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サメを学ぶ

ジョーズの元ネタになった?ニュージャージーサメ襲撃事件とは

2022年3月24日

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ニュージャージーサメ襲撃事件とは

ジョーズの元ネタになった?ニュージャージーサメ襲撃事件とは

ニュージャージーサメ襲撃事件 (Jersey Shore shark attacks of 1916) とは、1916年7月1日から12日にかけて、サメによる襲撃により4人が死亡、1人が重傷を負った連続襲撃事件のことです。
アメリカ・ニュージャージー州のラリタン湾に注ぐマタワン川では、河口から少し遡った「ワイコフ桟橋」の周辺で人々が次々とサメに襲われました。海岸のリゾート地ではなく、海から離れた内陸の小さな町で起きたことが、当時の人々を驚かせました。


  • 1916年7月1日

    1916年7月1日土曜日、ニュージャージー州南岸のロングビーチ島にできたリゾート地、ビーチヘブンの海で、家族と避暑に来ていた20代の男性がサメに噛まれ、ライフガードと居合わせた人が引き上げたものの、出血多量で死亡。


  • 1916年7月6日

    1916年7月6日木曜日、ビーチヘブンの北、72kmにあるニュージャージー州のリゾート地、スプリングレイクで2回目の襲撃が発生。
    地元のホテルで働いていた20代の男性が、岸から120メートルの位置で泳いでいるときにサメに襲われ、両脚を失って死亡。


  • 1916年7月12日

    1916年7月12日水曜日、さらに北上した地点に位置するマタワン川で、10代前半の少年と、その少年を助けに川へ入った20代の男性がサメに襲われて死亡。
    その約30分後には、およそ800メートル下流で10代の少年がサメに噛まれましたが、彼は生き延びました。


ニュージャージーサメ襲撃事件の犯人はホホジロザメ?

ニュージャージーサメ襲撃事件の犯人はホホジロザメ?

この5件の事件の犯人は、ラリタン湾で7月14日に捕獲された体長約2.3メートルのホホジロザメということになりました。
捕獲したのは、ハーレムで剥製師をしていたマイケル・シュライサー(Michael Schleisser)という人物です。このサメは体重が約147キログラムありました。
胃の中から人の骨と肉が見つかったため、このホホジロザメが一連の襲撃事件の犯人とされました。アメリカ自然史博物館のフレデリック・ルーカスとロバート・マーフィーは、このサメを「ジャージーの人食い」と断定しています。

ただし、7月12日に2件の襲撃事件が起きたマタワン川は、海から離れた内陸を流れる細い川です。海洋生物学者のリチャード・エリスは、ホホジロザメは外洋性の種であり、こうした潮の影響を受ける川を泳いでいること自体が異例で、不可能かもしれないと述べています(Ellis 1983)。
また、ニュージャージー州の海域では、オオメジロザメはありふれた種ではないものの、ホホジロザメよりは高い頻度で現れるとも指摘しています(Ellis 1983)。
そのことからも、1916年のニュージャージー州のサメ襲撃事件の真犯人はオオメジロザメだった可能性もあります。

ホホジロザメについてさらに詳しく知りたい方は『ホホジロザメの生態、特徴、大きさ、寿命、危険度とは?人食いサメなの?』をどうぞ!

ニュージャージーサメ襲撃事件の犯人はオオメジロザメ?

ニュージャージーサメ襲撃事件の犯人はオオメジロザメ?

どう考えても川にホホジロザメはいません。
海水、淡水、汽水域に生息していて、実際に人を襲うことがあるオオメジロザメが7月12日に起きた2件の襲撃事件の犯人であると考える方が妥当ではないでしょうか。
川で3人を襲ったサメは、淡水域でも生息できるオオメジロザメである可能性が高いでしょう。

探検家のファビアン・クストーが関わったナショナルジオグラフィックの番組『Attacks of the Mystery Shark』(2002年)は、マタワン川の事件をオオメジロザメによるものとみる説を検証しました。ナショナルジオグラフィック協会も同じ2002年に、ホホジロザメが多くの事故の犯人とされてきたものの、実際にはオオメジロザメが真犯人ではないかとみる専門家がいることを報じています。生物学者のジョージ・A・リャノやリチャード・エリスが、この立場をとってきました。

一方、フロリダ自然史博物館の国際サメ被害目録(ISAF)で所長を務めた魚類学者のジョージ・バージェスは、ホホジロザメ説を支持しています。バージェスは、現地を調べた結果、マタワン川の川幅、水深、塩分の状態はむしろ海の入り江に近く、小型のホホジロザメが迷い込むことは十分にありえたと述べています。ISAFでも、1916年の事件はホホジロザメによるものとして記録されています。
胃の中から見つかった人の骨についても、この事件の犠牲者のものではなく、溺れて亡くなった人の遺体の一部なのではないかという意見もあります。リチャード・ファーニコラは、1916年の事件には多くの説があり、そのいずれも決定的ではないと書いています(Fernicola 2002)。

