゴ目(Scorpaeniformes)ギンダラ亜目(Anoplopomatoidei)ギンダラ科(Anoplopomatidae)アブラボウズ属(Erilepis)に属する唯一の魚です。
アブラボウズ属はギンダラ科2種のうちの1種です。

標準和名
アブラボウズ
別名
アブラボオ(岩手県)、おしつけ(小田原)
英語名
Skilfish
学名
Erilepis zonifer
分類
棘鰭上目(Acanthopterygii)カサゴ目(Scorpaeniformes)ギンダラ亜目(Anoplopomatoidei)ギンダラ科(Anoplopomatidae)アブラボウズ属(Erilepis)
命名された年
1880年(Lockington)
保全状況
評価されていない
ワシントン条約(CITES)
掲載なし
最大全長
183cm
危険性
海で襲われることはないが食べすぎると危険
水族館で会える可能性
ペットとして飼育できる可能性

アブラボウズと人間との関わり

アブラボウズははえ縄で漁獲されていて、小田原城下で昔から食べられている深海魚です。
見た目と脂の多さから殿様が御殿女中に毒味を押しつけたことから、「おしつけ」という別名があります。
小田原魚市場によると、アブラボウズの一本釣りの技術は、小田原の漁師が明治時代に確立させて広めたそうですが、その後継者は今では減っているとのこと。

保全状況

アブラボウズは絶滅危惧種?

アブラボウズは評価対象ではありません。

絶滅絶滅危惧種絶滅リスクは低い
1.絶滅(EX)2.野生絶滅(EW)3.深刻な危機(CR)4.危機(EN)5.危急(VU)6.準絶滅危惧(NT)7.低懸念(LC)
どこにもいない
ほぼ絶滅
かなりやばい
やばい
やばそう
そろそろやばい
今は心配なし
メガロドン -ヨゴレ、シロワニ、アカシュモクザメアオザメ、ニタリ、レモンザメオオメジロザメ、ホホジロザメ、クロヘリメジロザメイタチザメ、ヨシキリザメネコザメ
 - -イリオモテヤマネコ、ラッコトキ、トラパンダトド -
 - - -ニホンウナギクロマグロ -ブリ

※この他に、データ不足で正しく評価できない情報不足種 (DD / Data Deficient)、まだ評価がされていない未評価種 (NE / Not Evaluated)というふたつのカテゴリーがあります。
※IUCNレッドリストでは、未評価種 (NE)、情報不足種 (DD)、低懸念(LC)、.準絶滅危惧(NT)、絶滅危惧種(危急、危機、深刻な危機)、野生絶滅(EW)、絶滅(EX)の9つのカテゴリに分類しています。
※レッドリストについては『絶滅危惧種のサメの種類とは?IUCNレッドリストのまとめ【2021年10月版】』で解説しています。

アブラボウズはIUCNレッドリストの評価対象ではないため、個体数に問題はないとみられます。

絶滅危惧種のサメの種類とは?IUCNレッドリストのまとめ【2021年10月版】

ワシントン条約(CITES)

ワシントン条約(CITES)
掲載なし

アブラボウズはワシントン条約(CITES)には掲載されていません。

ワシントン条約(CITES / サイテス)のリストに掲載されたサメ類と日本の対応について

危険性

危険性
海で襲われることはないが食べすぎると危険

アブラボウズは、食べ過ぎると身の脂により食あたりを起こすといわれています。
農林水産省も脂質(グリセリド)が多いアブラボウズを地域によって食不適魚として扱ったり、販売の自粛を指導される魚として紹介しています。
小田原魚市場によると、100kgクラスの大きなアブラボウズになるほど食あたりの危険性があるので、食用としては10kg程度のアブラボウズが人気とのことです。

アブラボウズの生態

アブラボウズの生態について解説します。

見た目の特徴(形態)

  1. 幼魚では体に白色斑があるが、成魚では一様に暗色
  2. 体は太短く、頭の背縁はまるい
  3. 背ビレは2基に分かれるが、その間隔は眼径より狭い
  4. 臀鰭は第2背ビレの基部よりも後方から始まる

引用:東北区水産研究所ホームページ おさかな写真館 No.8(2007.7.17~7.31)

分布域と生息域

分布域
北太平洋、日本とベーリング海から米国カリフォルニア州のモントレー湾まで
日本国内での分布域
北海道から静岡県までの太平洋側
生息域
深海
水深
0~1030m

生息域

アブラボウズの成魚は深海の岩礁域に生息。
アブラボウズの幼魚は表層で捕獲されています。

参照:三谷 勇・亀井正法・清水詢道「アブラボウズの生態と漁業」

大きさ

最大全長
183cm
体重
91kg

繁殖

成熟年齢
11歳
成熟サイズ
123cm

北海道東沖に分布するアブラボウズは未成魚が主体,茨城以南の海域は成魚が主体となっています。
産卵親魚は現在のところ大島近海(相模湾,房総沖を含む)でのみ漁獲されているそうです。

参照:三谷 勇・亀井正法・清水詢道「アブラボウズの生態と漁業」

アブラボウズを水族館で見たい

アブラボウズは水族館で見かける機会が少ない魚です。

2023年1月時点、アブラボウズを飼育している水族館の一覧はこちら。

  • 登別ニクス
  • 鴨川シーワールド
  • 碧南水族館
  • 名古屋港水族館

※最新の飼育情報については各水族館が発信している最新情報や日本動物園水族館協会の公式サイト内の飼育動物検索でアブラボウズを検索してみてください。
また生きものの状態によっては展示してない場合があるので注意しましょう。

アブラボウズはどこで食べられる?

