このブログでは、水族館でおなじみのかわいいサメ「ホシザメ」の特徴や生態、分布、大きさ、生息地、危険性などを解説します。
ホシザメとは
分類Scientific Classification
ホシザメ(学名:Mustelus manazo 英語名:Starspotted smooth-hound)は、メジロザメ目 Carcharhiniformes > ドチザメ科 Triakidae > ホシザメ属 Mustelusのサメです。
- 界 Kingdom
- 動物界 Animalia
- 門 Phylum
- 脊索動物門 Chordata
- 綱 Class
- 軟骨魚綱 Chondrichthyes
- 亜綱 Subclass
- 板鰓亜綱(ばんさいあこう) Elasmobranchii
- 亜区 Subcohort
- サメ亜区 Selachii
- 上目 Superorder
- ネズミザメ上目 Galeomorphi
- 目 Order
- メジロザメ目 Carcharhiniformes
- 科 Family
- ドチザメ科 Triakidae
- 属 Genus
- ホシザメ属 Mustelus
- 種 Species
- ホシザメ Mustelus manazo
ホシザメの基本情報
まず、ホシザメの基本情報を紹介します。
- 名前
- ホシザメ(星鮫)
- 別名
- ノークリ(瀬戸内海沿岸)、※参照、サガ(大洗・那珂湊),サガポ(大洗・那珂湊・河原子),ホシ(平潟),ホシサガ(大洗・那珂湊・久慈・河原子・川尻・大津)。サガはサメの意、サガポのポは愛称。福島県小名浜では小形のサメをサガと呼ぶ。ホシ、ホシサガは体の星のような模様から。※参照
- 学名
- Mustelus manazo
- 英語名
- Starspotted smooth-hound
- 危険度
- 保全状況
- 絶滅危惧種:危機(EN / Endangered)
- 分類
- メジロザメ目ドチザメ科ホシザメ属
- 分布域
- 日本、北朝鮮、韓国、中国、台湾、ベトナム、フィリピンを含む、ロシア南部からボルネオ島までの北西部および中部西部太平洋
- 日本の分布域
- 北海道全沿岸~九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸,瀬戸内海,八丈島,琉球列島
- 生息域
- 潮間帯、大陸棚域
- 大きさ
- 99〜108cm
- 最大全長
- 135cm
- 平均寿命
- 17年
- 命名された年
- 1854年
- サメが住んでいる水深
※水深200mの深海を星5と評価
- 巨大ザメ指数
※最大全長が5m以上のサメを星5と評価
- 水族館で会える可能性
- ペットとして飼育できる可能性
ホシザメと人間との関わり
ホシザメは生息域全体で漁獲圧が高く、釣りの対象にもなっています。
また、ホシザメはトロール網、はえ縄、定置網、刺し網などで混獲されています。
食用などの活用方法
ホシザメはサメの中でも肉質がよく、美味しいといわれています。
九州などの地域では湯引きや刺身や酢味噌和えなどにされるほか、高級なはんぺんやちくわなどの練り製品の原料にも利用されています。
台湾や中国では魚粉、サメ肉、肝油としても使用されます。
ボルネオ島では、サメ肉は国内で消費され、ヒレはフカヒレとして取引されているようです。
保全状況
ホシザメは絶滅危惧種?
ホシザメは絶滅危惧種:危機(EN / Endangered)と評価されています。
絶滅 | 絶滅危惧種 | 絶滅リスクは低い | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
1.絶滅(EX) | 2.野生絶滅(EW) | 3.深刻な危機(CR) | 4.危機(EN) | 5.危急(VU) | 6.準絶滅危惧(NT) | 7.低懸念(LC) |
どこにもいない | ほぼ絶滅 | かなりやばい | やばい | やばそう | そろそろやばい | 今は心配なし |
メガロドン | - | ヨゴレ、シロワニ、アカシュモクザメ | アオザメ、ニタリ、レモンザメ | オオメジロザメ、ホホジロザメ、クロヘリメジロザメ | イタチザメ、ヨシキリザメ | ネコザメ |
- | - | イリオモテヤマネコ、ラッコ | トキ、トラ | パンダ | トド | - |
- | - | - | ニホンウナギ | クロマグロ | - | ブリ |
※この他に、データ不足で正しく評価できない情報不足種 (DD / Data Deficient)、まだ評価がされていない未評価種 (NE / Not Evaluated)というふたつのカテゴリーがあります。
※IUCNレッドリストでは、未評価種 (NE)、情報不足種 (DD)、低懸念(LC)、.準絶滅危惧(NT)、絶滅危惧種(危急、危機、深刻な危機)、野生絶滅(EW)、絶滅(EX)の9つのカテゴリに分類しています。
※レッドリストについては『絶滅危惧種のサメの種類とは?IUCNレッドリストのまとめ【2021年10月版】』で解説しています。
ホシザメは、トロール網、はえ縄、定置網、刺し網などの漁業で混獲だけではなく、環境悪化による生息地の喪失が大きな脅威となっています。
黄海と渤海(ぼっかい)では、沿岸開発により潮間帯の生息地や干潟の大部分が失われてしまいました。
絶滅危惧種のサメの種類とは?IUCNレッドリストのまとめ【2021年10月版】
ワシントン条約(CITES)
- ワシントン条約(CITES)
- 掲載なし
ホシザメはワシントン条約(CITES)には掲載されていません。
ちなみに、2022年11月、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)第19回締約国会議(CITESCoP19)にて、メジロザメ科のサメを附属書Ⅱに一括掲載することが提案され、採択されました。
ホシザメはメジロザメ目のサメですが、メジロザメ科ではなくドチザメ科のサメなのでワシントン条約による規制対象ではありません。
ワシントン条約(CITES / サイテス)のリストに掲載されたサメ類と日本の対応について
ホシザメは人食いザメなの?危険性は?
