ニュージャージーサメ襲撃事件とは
ニュージャージーサメ襲撃事件 (Jersey Shore shark attacks of 1916) とは、1916年7月1日から12日にかけて、サメによる襲撃により4人が死亡、1人が負傷した連続襲撃事件のことです。
アメリカニュージャージー州ラリタン湾にそそぐマタワン川の河口から約26キロメートル遡った上流で人々が次々とサメに襲われました。
1916年7月1日
1916年7月1日土曜日、ニュージャージー州南岸のロングビーチ島にできたリゾート地、ビーチヘブンの沖合で25歳の水泳選手がサメに噛まれ、ライフガードがなんとか救助したものの、出血多量で死亡。
1916年7月6日
1916年7月6日木曜日、ビーチヘブンの北、72kmにあるニュージャージー州のリゾート地、スプリングレイクで2回目の襲撃が発生。
岸から120メートルの位置で泳いでいるときにサメに襲われて両足を失い、死亡。1916年7月12日
1916年7月12日水曜日、さらに北上した地点に位置するマタワン川で少年と成人男性がサメに襲われて死亡。
その30分後には、1.5kmほど下流でティーンエイジャーがサメに噛まれましたが、彼は生き延びました。
ニュージャージーサメ襲撃事件の犯人はホホジロザメ?
この5件の事件の犯人はラリタン湾で7月14日に捕獲された2.5mのホホジロザメということになりました。
胃の中から人骨が発見されたため、このホホジロザメが一連の襲撃事件の犯人とされたのですが、7月12日に2件の襲撃事件が起きたマタワン川は淡水であり、ホホジロザメの生息域ではありません。
また、ジャージー島の海岸にはホホジロザメよりもオオメジロザメの方が多く生息していたそうです。
そのことからも、1916年のニュージャージー州のサメ襲撃事件の真犯人はオオメジロザメの可能性もあるのです。
ホホジロザメについてさらに詳しく知りたい方は『ホホジロザメの生態、特徴、大きさ、寿命、危険度とは?人食いサメなの?』をどうぞ!
ニュージャージーサメ襲撃事件の犯人はオオメジロザメ?
どう考えても川にホホジロザメはいません。
海水、淡水、汽水域に生息していて、実際に人を襲うことがあるオオメジロザメが7月12日に起きた2件の襲撃事件の犯人であると考える方が妥当ではないでしょうか。
川で3人を襲ったサメは、淡水域でも生息できるオオメジロザメである可能性が高いでしょう。
探検家のファビアン・クストーをはじめとする一部の専門家は、オオメジロザメが真犯人であると結論づけています。
シャークアタックの専門家であるジョージ・バージェス氏は、胃の中の人骨を証拠にホホジロザメが犯人であると考えているようですが、この事件の犠牲者ではなく溺死した人の遺体の一部なのではないかという意見もあります。
専門家の間でも意見が分かれていますが、1916年のニュージャージー州のサメ襲撃事件では、複数のサメが犯行に及んだ可能性もあります。
オオメジロザメについて詳しく知りたい方は『川にも分布!オオメジロザメ(ウシザメ)の特徴、生態、大きさ、淡水で生活できる理由とは?』をどうぞ!
ニュージャージーサメ襲撃事件はジョーズの元ネタになった?
1916年のニュージャージーサメ襲撃事件は映画「ジョーズ」の元ネタといわれていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
「ジョーズ」の原作者であるピーター・ベンチリー(Peter Benchley, 1940年5月8日 - 2006年2月11日)は1916年の襲撃事件を知っているということを小説の中で言及しましたが、そこから着想を得ていないといいます。
これは、2001年9月のニューヨーク・タイムズのサメについての記事の中で、タイムズ誌が1916年のニュージャージーサメ襲撃事件は映画「ジョーズ」に影響を与えたと掲載されたことに端を発しているそうです。
「ジョーズ」の原作者であるピーター・ベンチリーはそれに対して記事の主張は事実と異なることを明らかにし、2001年9月8日に訂正が発表されました。
ジョーズ '98 激流篇の元ネタに?
1998年製作の映画『ジョーズ '98 激流篇(製作国:アメリカ)』は、ホホジロザメではなく川で生息できるオオメジロザメ(ウシザメ)が犯人でした。
おそらく、『ジョーズ '98 激流篇(製作国:アメリカ)』は、1916年のニュージャージーサメ襲撃事件 (Jersey Shore shark attacks of 1916) のうち、マタワン川の事件が元になっているのではないでしょうか。