アブラボウズはどこで食べられるのでしょうか。
脂肪分が40%もある深海魚なので大量に食べると下痢の恐れがあったりするため、アブラボウズは未利用魚になってしまいます。
そのため、食べられる場所は限られますが、アブラボウズを食べる方法を紹介します。

あぶらぼうず伝説(お弁当)東京駅

アブラボウズはどこで食べられる?:あぶらぼうず伝説(お弁当)東京駅

東京駅の駅弁のお店「駅弁屋 祭」では、日本各地の名物駅弁を販売しています。
その数はなんと約200種類!
ここでアブラボウズを使ったお弁当「あぶらぼうず伝説」を買うことができます。

駅弁の名前あぶらぼうず伝説
販売価格(税込)1,300円
カロリー618kcal
アレルギー乳成分・卵・小麦・かに・ゼラチン・りんご・大豆・ごま

アブラボウズを使ったお弁当「あぶらぼうず伝説」の中身

メインのおかずは美味しい脂ののったあぶらぼうずの味噌ゆう庵焼。
梅干しの酸っぱさや、ゆず大根のさっぱりした味がいいアクセントになっています。
アブラボウズは全身トロの深海魚と呼ばれているだけに、油が多くてこってりとした甘みのある味です。
確かに大量に食べると胃もたれしそうですが、お弁当のおかず程度の量ならその美味しさだけを楽しむことができますね。

アブラボウズはどこで食べられる?:あぶらぼうず伝説(お弁当)東京駅

  • 茶飯
  • あぶらぼうず味噌柚庵焼
  • キャラしぐれ
  • 梅干し
  • 酢ハス
  • わさび三舞
  • 錦糸玉子
  • 天着はじかみ
  • ひじき
  • むき枝豆
  • ゆず大根

アブラボウズの通販

アブラボウズの通販の数は少ないですが、探すといくつかあります。

未利用魚アブラボウズの通販

未利用魚アブラボウズ

体の40%が脂肪の深海魚アブラボウズ。クエに似ている。

新幹線で旅行に行くときについつい買ってしまうアブラボウズの駅弁。
未利用魚にしておくなんてもったいない美味しいお魚です。
まさに白身魚の大トロ!

新潟県の寝屋漁港限定の未利用魚

海には、マグロやサケなどの誰もが知っているメジャーな魚だけが生息しているわけではありません。
「こんな魚見たことも聞いたこともない!」というお魚の方が圧倒的多数。
漁師直送昭和丸は地魚を積極的に推しています。
昭和丸が水揚げする魚の中には、珍しかったり、サイズが小さかったりする事が理由で市場では値が付きにくい魚、いわゆる未利用魚も多く水揚げされます。
未利用魚と言っても、漁師の家庭はもちろん、地元の家庭ではよく利用する多利用魚なんです。
おいしい未利用魚を食べてみたい方におすすめ!

【魚のフードロス削減】未利用魚をサブスクで食べよう!Fishlle!(フィシュル)

Fishlle!(フィシュル)とは、十分な水揚げ量が無かったり、形が悪かったり傷がついていたり等の理由で価値が付かず、流通される前段階で通常の流通に乗らなくなってしまった未利用魚を活用したサブスクです。
未利用魚はなんと総水揚げ量の約30〜40%にも!
未利用魚の活用は、食べ物を粗末にしない、資源を無駄なく利用していこうという点でフードロスの削減になります。
フィシュルならミールパックだけでも旬なお魚や未利用魚をそのまま楽しむことができますが、アレンジレシピお届け!

参考文献一覧

(1)三谷 勇・亀井正法・清水詢道「アブラボウズの生態と漁業」。
(2)小田原魚市場「【冬】オシツケ(アブラボウズ)・・・ 釣り」
(3)FishBase「Erilepis zonifer 」。
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シャーク・アクティビストReinoとにゃぶり

シャーク・アクティビストReino

シャーク・アクティビストのReinoです。 サメ専門ブロガー&YouTuberとしてサメの生態や保全についてお伝えしています。 佐賀県唐津市生まれ、東京育ち。 慶應義塾大学文学部卒業。 保有資格は環境社会検定試験(eco検定)、日本さかな検定(ととけん)3級🐟 関心があるのは、哲学、サメの保全、環境倫理学、水産学、SDGs14。 好きなものは、7 MEN 侍、SixTONES、永瀬廉(King & Prince)。ブログの執筆と監修を行っています。

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