- 危険度
- シャークアタックの回数
- 0件のサメ事故(1580-2023年)
- サメの攻撃が原因の死亡事故
- 0件のサメによる死亡事故(1580-2023年)
これまでホシザメによるシャークアタックは記録されていません。
ホシザメの最大全長は135cmほどの小柄なサメです。
最大全長が135cmほどのホシザメが危険で凶暴な人食いザメである可能性はゼロといっても差し支えがないでしょう。
ホシザメの特徴
ここではホシザメの特徴や生態について解説します。
見た目の特徴(形態)
- 背中の白点模様が星空のように見える
- 瞬膜がない
- 吻(ふん=口先)や口がやや尖っている
- チャコールグレー
ホシザメの名前の意味や由来
ホシザメの名前の意味や由来は背中に星のように白い点が散らばっている見た目からきていると思われます。
星空を背負ったサメなんてロマンティックですよね。
ホシザメの大きさ
- 平均的な大きさ
- 99〜108cm
- 最大全長
- 220cm
- 体重
- - kg
ホシザメの大きさはだいたい1m前後です。
fishbaseには、220cmと記載がありますが、1983年のデータなので当時の海には今よりも大きな個体がいた、もしくは計測や同定のミスなのではないかと個人的には思います。
ホシザメとドチザメの違い
ホシザメ | ドチザメ | |
---|---|---|
学名 | Mustelus manazo | Triakis scyllium |
英語名 | Starspotted smooth-hound | Banded houndshark |
分類 | メジロザメ目 > ドチザメ科 > ホシザメ属 | メジロザメ目 > ドチザメ科 > ドチザメ属 |
大きさ | 135cm | 150cm |
分布域 | 日本、北朝鮮、韓国、中国、台湾、ベトナム、フィリピンを含む、ロシア南部からボルネオ島までの北西部および中部西部太平洋、西インド洋のケニア | 日本、大韓民国、朝鮮民主主義共和国、台湾、中国、ロシア(ウラジオストク) |
水深 | 0〜360m | 30〜150m |
特徴 | 背中がチャコールグレー、お腹が白。背中に白い模様があり、それが星のように見える | 体側部に8本ほどの幅広い暗色横帯があり、黒斑がある |
味 | 美味しいらしい | ホシザメより美味しくないらしい |
ホシザメとドチザメはどちらもドチザメ科です。
ホシザメとドチザメの違いは見た目でわかります。
ドチザメ
ドチザメはこちら。
ホシザメ
ホシザメはこちら。
暗い色で太い縦縞があるならドチザメ、背中がチャコールグレーで星のようにキラキラした模様ならホシザメと覚えておけばこの2種を見間違えることはないでしょう。
ホシザメの分布と生息域
- 分布域
- 日本、北朝鮮、韓国、中国、台湾、ベトナム、フィリピンを含む、ロシア南部からボルネオ島までの北西部および中部西部太平洋など
- 日本国内での分布域
- 北海道全沿岸~九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸,瀬戸内海,八丈島,琉球列島など
- 生息域
- 潮間帯、大陸棚域
- 水深
- 1〜360m
ホシザメの分布域
ホシザメは日本、北朝鮮、韓国、中国、台湾、ベトナム、フィリピンを含む、ロシア南部からボルネオ島までの北西部および中部西部太平洋など
西インド洋のケニアでも知られています。
ホシザメの生息域
ホシザメは、水深1〜360mの潮間帯、大陸棚域に生息しています。
ホシザメの生態
ライフスタイル
- 泳ぐ速度
- - キロ
- 性格
- おとなしい
- 1日の過ごし方
- -
- 好きな食べ物
- 底無脊椎動物、硬骨魚
ホシザメの寿命
- 平均寿命
- - 歳
- 最大寿命
- 17歳
ホシザメの繁殖
- 繁殖方法
- 卵胎生(Ovoviviparity)
- 妊娠期間
- 10〜12ヶ月
- 一度に産む数
- 1~22匹
- 子ザメの大きさ
- 20~35cm
- 繁殖サイクル
- 年に1回
- 成熟年齢
- 3〜7歳
- 成熟サイズ
- オス:全長55~92cm、メス:全長60~97cm
ホシザメは卵から生まれるサメではなく、お母さんザメのお腹の中で育って生まれてくるサメです。
ホシザメを水族館で見たい
ホシザメは水族館で飼育しやすいサメです。
日本国内の水族館では高い確率でホシザメに会うことはできるでしょう。
ホシザメを飼育している水族館の一覧
2023年1月時点、ホシザメを飼育している水族館の一覧はこちら。
- アクアワールド茨城県大洗水族館
- 加茂水族館
- 福島海洋科学館
- 八景島シーパラダイス
- 新潟市水族館
- 上越水族博物館
- のとじま水族館
- 志摩マリンランド
- 姫路水族館
- 宮島水族館
- 美ら海水族館
※最新の飼育情報については各水族館が発信している最新情報や日本動物園水族館協会の公式サイト内の飼育動物検索でホシザメ 、または学名のStarspotted smooth-houndで検索してみてください。
また生きものの状態によっては展示してない場合があるので注意しましょう。
参考文献、サイト
IUCN “Starspotted smooth-hound”
Fishbase “Starspotted smooth-hound”
荒井将人『茨城県沿岸のホシザメの食性』
浅野長雄・藤本武『茨城県産魚類の方言について(第2報) 』