専門家の間でも意見が分かれていますが、1916年のニュージャージー州のサメ襲撃事件では、複数のサメが犯行に及んだ可能性もあります。2011年にスミソニアン・チャンネルが放送した検証番組では、事件当日が満月にあたり、満潮の数時間前にマタワン川の塩分が2倍以上に上がっていたことが示されました。これはホホジロザメ説を支える材料になります。その一方で、生き延びた少年の傷の形はオオメジロザメによるものらしいとされ、5件の事件に複数のサメが関わっていたとみる見方につながりました。

オオメジロザメについて詳しく知りたい方は『川にも分布!オオメジロザメ(ウシザメ)の特徴、生態、大きさ、淡水で生活できる理由とは?』をどうぞ!

ニュージャージーサメ襲撃事件はジョーズの元ネタになった?

1916年のニュージャージーサメ襲撃事件は映画「ジョーズ」の元ネタといわれていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
「ジョーズ」の原作者であるピーター・ベンチリー(Peter Benchley, 1940年5月8日 - 2006年2月11日)は、1916年の襲撃事件を知ってはいたものの、そこから着想を得たわけではないと述べています。
きっかけは、2001年にニューヨーク・タイムズが、1916年のニュージャージーサメ襲撃事件は「ジョーズ」に影響を与えたと報じたことでした。ベンチリーはこれを否定し、2001年9月8日付で同紙に訂正が掲載されています。

ジョーズ '98 激流篇の元ネタに?

1998年製作の映画『ジョーズ '98 激流篇(原題:Great White、製作国:アメリカ)』は、川に現れたホホジロザメが人々を襲う物語です。タイトルは似ていますが、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』とは無関係の作品です。
おそらく、この映画は1916年のニュージャージーサメ襲撃事件 (Jersey Shore shark attacks of 1916) のうち、マタワン川の事件が元になっているのではないでしょうか。実際、サメ社会学者のリッキーさんは、本作のオープニングに「実話からインスパイアされた」という表示が出ること、エンドロールでニュージャージー州サメ襲撃事件の説明が流れることを報告しています(Ricky 2026)。
ただし、舞台が川であるにもかかわらず、犯人はオオメジロザメ(ウシザメ)ではありません。原題が「Great White」であるとおり、ホホジロザメが淡水の川を泳いでいます。

参考文献一覧

  1. Capuzzo, M. (2001) Close to Shore: A True Story of Terror in an Age of Innocence. New York: Broadway Books.
  2. Ellis, R. (1983) The Book of Sharks. San Diego: Harcourt Brace Jovanovich.(英語版Wikipedia「Jersey Shore shark attacks of 1916」経由で参照)
  3. Fernicola, R. G. (2002) Twelve Days of Terror: A Definitive Investigation of the 1916 New Jersey Shark Attacks. Guilford, CT: The Lyons Press.
  4. Llano, G. A. (1975) Sharks: Attacks on Man. New York: Tempo Books.(英語版Wikipedia「Jersey Shore shark attacks of 1916」経由で参照)
  5. Handwerk, B. (2002) Great Whites May Be Taking the Rap for Bull Shark Attacks. National Geographic News, August 2, 2002.
  6. Burgess, G. H. マイケル・カプッツォによるインタビュー(Random House 公式サイト掲載).(英語版Wikipedia「Jersey Shore shark attacks of 1916」経由で参照)
  7. Smithsonian Channel (2011) The Real Story: Jaws.
  8. The New York Times (2001) Corrections. September 8, 2001.
  9. Matawan Historical Society. 1916 Shark Attack. https://matawanhistoricalsociety.org/1916-shark-attack/ (accessed 2026-07-25).
  10. Encyclopædia Britannica. The 1916 Shark Attacks That Gave Sharks a Bad Rap. https://www.britannica.com/story/the-1916-shark-attacks-that-gave-sharks-a-bad-rap (accessed 2026-07-25).
  11. サメ社会学者Ricky (2026) 『ジョーズ98` 激流篇』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】. Board-Gill. https://www.board-gill.com/bg_shark_movie_review_great-white-gekiryu/ (accessed 2026-07-26).

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シャーク・アクティビストReinoとにゃぶり

シャーク・アクティビストReino

シャーク・アクティビストのReinoです。 サメ専門ブロガー&YouTuberとしてサメの生態や保全についてお伝えしています。 佐賀県唐津市生まれ、東京育ち。 慶應義塾大学文学部卒業。 保有資格は環境社会検定試験(eco検定)、日本さかな検定(ととけん)3級🐟 関心があるのは、哲学、サメの保全、環境倫理学、水産学、SDGs14。 海やサメ以外で好きなのは、橋本涼さん(B&ZAI)。海属性の人が好き。

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